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ラブレターフロム本土
「マルティナ様。次期島主として、もう少し落ち着かなければなりません」
校長室である。
マルティナは正座している。
説教しているのはもちろんフレア学校校長ドナス。
糸目でふくよか、一見穏やかそうに見えるおばちゃん先生である。
説教されているのを横目にニーサン達はお茶を飲みくつろいでいた。
心配そうにシェリルが見守る中、足痺れてきたぁと泣き言を言うマルティナに反省の色は見られない。
「大丈夫なんですか?」
「いつものこった」
いつもなんだ・・・と憐れみの目のシェリル。
我関せずのニーサン。
ズズっと音を立ててお茶を飲むルナ。
シェリルとアンナもそっとお茶を口にふくむ。
お茶は鮮やかな緑色で渋みのあるお茶だった。
そのまま緑茶というらしい。
「おいしい?」
とふうふうしながらカーラが尋ねる。
猫舌らしい。
「初めて飲みましたが、けっこう渋みがありますね」
「でも、嫌な渋みじゃないです」
シェリル達はにっこり笑った。
あいつはほっといて話を進めようか、とニーサンが身を乗り出した。
「シェリル達には主にマナーを教えてほしい。食事やお茶の飲み方。礼のとり方。アンナはお茶の淹れ方や給仕の仕方。本土のやり方を教えてほしいンだ」
「なぜ、本土のやり方を?」
「将来本土で働きたいって奴らもいるからな。教えてる講師が子ども出来て休んでるんだ。今はマルと公爵夫人が手分けして教えてるがまぁ二人とも毎日ってわけにはいかないしな・・・・・・いや、わかる、言いたいことはわかるぞ」
「マルはやればできる子」
あのマルティナが?と顔に出てたらしくシェリル達は思わず俯いてしまう。
コツコツ───
窓から控えめな音がする。
見ると大きな鳥が窓辺で羽根を休めていた。
「マル、チャッピーだ」
正座し頭を下げていたマルティナが鳥を見やり目を細め口の端をあげた。
「シェリル、校舎を案内しましょう」
ドナスがにこやかに言う。
シェリルは途端にいいようのない不安に襲われる。
チャッピーと呼ばれる鳥が窓辺に来てから空気がピリッと変わった。
なんだか胸の内がざわりと収まりがつかない。
マルティナもニーサンもみんな表情が変わった。
瞳の奥に今までなかった冷たい青い炎が灯ったような気がする。
その瞳にいいしれない恐怖を感じて、思わず身を抱きしめてしまう。
シェリル行きましょう、とドナスが手を引いて校長室を出ていく。
パタンと閉じた扉を歩きながら何度も振り返ってしまうシェリル。
マルティナは窓を開けチャッピーの足にある足環についてる筒から手紙を取りだした。
手紙を読みながらどんどん顔が歪んでいくマルティナ。
読み終わった手紙をニーサンに渡す。
「シェリルの廃嫡が認められたわ。婚約破棄と一緒に冤罪にかけられその翌日にはこちらに受け入れ申請。メアリーから情報をもらっていたからすぐに受け入れたけど・・・審議にかけられるでもなく即流された」
「まぁ、裏があるってのはわかってただろ」
「そうだけどいくらなんでも早すぎる」
ルナもカーラも手紙に目を通す。
「ワーグナー家から離れたのはいい事だと思うけどね」
「マル、なに考えてる?」
「機密漏洩に横領、ここまでする意味がわからない。破棄するだけならこんな大層な理由いらないのよ。ポンコツじゃない誰かが絵を描いてる」
「王子妃教育で知り得た情報なんて微々たるもんだしな。漏洩するような情報を持ってるとは思えない」
「持ってるとしたら?」
「いや、ありえないだろ。もしそうなら絵が変わる。ん、そうか破棄は目くらましか。シェリルはなにか知ってる」
「・・・ニーサン、メアリーにもっと深く潜るように指示、全情報は共有よ。先手は打たせない」
「マル、勝てるか?」
「負けないわ。あの二人はもう島の子よ」
※チャッピーは鷹
校長室である。
マルティナは正座している。
説教しているのはもちろんフレア学校校長ドナス。
糸目でふくよか、一見穏やかそうに見えるおばちゃん先生である。
説教されているのを横目にニーサン達はお茶を飲みくつろいでいた。
心配そうにシェリルが見守る中、足痺れてきたぁと泣き言を言うマルティナに反省の色は見られない。
「大丈夫なんですか?」
「いつものこった」
いつもなんだ・・・と憐れみの目のシェリル。
我関せずのニーサン。
ズズっと音を立ててお茶を飲むルナ。
シェリルとアンナもそっとお茶を口にふくむ。
お茶は鮮やかな緑色で渋みのあるお茶だった。
そのまま緑茶というらしい。
「おいしい?」
とふうふうしながらカーラが尋ねる。
猫舌らしい。
「初めて飲みましたが、けっこう渋みがありますね」
「でも、嫌な渋みじゃないです」
シェリル達はにっこり笑った。
あいつはほっといて話を進めようか、とニーサンが身を乗り出した。
「シェリル達には主にマナーを教えてほしい。食事やお茶の飲み方。礼のとり方。アンナはお茶の淹れ方や給仕の仕方。本土のやり方を教えてほしいンだ」
「なぜ、本土のやり方を?」
「将来本土で働きたいって奴らもいるからな。教えてる講師が子ども出来て休んでるんだ。今はマルと公爵夫人が手分けして教えてるがまぁ二人とも毎日ってわけにはいかないしな・・・・・・いや、わかる、言いたいことはわかるぞ」
「マルはやればできる子」
あのマルティナが?と顔に出てたらしくシェリル達は思わず俯いてしまう。
コツコツ───
窓から控えめな音がする。
見ると大きな鳥が窓辺で羽根を休めていた。
「マル、チャッピーだ」
正座し頭を下げていたマルティナが鳥を見やり目を細め口の端をあげた。
「シェリル、校舎を案内しましょう」
ドナスがにこやかに言う。
シェリルは途端にいいようのない不安に襲われる。
チャッピーと呼ばれる鳥が窓辺に来てから空気がピリッと変わった。
なんだか胸の内がざわりと収まりがつかない。
マルティナもニーサンもみんな表情が変わった。
瞳の奥に今までなかった冷たい青い炎が灯ったような気がする。
その瞳にいいしれない恐怖を感じて、思わず身を抱きしめてしまう。
シェリル行きましょう、とドナスが手を引いて校長室を出ていく。
パタンと閉じた扉を歩きながら何度も振り返ってしまうシェリル。
マルティナは窓を開けチャッピーの足にある足環についてる筒から手紙を取りだした。
手紙を読みながらどんどん顔が歪んでいくマルティナ。
読み終わった手紙をニーサンに渡す。
「シェリルの廃嫡が認められたわ。婚約破棄と一緒に冤罪にかけられその翌日にはこちらに受け入れ申請。メアリーから情報をもらっていたからすぐに受け入れたけど・・・審議にかけられるでもなく即流された」
「まぁ、裏があるってのはわかってただろ」
「そうだけどいくらなんでも早すぎる」
ルナもカーラも手紙に目を通す。
「ワーグナー家から離れたのはいい事だと思うけどね」
「マル、なに考えてる?」
「機密漏洩に横領、ここまでする意味がわからない。破棄するだけならこんな大層な理由いらないのよ。ポンコツじゃない誰かが絵を描いてる」
「王子妃教育で知り得た情報なんて微々たるもんだしな。漏洩するような情報を持ってるとは思えない」
「持ってるとしたら?」
「いや、ありえないだろ。もしそうなら絵が変わる。ん、そうか破棄は目くらましか。シェリルはなにか知ってる」
「・・・ニーサン、メアリーにもっと深く潜るように指示、全情報は共有よ。先手は打たせない」
「マル、勝てるか?」
「負けないわ。あの二人はもう島の子よ」
※チャッピーは鷹
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