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名前の悪魔
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村の直販所は予想を裏切って、間口の広い大きな店舗だった。
中にはテーブルや椅子、タンスやチェストにサイドテーブル、ドレッサーに皿やコップにカトラリーまで幅広く並んでいる。
木で作れるものはなんでも作ってやる、そんな心意気が感じられる。
至る所に『ご注文承ります!ご予算は相談してください!』と貼ってあり、オーダーメイドにも対応しているようだ。
店の奥に通されるとちょっとした応接間になっていて、ここで商談をするんだなと思った。
「挨拶が遅れてごめんなさいね。私はアリシュテ・・・」
「お母さんとお呼びしても?」
「いいわ」
お母さんはチーズ蒸しパンを頬張りながら言う。
ダーリンに似て美人だ。
「ジュンが考えてくれた積み木、売れてるわよ」
「ほんとですか!?」
やったーとダーリンとハイタッチして、そのまま手をにぎにぎとする。
村のほとんどが従事している木工工場に行った時に思いついたのだ。
どうしても出る木っ端を何とかできないだろうか?と。
色んな形の木っ端をもらってヤスリをかけて角を無くし色を塗った。
色塗りは子供たちも手伝ってくれて積み木が出来た。
ガン村長に積み木の説明をすると即断即決で販売が決まったのだ。
「ジュンの世界のものなのよね?」
「はい!小さい子が遊ぶものです」
「色とりどりでとてもいいと思うわ。それに木っ端を使ってるから価格も抑えられるしね」
ぐふふと笑いが止まらない。
見るとダーリンもニヤニヤしている。
村の子ども達の遊びは乏しかった。
鬼ごっこや、かくれんぼの外遊びは多少のルールの違いはあれどあった。
しかし、家遊びが絵本と人形くらいしかなかった。
そこで積木の出番だ。
村の子ども達も喜んでいたし、大人は木っ端まで金になると喜んでいた。
「私たちなら思いつかなかったのよ?それだけでジュンがこの世界にきた意味があったわ」
そんな手放しで褒められると照れる。
そのうちサイコロも作ってすごろくも売り出そう、密かに決意する。
明後日帰るというお母さんに迎えに来ましょうか?と尋ねるとポッと顔を赤らめた。
「パパが来てくれるの」
次の当番のおかみさんと納品にお父さんが来るらしい。
そして二人揃って帰るのだ、と。
両手を頬にあててまるで少女のようにはにかんでいる。
熊なんだがなぁ。
「母さんがすまない」
帰路のトラックでダーリンが謝ってくる。
蒸しパンのことか?
気にするなよ、とダーリンの肩をポンポンと叩く。
「それにしてもここの人らみんな長い名前だよな?覚えられないよ」
「あぁ、悪魔に名を呼ばれて返事をすると連れていかれるからな」
「へ?あ、くま?」
「悪魔だ」
いやまたそんなファンタジーなってここは異世界だった。
たった一ヶ月もいないうちに馴染み過ぎてた。
「長い名前だと悪魔が覚えきれないし、間違える可能性もあるからな」
「悪魔ってアホなんだな」
ダーリンが子どもを見るような慈悲深い目で見ている。
うんわかってるよ、特大ブーメランが自分に返ってきてるって。
「だから、ジュンの名前は覚えやすくて短いから心配だ」
「いや、子どもじゃないんだから」
「聞き慣れない声に名を呼ばれても返事をしちゃいけないぞ」
「わかったわかった」
ダーリンは心配性だなぁ、とハンドルを握り直す。
「で?どこに連れて行かれんの?」
「常闇の国とも神蒼の底とも言われている」
「へぇ?」
「連れて行かれたら俺が迎えに行く」
そりゃどうも、と笑って見せたがダーリンの瞳は存外真剣だった。
イケメンの真剣すごい。
オレじゃなくても、きっとみんな胸きゅんすると思う。
中にはテーブルや椅子、タンスやチェストにサイドテーブル、ドレッサーに皿やコップにカトラリーまで幅広く並んでいる。
木で作れるものはなんでも作ってやる、そんな心意気が感じられる。
至る所に『ご注文承ります!ご予算は相談してください!』と貼ってあり、オーダーメイドにも対応しているようだ。
店の奥に通されるとちょっとした応接間になっていて、ここで商談をするんだなと思った。
「挨拶が遅れてごめんなさいね。私はアリシュテ・・・」
「お母さんとお呼びしても?」
「いいわ」
お母さんはチーズ蒸しパンを頬張りながら言う。
ダーリンに似て美人だ。
「ジュンが考えてくれた積み木、売れてるわよ」
「ほんとですか!?」
やったーとダーリンとハイタッチして、そのまま手をにぎにぎとする。
村のほとんどが従事している木工工場に行った時に思いついたのだ。
どうしても出る木っ端を何とかできないだろうか?と。
色んな形の木っ端をもらってヤスリをかけて角を無くし色を塗った。
色塗りは子供たちも手伝ってくれて積み木が出来た。
ガン村長に積み木の説明をすると即断即決で販売が決まったのだ。
「ジュンの世界のものなのよね?」
「はい!小さい子が遊ぶものです」
「色とりどりでとてもいいと思うわ。それに木っ端を使ってるから価格も抑えられるしね」
ぐふふと笑いが止まらない。
見るとダーリンもニヤニヤしている。
村の子ども達の遊びは乏しかった。
鬼ごっこや、かくれんぼの外遊びは多少のルールの違いはあれどあった。
しかし、家遊びが絵本と人形くらいしかなかった。
そこで積木の出番だ。
村の子ども達も喜んでいたし、大人は木っ端まで金になると喜んでいた。
「私たちなら思いつかなかったのよ?それだけでジュンがこの世界にきた意味があったわ」
そんな手放しで褒められると照れる。
そのうちサイコロも作ってすごろくも売り出そう、密かに決意する。
明後日帰るというお母さんに迎えに来ましょうか?と尋ねるとポッと顔を赤らめた。
「パパが来てくれるの」
次の当番のおかみさんと納品にお父さんが来るらしい。
そして二人揃って帰るのだ、と。
両手を頬にあててまるで少女のようにはにかんでいる。
熊なんだがなぁ。
「母さんがすまない」
帰路のトラックでダーリンが謝ってくる。
蒸しパンのことか?
気にするなよ、とダーリンの肩をポンポンと叩く。
「それにしてもここの人らみんな長い名前だよな?覚えられないよ」
「あぁ、悪魔に名を呼ばれて返事をすると連れていかれるからな」
「へ?あ、くま?」
「悪魔だ」
いやまたそんなファンタジーなってここは異世界だった。
たった一ヶ月もいないうちに馴染み過ぎてた。
「長い名前だと悪魔が覚えきれないし、間違える可能性もあるからな」
「悪魔ってアホなんだな」
ダーリンが子どもを見るような慈悲深い目で見ている。
うんわかってるよ、特大ブーメランが自分に返ってきてるって。
「だから、ジュンの名前は覚えやすくて短いから心配だ」
「いや、子どもじゃないんだから」
「聞き慣れない声に名を呼ばれても返事をしちゃいけないぞ」
「わかったわかった」
ダーリンは心配性だなぁ、とハンドルを握り直す。
「で?どこに連れて行かれんの?」
「常闇の国とも神蒼の底とも言われている」
「へぇ?」
「連れて行かれたら俺が迎えに行く」
そりゃどうも、と笑って見せたがダーリンの瞳は存外真剣だった。
イケメンの真剣すごい。
オレじゃなくても、きっとみんな胸きゅんすると思う。
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