泡沫の如く儚い平和

琴里 美海

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第四拾話

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 次の日、暁光さんに運ばれて、四人で山の上の方へ行くと、雉さんが一人で立っていた。表情からして、皆が来る事が分かっているみたいだった。

「やっほう泡沫。」
「雉………………」
「んで、また勝てなさそうな人達連れて。」
「いや、今回戦うのはおいら一人だ。」

 暁光さんは肩に担ぐ私の入った箱を置いて、その後ろに立って腕を組んだ。雀さんは箱の横に腰を降ろした。それを見て雉さんは少し驚いた顔をしてから笑って鳩さんを見た。

「ま、どんな話しをしたかは聞かないで良いや。」

 雉さんが構えると鳩さんも大きく深呼吸をして構えた。
 二人はお互いに向かって走って行くと、二人共蹴りを入れて、足がぶつかりあった。

「じゃ、暁光、あっしはちょっと行ってくるっす。」
「おう、気を付けろよ。」

 雀さんは鳥の姿になると飛んで行ってしまった。
 鳩さんが雉さんに頭突きをすると、それは見事に雉さんのお腹に当たった。

「カハッ!!!」

 そのまま鳩さんは離れようとすると、雉さんは鳩さんの頭を掴んで、顔を膝で思い切り蹴った。

「いっ!!!」
「ッ鳩さん!!!」

 膝が直撃したのか、鳩さんの鼻から赤々しい血が流れていたけれど、鳩さんは気にせず雉さんを掴んで地面に思い切り叩きつけた。
 雉さんは地面にぶつかる直前に手を突いて、その手を軸にして回転して鳩さんに蹴りを入れた。だけど鳩さんは雉さんから手を離さず、無理矢理地面に叩き付けた後、肘で雉さんの顔を殴った。

「うぐっ!!!」

 如何して、如何して二人が戦っているんでしょうか。幼馴染なのに、お友達なのに。

「暁光さん。」

 私は暁光さんを見ると、暁光さんは何も言わずに唯真剣な目で二人を見ていた。何だろう、まるで何かを探している様な……………………
 私も二人を見ると、お二人はお互いに頭突きをしていて、グラリと倒れていた。

「あ!!」

 二人共堪えてから距離を取って、額から流れた血を拭った。

「何かさ、オラこうやって泡沫と全力で戦うの、実は夢だったんだよね。」
「は?」
「泡沫って基本的に誰に対しても少し離れた感じだからさ、こうやって本気でぶつかってくれる事そんなに無いから。」

 雉さんはそう言って笑った。あ、やっぱり雉さんは良い人だ。ちょっと不器用なだけで、本当は唯の良い人なんだ。
 雉さんは鳩さんに向かって行くと、地面の砂を拾い上げて鳩さんに掛けて目を潰した。

「っ!!!」

 目に砂が入って鳩さんはすぐに目を瞑ってしまった。その隙に雉さんは鳩さんの左に移動して背中に向かって蹴りを入れようとした。

「鳩さん左です!!!」

 咄嗟に鳩さんにそう言うと、鳩さんは左に向かって思い切り体当たりした。すると雉さんに直撃した。

「なっ!!!」

 そのまま雉さんを地面に押し倒すと、鳩さんは思い切り頭突きをした。それは雉さんのお腹に直撃した。
 鳩さんは涙で砂が洗い流されと、すぐに目を開けて雉さんの胸の辺りの服を掴んだ。
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