ブラッシング!!

コトハナリユキ

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彼女の力

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 俺は妙だなと思いつつも、そのまま話した。
 「今までどれだけの人数殺ってきたのか知らねーけど、今日あいつらのこと殺れてねーだろ。」
 「それは」
 「なんでだ? "赤目のクアリク"って異名がつくお前が"殺るチャンス"をみすみす逃してんだよ。」
 「……。」
 ここまでの疑問がどんどん湧いてくる。クアリクが俺に向ける銃口は徐々に下りていった。
 「そうだ。お前が俺達を殺れなかった理由があるはずだ。」
 俺は右手を伸ばし人差し指でクアリクを指した。
 「お前はどっかでとまどってるんじゃないか?」
 この言葉で初めてクアリクと目が合った。俺は目を見つめた。
 「お前の目はただの殺人狂の目じゃねぇんだよ。」
 
 一息ついてからクアリクは少し笑って言った。
 「罵維菌族ばいきんぞくのお頭さんは皆こうなんですか?」
 「あ?」
 「先代のおかしらさんもこうでした。」
 クアリクはやっぱり何か知っている。先代ヘッドのことを……!

 「お前やっぱり先代のこと知ってんだな。」
 「……あの抗争の時もそうでした。」
 クアリクはさっき俺達が話していた1年前の抗争の話を始めた。外は日没を迎えていた。

 「あの激しい抗争の終盤で僕は、先代お頭さんの背後をとりました。」
 ゆっくりとクアリクは語り始めた。
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