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元追放令嬢の帰還
マルティナの母である元追放令嬢スカーレットはちょっとそこまで散歩してきました、のような気軽さで帰ってきた。
「お母様、おかえりー」
「ただいま。ばあやお茶飲みたーい」
やはり親子である。
初対面のシェリルの前でもなんの緊張感もなく、あなたがシェリル?よろしくねとへらりと笑った。
「スーちゃん、待って置いてかないで」
小太りの男もといルイス・トルーマン公爵が汗を拭きながら小走りで駆けてくる。
「ふぅ・・・あぁ、シェリルとアンナ。島にはもう慣れたいかい?」
「は、はい」
「それは良かった」
マルティナから、お母様が帰ってくる、そう聞いて出迎えたシェリル達。
ドキドキと緊張しながら待っていたのだが・・・
丁寧に挨拶しようと構えたのだが拍子抜けに終わってしまった。
呆然と玄関に佇む二人。
マルティナは、ちょっくら出てくるわと出ていってしまった。
「お嬢様方、どうぞこちらに」
「・・・スティンさん」
島に来て一ヶ月、もう慣れたと思っていたけれど・・・まだまだなのね、とふぅとため息をつく二人であった。
スティンは微笑みながら応接室に案内する。
応接室ではルイスとスカーレットが既にお茶を飲み、落ち着いていた。
「シェリル達もお掛け」
と、ルイスが手招きしシェリル達も対面に座った。
「隣国に滞在していたとお聞きしておりました。ご無事のおかえり何よりでございます」
シェリルとアンナは頭を下げた。
「まぁまぁ、さすがねぇ。そんなにかしこまらないで」
「そうそう、楽にしなさい」
ありがとうございます、と二人もお茶に手を伸ばした。
「マルティナから聞いたかしら?私のこと」
ギクリと肩が強ばる二人。
なんと言えば、と視線を彷徨わせるとスカーレットはクスクス笑った。
「いいのよ。気にしないで。でも正確に言えば追放されたのではなく自分の意思で島へ来たのよ」
「それは、いったい・・・」
「私の幼馴染がね、私の婚約者と恋に落ちたの。で、私は幼馴染をいじめ倒して婚約破棄されてこの島に逃げて来たの」
「スーちゃん、かっこいい」
うふふ、と肩を寄せ合うルイスとスカーレット。
おうちは内緒よ、と口元に人差し指を当ててスカーレットは笑った。
「その・・・なんて言ったらいいのか・・・」
「いいのよ、笑い話よ。私の婚約者と幼馴染がお互いに一目惚れしたのよ。でもねぇ、家と家との契約だから私から身を引くこともできなくてねぇ。だったら破棄されるように仕向ければいいんだわって思ってね。短絡的よね?」
「そ、それでは夫人が悪役を引き受けたように聞こえます」
「いいのよ、私の父はね強欲というか野心家というか私のことなんて駒としか思ってなかったわ。それが嫌で嫌で。私ね、とんだ跳ねっ返りだったの」
マルティナ見てたらわかります、と思わず頷く二人。
「私の幼馴染はねぇ、なんというか気弱でおどおどしててね。でも天使みたいに可愛い顔してたわ。なのに、壊滅的に家が貧乏でね。いっつも古臭いドレスばっかり着てて・・・貧乏じゃなかったらそれなりの家に見初められたと思ったわ。本当は淡いピンクや水色が似合うのに、くすんだ緑とかねぇ。」
だからね、貧乏だとか気弱だとか言われたくないことばかりついていじめたわ、とあははと笑う。
「・・・夫人は婚約者様のことを愛してはいなかったのですか?」
「・・・忘れたわ」
肩を竦めてお茶に口をつけるスカーレット。
「スーちゃんは今は僕のことを愛してるもんね?」
そうね、とルイスの肩にもたれるスカーレット。
今幸せだからいいの、とスカーレットはそっと目を閉じた。
「お母様、おかえりー」
「ただいま。ばあやお茶飲みたーい」
やはり親子である。
初対面のシェリルの前でもなんの緊張感もなく、あなたがシェリル?よろしくねとへらりと笑った。
「スーちゃん、待って置いてかないで」
小太りの男もといルイス・トルーマン公爵が汗を拭きながら小走りで駆けてくる。
「ふぅ・・・あぁ、シェリルとアンナ。島にはもう慣れたいかい?」
「は、はい」
「それは良かった」
マルティナから、お母様が帰ってくる、そう聞いて出迎えたシェリル達。
ドキドキと緊張しながら待っていたのだが・・・
丁寧に挨拶しようと構えたのだが拍子抜けに終わってしまった。
呆然と玄関に佇む二人。
マルティナは、ちょっくら出てくるわと出ていってしまった。
「お嬢様方、どうぞこちらに」
「・・・スティンさん」
島に来て一ヶ月、もう慣れたと思っていたけれど・・・まだまだなのね、とふぅとため息をつく二人であった。
スティンは微笑みながら応接室に案内する。
応接室ではルイスとスカーレットが既にお茶を飲み、落ち着いていた。
「シェリル達もお掛け」
と、ルイスが手招きしシェリル達も対面に座った。
「隣国に滞在していたとお聞きしておりました。ご無事のおかえり何よりでございます」
シェリルとアンナは頭を下げた。
「まぁまぁ、さすがねぇ。そんなにかしこまらないで」
「そうそう、楽にしなさい」
ありがとうございます、と二人もお茶に手を伸ばした。
「マルティナから聞いたかしら?私のこと」
ギクリと肩が強ばる二人。
なんと言えば、と視線を彷徨わせるとスカーレットはクスクス笑った。
「いいのよ。気にしないで。でも正確に言えば追放されたのではなく自分の意思で島へ来たのよ」
「それは、いったい・・・」
「私の幼馴染がね、私の婚約者と恋に落ちたの。で、私は幼馴染をいじめ倒して婚約破棄されてこの島に逃げて来たの」
「スーちゃん、かっこいい」
うふふ、と肩を寄せ合うルイスとスカーレット。
おうちは内緒よ、と口元に人差し指を当ててスカーレットは笑った。
「その・・・なんて言ったらいいのか・・・」
「いいのよ、笑い話よ。私の婚約者と幼馴染がお互いに一目惚れしたのよ。でもねぇ、家と家との契約だから私から身を引くこともできなくてねぇ。だったら破棄されるように仕向ければいいんだわって思ってね。短絡的よね?」
「そ、それでは夫人が悪役を引き受けたように聞こえます」
「いいのよ、私の父はね強欲というか野心家というか私のことなんて駒としか思ってなかったわ。それが嫌で嫌で。私ね、とんだ跳ねっ返りだったの」
マルティナ見てたらわかります、と思わず頷く二人。
「私の幼馴染はねぇ、なんというか気弱でおどおどしててね。でも天使みたいに可愛い顔してたわ。なのに、壊滅的に家が貧乏でね。いっつも古臭いドレスばっかり着てて・・・貧乏じゃなかったらそれなりの家に見初められたと思ったわ。本当は淡いピンクや水色が似合うのに、くすんだ緑とかねぇ。」
だからね、貧乏だとか気弱だとか言われたくないことばかりついていじめたわ、とあははと笑う。
「・・・夫人は婚約者様のことを愛してはいなかったのですか?」
「・・・忘れたわ」
肩を竦めてお茶に口をつけるスカーレット。
「スーちゃんは今は僕のことを愛してるもんね?」
そうね、とルイスの肩にもたれるスカーレット。
今幸せだからいいの、とスカーレットはそっと目を閉じた。
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