泡沫の如く儚い平和

琴里 美海

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第壱拾五話

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 何十年も昔、おいらにまだ妹がいない時。だけどおいらはもうすぐ生まれる妹を楽しみに待っていた。何時も何時も母さんの大きくなった腹に耳を当てて妹の音を聞いていた。何時も何かしら声を掛けていた。鳥の妖怪だけど、人の姿を借りている存在だからその辺は人と同じだ。

「ねぇ泡沫。」

 声を掛けられておいらは母さんを見た。
 おいらの本当の名前は泡沫うたかただ。今名乗ってる名前は仕事で使うから使ってる名前で、雀と同じ様に偽名で、雀同様に親から貰った名前がある。

「妹の事頼むずらよ。」

 そう言っておいらの頭を撫でて来た。

「ん。」

 おいらは妹が生まれる事と、母さんに頼りにされる事が嬉しくて笑った。
 それから数カ月後、妹が生まれるとおいらも両親も相当驚いた。真っ白い髪に真っ赤な目。明らかに普通じゃない見た目だけど、正直人間の世界じゃ珍しいけど、鳥とかの世界じゃ其処まで珍しくない。
 驚いたけどそれでも可愛い妹はおいらの小指を掴んで来た。

「にーちゃー!!」
「ん?」

 少し前に生まれた妹に声を掛けられると、おいらはすぐに妹を、槿花きんかを見た。
 槿花はおいらの足にしがみ付くと、随分と楽しそうにおいらの足に頬ずりしてきた。何か知らないけど、槿花はこうしておいらに頬ずりするのが好きだ。

「にーちゃ、遊ぼ。」
「悪いけどにーちゃんこれから出掛けるんずらよ。」

 いや、随分と恥ずかしいけど訛りがあってさ、昔は大体この口調だったんだよ。
 槿花は随分と不満そうに頬を膨らませた。この顔すると大体おいらが折れるって分かってるから、遊んでほしい時は必ずこうしてくる。だけどな槿花、おいらが毎度必ず折れると思ったら大間違いだからな。
 おいらは槿花の額を小突いた。

「あいた!!」
「駄目なもんは駄目ずらよ。」
「うー、にーちゃの意地悪!!!」

 槿花はおいらの足を叩いて来るが、まぁ大して痛くない。
 兎に角今日は出掛けるから、おいらは槿花を無視して出掛けた。
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