天使の毒

香坂

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今日私、学校に遅刻ギリギリで着きました。
教室のドアを開けて、すぐさま香菜が私に話しかけた。

「侑花!見た!?」
「え、何を?」
「テスト結果!順位!!」
「えっ」

まさか、今日テスト結果が貼られてるなんて・・・
!そういえば・・・坂畑先生!!
私は教室にさっきーがいるのかを確認した。
・・・いない
もうテスト結果を見に行ってるの!?いつも遅刻ギリギリなのに!
何で知ってたの!知ってたら教えてくれたっていいのに・・・
でも、もうチャイムが鳴ったから外に出れない。
・・・とか私が言うとでも思ったか!チャイムとか関係ないよ!!

「先生ちょっと・・・!」
「え?どこ行くの!?」

私は教室から出て、テスト結果が貼られてる1階職員室前に向かった。
てか、私今学校に来たばかりだから見とけばよかった。
でも知らなかったからしょうがない。
そんなことを考えている間に職員室の前についた。
まぁチャイムが鳴ってるからテスト結果前には誰もいない。
テスト結果って言っても、順位を張り出されるだけ。
30位までがクラスと名前の上に順位が書いてある。
てか、さっきーは1位じゃないと駄目なんだよね!?
私は1位以外に今は興味なかったし、頭になかった。
まず今は何も考えれなかった。思考が回らなかった。
もし、さっきーが1位じゃなかったらどうなっちゃうのかな・・・

「・・・嘘」

1位じゃ、なかった・・・?
1位は、3組の七瀬光と言う、いかにも女子っぽい名前の男子。
ひかりと読む人もいるかもしれないけど、ひかると読みます。ななせひかる です。
まぁ、光は同じ小学校の時から頭が良くて、良く競ってて・・・
でもこんな時に光に抜かされるなんて思わなかった。
・・・!さっきーは!?さっきーこれ見たんだよね?でも教室いなかったし・・・どこ行ったの?

「侑花!」
「・・・さっきー」
「どうしたの?てか泣いてる!?」

なんで泣いてんの~?と笑いながら問いかけて私の背中をさすってくれた。暖かい手だ。

「だって、1位・・・」
「ちゃんと見て?1位の下」
「へ?」

光は、5教科486点で1位と提示されていた。
その下を見てみたら・・・え?え?嘘!え!?何で!?
1位の光の下に、2位じゃなくて1位と提示されていてちゃんと名前も・・・
佐々木翔とちゃんと書いてあった。

「え?何で?」
「光と同点だったみたい」

486点でさっきーも光と同じ点数で1位だった。
私1位ばっかり気にしてて、1番左しか見てなかった。
さっきー1位・・・すごい。本当にすごい。
・・・でも、私のせいで今まで普通の勉強で順位は1位狙わなくても狙ってる高校は行けるって言われてたのに。
え?まだ2年の1学期なのにって?早めに決めといた方がいいらしい。
て、そうじゃなくて!そうじゃなくて!!
私の堪忍袋の緒が切れて坂畑先生にキレて、殴られそうになって・・・
そのせいで、さっきーに心配かけたし、迷惑かけた上に!!
庇ってくれてすっごく勉強させちゃって。
塾とか習い事とかサッカーで忙しいはずなのに・・・
本当に、どうしてそんな頑張ってくれたの?

「・・・本当にバカ」
「何で?1位だよ?さっき坂畑と会ったけど、俺の事見て逃げてったよ?」

ざまあみろって思っちゃったわーとか言って笑ってるさっきー
・・・バカ、何でさっきーはこんなに馬鹿なの?
まぁ坂畑先生が逃げてったのはちょっと、嫌かなり笑えた。
てか今さっきーが最初に言ってた 何で?ってちょっと可愛いかったかも・・・
いやいや!そうじゃなくてね!ね!違ってば!

「無理したでしょ」
「してないよ?」
「嘘、目の下隈・・・」

私はそう言って、さっきーの目の下の隈に触れた。
多分、さっきまで泣きそうになってたからちょっと手が震える。
夏だから夏服だし、暑いんだけど震えてる。
まぁ寒いとかの震えではないんだけどね?うん。
私がさっきーの目の下に触れた時、さっきーは私の手に触れた。

「こんなに、頑張れるなんて思わなかったよ」
「・・・私のおかげ」
「そうかもね」

でも、こんないい点数取れたのは、さっきーは初めてらしい
私のおかげとかそんな訳ない。冗談だからね?これ。
でも本当にさっきー・・・うん。良かった
でも!この点数を取れたのは、さっきーに無理させてたから・・・
だから、光に続いて同じ1位取れるなんて、すごい。
今の私はあんまり勉強してないし。平均点以上取れればいいかなくらいで
それを光に話したら『は?いきなり?張り合う相手いなくてつまんない。』って言われたっけ。
でも、私の目指してる上沢高校は偏差値52で普通。
私はわざわざ自分を高くしなくてもいいも思ってる。
でも、光は確か都立で偏差値70の所だった気がする。
さっきーは・・・偏差値62でちょっと高い所。でも今のさっきーなら余裕
なのに、私を庇ったせいで無理させたから。

「・・・あーもう、侑花泣くなって。ね?」
「だって・・・」

侑花が泣いてる。
侑花が泣いた所なんて見たの初めて。
確か、小学校の頃からなかった気がする。
いつも侑花は、クラスの中心にいて、人気があって元気で明るくて
すぐ拗ねるし、怒ると沈黙で人を無視するし。
子供っぽくて未だに小さいミニチュアな物が好きだし。
けど、泣いてる所は見たことがなかった。
今初めて侑花の、彼女の泣き顔を見た。
でもそれは、辛いとか悲しいとかそんなんじゃない。
誰かにいじめられた時に出る涙でもない。
苦しい時に出る涙なんじゃないかと、俺は思う。
侑花はいつも、自分が苦しんでるのに人に弱音を吐かず
友達に迷惑をかけないようにいつも笑ってるらしい。
橋本が言ってた。あ、侑花の親友の橋本香菜ね。
うん。俺から見ても彼女は子供っぽくて無邪気で不器用で可愛いらしい。
今、こんな時にいう言葉じゃないかもしれないけど・・・
今の侑花の泣き顔は、苦しんでる感じだけど綺麗。

「私のせいで・・・無理さした」
「違う」
「違くない」
「違うよ。侑花の“せい”じゃなくて、侑花の“おかげ”の方が合ってるよ」

うん。絶対それの方がいい。
侑花のせいなんじゃなくて、侑花のおかげてここまで頑張れた。
自分を責めないでほしい。泣き顔はレア。だけど、好きな子の泣き顔は見たくない。
それも、自分の事で泣いてるなんて、以ての外。
でも、これから泣き顔とか悲しんでる顔、笑ってる顔とか色んな顔を見ていくかもしれない。
けどなるべく泣かせないようにしたい。涙は見てて辛い。

「・・・かっこ良すぎ」
「そう?ありがと」
「ありがとうはこっちだよ。さっきー」

侑花が俺に笑顔で感謝の言葉を言ってきた。
何で?感謝するのは俺の方なのに。
侑花のおかげで、侑花がいたから今回テスト頑張れて。
こんなにいい結果が出るなんて思ってなかったし。
正直、テストの時不安だった。
1位取れるかどうかが微妙だった。
英語が、俺本当に苦手で、というか侑花と違って理系派だから
文系は本当に意味不明。何で?何この英語?とかだった。
でも、今回すごく勉強したから良く分かってきた。
英語94点取れたのなんて初めて。本当に嬉しかったし。
これも侑花のおかげ。侑花に感謝しきれないや・・・
なのに、侑花は自分のこと責めるから、素直に喜べない。
でも、俺が侑花のおかげって言ったら泣き止んだ。
幼い子供みたいな顔してるのに、今は何か綺麗・・・
良かった。泣き止んでくれて、やっぱり侑花は笑顔が似合うよ
侑花が泣き止んで笑ってくれて安心した。良かった。
ありがとう侑花。と俺は心の中で感謝した。
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