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第七話
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気付かれない様に後を付けて村まで行くと、さっきのあいつが村の端の方で、採って来たばかりの木の実を、特に調理も何もせずに食べているのを見付けた。村の連中はあいつに気が付いているのに特に声を掛けたりもせず、横目でチラチラと見ているだけだった。
その時丁度頭に声が響いた。
「あの女がいなくなれば必ず村は今以上に良くなります。だからどうかあの女を殺してください。」
(煩ェ!!!)
今忙しいからちょっと黙ってろ!!!そう思って俺は首を何度も横に振った。
前々から村人が言っているあの女ってのは、あいつの事なんだろうな。村の様子からして大して豊かって訳じゃなさそうだし、それも全部あいつのせいにしたいんだろう。だけどあいつがいなくなったからと言ってこの村の状態が良くなる訳が無い。
そんな奴等が幸せになりたい?はぁ、ふざけるのも大概にしろっての。
俺はもう誰の願いも叶えない。元々叶える気の無い願いもそうだけど………………
(あいつの村人の幸福を願う願いなんか特に叶えたくない。)
もう帰ろうかと思った時、子供の笑う声が聞こえて振り返った。三人の子供が手に石を持ちながら何か言って笑っている。
「あれ妖怪だって父ちゃん言ってた!!」
「化け物は死んじまえ!!」
そう言って石を投げた相手は案の定あいつだった。
石はそいつの額にぶつかった。怒るか何かすると思ったけど、そいつは少し驚いた顔をしてから子供達に笑って会釈して、申し訳なさそうにその場を去って行った。
(何で……………)
何で何も言い返さない。お前は別に何も悪い事なんかしてなかっただろ。
俺はすぐにあいつを追い掛けた。
「おい!!」
「!!」
声を掛けると相当怯えた様子で肩を動かして反応し、恐る恐るこっちを見て来た。俺だと分かると何故か少し安心した表情になって胸を撫で下ろし、俺に近付いて来た。
「どうかしましたか?」
「お前さっき石投げられてただろ!!」
そう言って前髪を上げて額を確認した。やっぱり石が当たった場所は赤くなっていて、それが明らかな証拠だった。だけどそいつは笑顔で首を横に振った。
「違いますよ。」
「いや、お前此処赤くなって………………」
俺がそう言うとそいつは少し恥ずかしそうに笑った。
「これはさっき其処で転んで木にぶつけたんですよ。」
嘘を吐くな。
さっきの事は俺は全部見てるんだよ。それを言ってもそいつは転んだの一点張りで、本当の事を言わなかった。
その後俺がどれだけ問い詰めても一切口を割らなかった。
これ以上何を言っても無駄かもしれないと思い始めた時、そいつは俺の手を握って微笑んだ。
「大丈夫ですから。」
そう言ってするりと俺の横を通って村の方へと走って行ってしまった。
俺はあいつの手の冷たさの残る自分の手を見ていた。
その時丁度頭に声が響いた。
「あの女がいなくなれば必ず村は今以上に良くなります。だからどうかあの女を殺してください。」
(煩ェ!!!)
今忙しいからちょっと黙ってろ!!!そう思って俺は首を何度も横に振った。
前々から村人が言っているあの女ってのは、あいつの事なんだろうな。村の様子からして大して豊かって訳じゃなさそうだし、それも全部あいつのせいにしたいんだろう。だけどあいつがいなくなったからと言ってこの村の状態が良くなる訳が無い。
そんな奴等が幸せになりたい?はぁ、ふざけるのも大概にしろっての。
俺はもう誰の願いも叶えない。元々叶える気の無い願いもそうだけど………………
(あいつの村人の幸福を願う願いなんか特に叶えたくない。)
もう帰ろうかと思った時、子供の笑う声が聞こえて振り返った。三人の子供が手に石を持ちながら何か言って笑っている。
「あれ妖怪だって父ちゃん言ってた!!」
「化け物は死んじまえ!!」
そう言って石を投げた相手は案の定あいつだった。
石はそいつの額にぶつかった。怒るか何かすると思ったけど、そいつは少し驚いた顔をしてから子供達に笑って会釈して、申し訳なさそうにその場を去って行った。
(何で……………)
何で何も言い返さない。お前は別に何も悪い事なんかしてなかっただろ。
俺はすぐにあいつを追い掛けた。
「おい!!」
「!!」
声を掛けると相当怯えた様子で肩を動かして反応し、恐る恐るこっちを見て来た。俺だと分かると何故か少し安心した表情になって胸を撫で下ろし、俺に近付いて来た。
「どうかしましたか?」
「お前さっき石投げられてただろ!!」
そう言って前髪を上げて額を確認した。やっぱり石が当たった場所は赤くなっていて、それが明らかな証拠だった。だけどそいつは笑顔で首を横に振った。
「違いますよ。」
「いや、お前此処赤くなって………………」
俺がそう言うとそいつは少し恥ずかしそうに笑った。
「これはさっき其処で転んで木にぶつけたんですよ。」
嘘を吐くな。
さっきの事は俺は全部見てるんだよ。それを言ってもそいつは転んだの一点張りで、本当の事を言わなかった。
その後俺がどれだけ問い詰めても一切口を割らなかった。
これ以上何を言っても無駄かもしれないと思い始めた時、そいつは俺の手を握って微笑んだ。
「大丈夫ですから。」
そう言ってするりと俺の横を通って村の方へと走って行ってしまった。
俺はあいつの手の冷たさの残る自分の手を見ていた。
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