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第壱拾弐話
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朱夏は森に慣れている。一人で森で暮らしているからだろうけど、それにしても女の子とは思えないくらい慣れている。
そんな朱夏ですら入らないくらいの森の奥に、妖怪側へと入る境界線が存在する。
大体この辺り、と言う所で私は一度足を止めた。
「恵風?」
「大体此処から先が妖怪側だよ。人間が出歩くのは危険かもしれないから、私から離れないでね。」
「分かった。」
そう言うと朱夏は腕を組んで来た。
一歩前へ歩みを進めたその瞬間、周囲の景色は一変する。
「な………」
朱夏は驚いた様子で辺りを見回す。明らかに先程と違うその景色に驚かない訳が無い。だけどとても楽しそうだ。
この森の中には人喰い妖怪がいる。朱夏が下手に一人で出歩いたら、襲われて殺されかねない。だから私から離れるなと、そう言ったんだ。私一人だったら、そもそも人間じゃないから襲われる事は無いんだけどね。
暫く森の中を歩いていると、遠くに館が見えた。
「あれ!!」
「うん、あれが私がお世話になってる館だよ。」
館の扉の前に達、私は三回程扉を叩き、扉を開いた。
「ただいま色葉ちゃん。」
呼び掛けると、パタパタと走る音が聞こえ、色葉ちゃんが玄関まで出迎えに来てくれた。
「お帰り恵風!!あれ、その子は?」
「この子は人間の女の子で朱夏って言うんだ。」
紹介しつつ朱夏を見ると、朱夏は口を開いたまま完全に硬直している。
朱夏の前で手を振ってみると、朱夏は突然身を乗り出した。流石の事で色葉ちゃんも少し驚いたらしい。
「お前が座敷童子か!!?」
「あ、そうだよ。私は色葉!」
「さっき恵風が紹介したけど、あたしは朱夏って言うんだ!!」
さて、放っておいたら、このままこの場所で会話を始めそうだから、私は無理矢理二人を館の中の客間に連れて行った。
二人は随分と気が合うらしく、楽しそうに話をしていた。
実は最近、色葉ちゃんは疲れる事があったから、こうやって気晴らしになる事が出来て良かった。
そんな時、朱夏が唐突に話を変えた。
「随分疲れてるみたいだけど、大丈夫か?」
あまりにも突然のその一言に色葉ちゃんは驚き、固まってしまった。
「え………」
その驚き様を見て、朱夏は一言「あ。」と呟いて口を塞いだ。如何やら失言だったと、そう感じたらしい。
私はそっと耳を澄ませた。
(やっちまった、この事あんまり他人に知られちゃ面倒だったの忘れてた。)
と、そう心の中で言っている。だけどまぁ、この館の中だったら問題は無いだろうから、私は声を掛けた。
「君、もしかしてだけど、他人の感情を感じ取れるの?」
そんな朱夏ですら入らないくらいの森の奥に、妖怪側へと入る境界線が存在する。
大体この辺り、と言う所で私は一度足を止めた。
「恵風?」
「大体此処から先が妖怪側だよ。人間が出歩くのは危険かもしれないから、私から離れないでね。」
「分かった。」
そう言うと朱夏は腕を組んで来た。
一歩前へ歩みを進めたその瞬間、周囲の景色は一変する。
「な………」
朱夏は驚いた様子で辺りを見回す。明らかに先程と違うその景色に驚かない訳が無い。だけどとても楽しそうだ。
この森の中には人喰い妖怪がいる。朱夏が下手に一人で出歩いたら、襲われて殺されかねない。だから私から離れるなと、そう言ったんだ。私一人だったら、そもそも人間じゃないから襲われる事は無いんだけどね。
暫く森の中を歩いていると、遠くに館が見えた。
「あれ!!」
「うん、あれが私がお世話になってる館だよ。」
館の扉の前に達、私は三回程扉を叩き、扉を開いた。
「ただいま色葉ちゃん。」
呼び掛けると、パタパタと走る音が聞こえ、色葉ちゃんが玄関まで出迎えに来てくれた。
「お帰り恵風!!あれ、その子は?」
「この子は人間の女の子で朱夏って言うんだ。」
紹介しつつ朱夏を見ると、朱夏は口を開いたまま完全に硬直している。
朱夏の前で手を振ってみると、朱夏は突然身を乗り出した。流石の事で色葉ちゃんも少し驚いたらしい。
「お前が座敷童子か!!?」
「あ、そうだよ。私は色葉!」
「さっき恵風が紹介したけど、あたしは朱夏って言うんだ!!」
さて、放っておいたら、このままこの場所で会話を始めそうだから、私は無理矢理二人を館の中の客間に連れて行った。
二人は随分と気が合うらしく、楽しそうに話をしていた。
実は最近、色葉ちゃんは疲れる事があったから、こうやって気晴らしになる事が出来て良かった。
そんな時、朱夏が唐突に話を変えた。
「随分疲れてるみたいだけど、大丈夫か?」
あまりにも突然のその一言に色葉ちゃんは驚き、固まってしまった。
「え………」
その驚き様を見て、朱夏は一言「あ。」と呟いて口を塞いだ。如何やら失言だったと、そう感じたらしい。
私はそっと耳を澄ませた。
(やっちまった、この事あんまり他人に知られちゃ面倒だったの忘れてた。)
と、そう心の中で言っている。だけどまぁ、この館の中だったら問題は無いだろうから、私は声を掛けた。
「君、もしかしてだけど、他人の感情を感じ取れるの?」
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