星河輝く外の空

第五話

　神殿の地下へ案内されると、私が通された部屋は、最初に行った部屋とは大分雰囲気の違う部屋。それこそ一言でいうなら、石造りの牢屋だった。
　流石にこんな所に連れて来られると思っていなかった私は少し困惑した。でも別に、可笑しな様子でもなかったから、言われるがまま牢に入って、私は白装束の人を絵見た。

「我々は準備がある為、一時咳を外す。」
「あ、はい。分かりました。」

　白装束の人が遠ざかって行くと、私はぼんやりと天井を見詰めた。岩しかないこの空間は、薄暗くて少し気味が悪いのに、何故だろう、心なしか空気が吸いやすいような気がする。いや、気のせいか。空気は簡単に吸える物じゃないんだから。
　それにしても、お父さんとお母さん、沢山お金が入って来るだろうから、楽な生活を送れると良いんだけど。
　そう考えた時、私は一つの事に気が付いた。

(待って、私が居なくなったら、お母さんの看病は誰がするの?)

　そんなの決まってる、あの家にはお父さんとお母さんと私の三人暮らし。と言う事は必然的にお父さんしか看病が出来る人が居なくなる。そうなったらお父さんは畑仕事をしながらの看病だ。そんなの大変じゃないの?
　だって、妖魔様達から与えられている畑は九つあって、それを今でさえ、私と二人で、精一杯の中手入れしていたのに、それなのに一人になったら?
　あれ?もしかしてだけど、お父さんとお母さんの暮らしは、良くなるどころか真逆なんじゃないの?

（如何しよう。）

　気付いてしまった問題点。だけど主菜を止めたいとも思えない。あぁ、だけど、如何しよう。
　主菜になるって事は、簡単に言うなら死ぬ事。
　食べられる以外の選択肢は無い。
　あぁ、何て事だろう。何年もなりたいと思っていた物なのに、それなのに如何しよう、こんな事を思ってしまうなんて…………

「……食べられたくない。」

　そんな一言を、私が呟いた時だった。

「へぇ、それは随分良い事だね。」