通学

香坂

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第1章

日々

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  電車の時間を変えてから三日連続でピアス女子と会った。
けど、何でか分からないけど、昨日と今日会わなかった。
何で?まさか時間変わった?それとも部活始めたとか?いきなり過ぎるか。
まさか、俺と和哉に気付いて気持ち悪がられて時間帯変えられた?
いや、そんな事はさすがに無いか。それにピアス女子と目合った事ねーし。
「ねー虹太、何で時間変えたの?この前までぎりぎりの電車しか乗んなかった癖に~」
「いいだろ別に。嫌ならお前だけぎりぎり乗れば」
「虹太と一緒じゃなきゃ嫌だわ!」
気持ち悪い事言ってんなーこいつ。
まぁ嬉しくない訳じゃないんだけども。
ピアス女子・・・会わねぇな。何かあった・・・とか?
もしかしてインフルエンザで一週間休んでたり、とか?
いや、六月の暑さはまだまだだけど、結構暑いよな?インフルエンザなるか?
夏風邪はバカが引くって言うし・・・ただの夏風邪だったり?
てか本当俺ピアス女子の事気にしすぎだろ。本当やばいな、かなり。
昨日と今日会ってねーから、ため息半端ない。ん?会ってねーからため息ついてんの?
違うだろ、ただ単に疲れたとかバイト疲れ・・・だよな。俺。
というかピアス女子の事より、まず彼女のこと解決しないとな。
「和哉、お前俺の彼女と連絡取ってたりする?」
「百合ちゃん?取ってるけど」
そう、俺の彼女の名前は百合。
その名前が俺達の会話に出てくるなんて久しぶりだ。
和哉も百合の名前なんて出さなかったし、俺だって会話に出さなかった。
しかも心の中で俺は百合ではなく“彼女”と言うふうに呼んで、名前で呼んでいない。
最悪な彼氏なのは分かってる、でも何だろう、呼ぶ気も出ないっていうか。
「なら、俺が話があるって言っとけ」
「お、やっと?」
ちゃんとけじめつけないと、ピアス女子に対する気持ち認められねぇ。
一目見ただけで、そういう気持ちになるなんて、やべーな。
早く彼女の事解決しないとな。
「虹太!百合ちゃん、放課後俺らの学校ちかくの駅前まで来てくれるって」
「・・・おーサンキュ」
今日の放課後か・・・早いな。
いざ半年ぶりくらいの自分の彼女に会うって、こんな緊張すんのか。
っていうか自分の彼女なのに、こんな緊張するって、変だな。
まぁいい。緊張する気持ちを隠して、ちゃんと百合と話そう。



  学校が終わってすぐに駅前に向かった。
もう夜二十一時過ぎだけど、いるか?連絡したの十九時ぐらいだし。
まぁ定時制って知ってるから、遅めに来てくれてるだろうけど。
和哉は他クラスの友達とゲーセンに行くと言って行った。
多分気つかってくれたのかな。今回は感謝しとくか。
駅前に着くと、百合はまだいなかった。さすがに来るの遅くね?
まぁいっか。何時にとか言っとけば良かったか?連絡不足って最悪だな。
「あっ、虹太ー!」
「おー久しぶり百合」
俺に気付いて、笑顔で手を振ってくれる百合。
久しぶりに見た笑顔は、どこか嬉しそうで、どこか寂しそう。
・・・全然分かんねぇ。
何で百合の事好きだったのかも、冷めたのかも分かんねぇ。
ごめん百合。でももう俺、好きな奴出来たっぽいから。
「久しぶりだね!どうしたの?」
「・・・百合、別れよう」
「・・・何で?」
何で?何でって言われても、答えなんてそんな・・・あるか?
冷めたって言うのか?何か冷たくね?それこそ百合泣きそうだわ。
他に好きな奴・・・いや、彼女いるのに他に好きな奴できたら浮気になるか?
何て言えばいいのかすら分かんねぇ。どうすればいいんだろ。
「ねぇ、何でって聞いてるじゃん!」
「・・・」
「ねぇ、虹太」
「好きな奴。出来たんだよ」
信じらんない!もういい!と言いながらどっか行った百合。
案外、泣いたりしなかったな。多分百合も俺の事どこかで冷めてたり。
というかもう好きじゃなくなってたんじゃね、俺の事。
ただ別れを告げるのが難しくて、こんなに緊張して勇気いるなんて。
あー。俺ちゃんと百合の事好きだったんだな。
だって好きじゃなかったら、もっと簡単に別れよって言えたはずだし。
これで良かったんだよな。これでちゃんと、ピアス女子と向き合える。
気持ちがやっと楽になった時、スマホに電話が掛かってきた。
和哉だった。何だよ、気が楽になった時にいきなりこいつかよ。
そう思い電話に出た。
「どしたー」
『おい!虹太すげーぞ!!』
「おま、声でけぇ」
『今な?忘れ物して学校戻ったら、電車の子いたぞ!!職員室に!』
「・・・は?」
すごいことを聞いた俺。
いや、まさか・・・私立の女子高に通ってる奴がいる訳ねーだろ。
絶対に和哉の見間違えだな。それかそっくりさんだろ。それしかねぇ。
・・・でもまぁ、定時制に入るのなんて簡単だからおかしな事ではない。
転校?というより、編入だよな?まぁこの時期で編入って無くね?
何か訳ありで私立に居れなくなって、都立高校の編入まだだから近くの定時制にとか?
いやまぁ、何でもいいんだけど。てか本当すごいこと聞いちゃってね?俺。
『もしかして定時制に来るんじゃね?』
「・・・訳ありだな」
『それ。何かあったんかねーあの子』
その後和哉は、しかも私服だったとも言ってた。
本当に転校っていうか、編入?っていうか・・・まぁ編入でいいか。
普通は学期ごとの始めじゃないとできないんじゃね?すごい訳ありとか?
まぁもう少しで夏休みだし。いいだろみたいな?それだったら先生達軽いな・・・
ふーん。まぁ何だとしても、もしかしたら転校か編入してくるかもしれないし。
電車で会えなくても学校で会えるかもなんじゃね?それ、ラッキーだわ。
電車のちょっとの時間じゃなくて、学校の四時間か五時間くらいの時間会えるんだろ?
いや、でもまだ定時制に来るなんて決まったわけじゃないんだけど。
第一私立高校のお嬢様的な奴がいきなり定時制に来る?ありえなくね?
私立入ったって事は、お金あるからじゃねーの?じゃなきゃ親も私立じゃなくて都立いれるだろうし。
でもこの半端な時期に編入って、本当いけんの?大丈夫なわけ?
まぁ、明日になったら分かるだろうし。和哉にも詳しく聞こうかな。



  驚いた。ピアス女子が職員室にいる。
遅刻してしまって、二時間目から来てしまった。
遅刻して来た人は一回職員室に寄って、担任に来た事を報告しなきゃいけない。
和哉は遅刻したくなーいと言って家で寝てる俺を置いて行った。
いつかぶん殴ると決めた俺。と言ってるけど本気で殴ったりしない。
まぁ、冗談ってこと。たまに喧嘩したりするけど、いつも俺が折れる。
俺は妹がいるから喧嘩とかで折れるのは慣れてる。
って、そんな事は今どうでもいいんだよ。何でピアス女子?
すげー目合ってんだけど、これって挨拶した方がいい系?それともスルー?
「・・・」
「!・・・ども」
どうしようか迷っていたら、ピアス女子がぺこりと挨拶してきた。
まじか。意外だわ。そのまま目逸らされてスルーされるかと思ったから。
なのにぺこりって、ぺこりって!まさか同じ学年?同じクラスとか?
先生に聞いたら教えてくれるかな?いや、個人情報だから無理とか言われそう。
まぁ早く担任に来た事言って教室に戻んないと。って思ってるのに。
まだこの空間にいたいって思ってる自分がいて、気持ち悪いな、俺。
「・・・渡辺先生探してるの?」
「・・・え、あーまぁ」
びっくりした。話しかけられたんだけど。ピアス女子に。
これが初めての会話って・・・何か他クラスの人と初めて話した会話みたいじゃね?
っていうか、渡辺先生って俺の担任じゃねーか。
ピアス女子が渡辺先生知ってるって事は、一年B組?一緒のクラスかも?
「編入?」
「うん。今日から」
「B組?」
「そう、君も?」
君も?って聞かれて頷いて答えるだけの俺。
そうだよって言ってあげればいいのに、冷たいな俺。
今日からってことは、もう私立高校じゃなくてこの高校の定時制生徒か。
ふーん。電車で会うより同じクラスで会って仲良くなれた方がいいな。
多分席は遠いだろうし、仲良くなれる時なんてあんまり無さそうだな・・・
「よろしくね」
「・・・おー」
「大沢侑花です」
まさかピアス女子の名前が分かる日がくるなんて思わなかった。
大沢侑花・・・大沢か。
いやだって、一応もう知り合ってる訳だしピアス女子なんて言ったら変だろ。
ピアス女子って何?とか絶対言われるに決まってるし。
「綾崎虹太です」
「虹太くん、よろしくね」
B組なんだよね?同じクラスで良かった仲良くしてください。という大沢。
まぁ仲良くするよそりゃあ、今日会う前から好きなんだから。
多分電車の中で見てから好きですとか言ったら絶対引かれんだろ。
気持ち悪がられるに違いない。でも本当ピアス女子の髪茶色いよな。
まぁ、そこまで明るい茶色でもないけど。まぁ・・・ちょっと明るめ焦げ茶的な。
それにしてもいつ見てもピアスが目立つな。リングピアス三つに赤い宝石的なピアス。
リングピアスはいつも変わるけど、その赤いピアスはいつも変えてない。何でだろ。
「あ、綾崎!来たのね~遅刻でしょ?分かったから早く教室行きなさーい」
「分かってるわ。大沢は?」
「え、二人知り合い?」
「今仲良くしてもらったんです」
さっきまで大沢さん一回も笑わなかったのに綾崎あんた何したのー?と言う渡辺。
別に何もしてないんだけど、普通に自己紹介し合っただけだし。
まぁ、それだけでも俺は嬉しかったんだけども。
「なら二人とも教室行きなー、ちなみに大沢さんの席こいつの隣ね!」
いやこいつって何だよ。俺一応貴女の生徒なんですけど。
大沢も、分かりましたって言って俺の後をついて来ようとしてる。
リュックを背負って、行こう虹太くんと言う大沢は、・・・可愛い。
職員室に近い自分の教室、一年B組に向かった。



  「編入してきた大沢侑花です。よろしくお願いします」
よろしくねーとか、可愛いーとか騒いでいるクラスメイト。
まぁ定時制はチャラいと思われがちだし、ヤンキー多いと思われるのは仕方ない。
でもこのクラスはいじめだって無いし。普通に皆ノリ良くて優しい。
だから大沢もすぐに馴染めるだろ。しかも席は俺の隣で和哉の斜め後ろ。
って事は俺と和哉と話せるし、仲良くなれる機会だろ、これは。
「侑花ちゃんって言うんだね!よろしく~俺和哉!」
「うん、よろしくね和哉くん」
「和哉でいいよー」
そう?なら和哉ね!と言う大沢。
なら俺も虹太でいいんじゃね?和哉が和哉なら俺も虹太だろ。
まぁそんな事をストレートに言える訳もなく、ぶすっとしてる俺。
和哉はそんな俺を見てゲラゲラ笑ってる。まじうぜぇ。ムカつく。
何でお前は和哉で呼び捨てで、俺は虹太くんなんだよ、くん付けかよ。
「侑花ちゃーん、こいつも呼び捨てでいいよ?」
「え?いいの?」
「いいよな?な!虹太!」
「・・・おう」
分かった、虹太ね。と言いながら笑みを浮かべる大沢。
すごい急展開な気がするけど、電車で遠くから見るより、隣の席で一緒に話す方が全然楽しいし、面白い。
ピアス女子が・・・大沢がきっかけで学校サボらなくなるなんて、本当面白い話だわ。
電車で見るより学校が一緒の日々の方が全然いい。
「何笑ってんだよ虹太」
「笑ってねぇ」
「ちょっとだけ笑ってるよ虹太」
大沢の笑顔が見れるなんてな。
電車では笑ってなかったし、ずっとスマホいじってたり本読んでたり。
こんな近くで話す機会とか笑う顔が見れるのは本当すごいわ。
学校がこんな楽しくなるなんて、本当久しぶりだな。
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