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彼女の力
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「……あの抗争は酷かったわよね。」
ミズエの声は暗かった。それもそのはず。その抗争は中部地区で起こった抗争の中で最も大きく、両チームから全部で20人以上の死人が出たものだったからだ。俺達は戦争と言ってる。
大体の抗争は1つずつは小さなもので10対10とか、大きくても15対15くらいなものだった。でもその時は50対50で罵維菌族と殺菌族の複数のチーム同士で争った。全てタイミングが合ってしまっただけだった。
最初は小さな小競り合いで、もう理由が分かるものはいない。そのうちどこかで火がつき、仲間が仲間を呼びあれよあれよという間に戦争になってしまった。
「俺とユースケも参戦したんだよな。あの時は。」
「はい。"殺菌族の新入りに赤い目の奴が入ったらしいから見に行こう"って兄貴が。」
「めっちゃ楽しんでますやん!」
トシキのツッコミに俺は小さく笑って、両手をあげて伸びをした。
まぁ確かに、今思えば最終的にはすげぇ追い込まれたんだったなぁ。よく生き残ったもんだ。
「ん~~。でも結局その、赤目の奴が誰なのか分からなかったんだよな~。」
え? とミズエが変な反応をして言った。
「その強い奴がクアリクじゃん。」
「えぇ!? そうなのか?」
「まじかよ!」
ユースケも珍しくいいリアクションをとったが、ありえないといった口調で返された。
「なんで戦いの中に居たあんた達が知らなくてあたしが知ってんのよ。」
呆れた表情で俺とユースケは見られて、なんと溜息までつかれた。
「そ、そういやぁ兄貴、先代の最後の目撃証言ってありましたよね。」
「……あぁ。確か、金髪の色白野郎とどこかへ……あぁ! それクアリクじゃねーか!」
「全然気付きませんでしたね。」
「……。」
俺たちには衝撃的な情報だったけど、俺たちがアホだという情報も4人に漏れてしまった。
オホンっとミズエが咳払いをして仕切り直してから俺を見た。
「何かクアリクの奴、知ってそうね。もしかして最悪は……。」
ミズエが途中まで言いかけて口ごもったが、全員がその先は想像できていただろう。
「……ごめん。」
「いや、正直今の話で最悪のパターンもあり得ると思ったよ。俺達は1年も探して来たんだ。それでも先代は見つからなかったし、だから……。」
「兄貴……。」
ユースケの悲しそうな声に俺は頷いて応えた。
恐らく先代は、もう生きていないだろう。
ミズエの声は暗かった。それもそのはず。その抗争は中部地区で起こった抗争の中で最も大きく、両チームから全部で20人以上の死人が出たものだったからだ。俺達は戦争と言ってる。
大体の抗争は1つずつは小さなもので10対10とか、大きくても15対15くらいなものだった。でもその時は50対50で罵維菌族と殺菌族の複数のチーム同士で争った。全てタイミングが合ってしまっただけだった。
最初は小さな小競り合いで、もう理由が分かるものはいない。そのうちどこかで火がつき、仲間が仲間を呼びあれよあれよという間に戦争になってしまった。
「俺とユースケも参戦したんだよな。あの時は。」
「はい。"殺菌族の新入りに赤い目の奴が入ったらしいから見に行こう"って兄貴が。」
「めっちゃ楽しんでますやん!」
トシキのツッコミに俺は小さく笑って、両手をあげて伸びをした。
まぁ確かに、今思えば最終的にはすげぇ追い込まれたんだったなぁ。よく生き残ったもんだ。
「ん~~。でも結局その、赤目の奴が誰なのか分からなかったんだよな~。」
え? とミズエが変な反応をして言った。
「その強い奴がクアリクじゃん。」
「えぇ!? そうなのか?」
「まじかよ!」
ユースケも珍しくいいリアクションをとったが、ありえないといった口調で返された。
「なんで戦いの中に居たあんた達が知らなくてあたしが知ってんのよ。」
呆れた表情で俺とユースケは見られて、なんと溜息までつかれた。
「そ、そういやぁ兄貴、先代の最後の目撃証言ってありましたよね。」
「……あぁ。確か、金髪の色白野郎とどこかへ……あぁ! それクアリクじゃねーか!」
「全然気付きませんでしたね。」
「……。」
俺たちには衝撃的な情報だったけど、俺たちがアホだという情報も4人に漏れてしまった。
オホンっとミズエが咳払いをして仕切り直してから俺を見た。
「何かクアリクの奴、知ってそうね。もしかして最悪は……。」
ミズエが途中まで言いかけて口ごもったが、全員がその先は想像できていただろう。
「……ごめん。」
「いや、正直今の話で最悪のパターンもあり得ると思ったよ。俺達は1年も探して来たんだ。それでも先代は見つからなかったし、だから……。」
「兄貴……。」
ユースケの悲しそうな声に俺は頷いて応えた。
恐らく先代は、もう生きていないだろう。
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