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第参拾五話
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その人物が居ると言うのは随分と鬱蒼とした森の中の更に奥。そんな所にある洞窟な故、成程これは人は簡単に訪れる事は出来ないであろうな。それに、妖怪ですら本当に用がある場合しか訪れぬであろうな。妾とて霰の件がなければそもそもその存在すら知らなんだ。
洞窟に近付いた瞬間にそれはもう重々とした妖気に気圧され、妾は息を飲んだ。
(妾もまだまだ子供と言う事かのう。)
更に己に磨きをかけねばならぬのう。と、そんな事は今は置いておかねば。
妾は洞窟の中へ踏み入れると、更に強くなった妖気に押されて足を一度止めてしまった。しかし霰の為と再び歩き始めた。
やっとの思いで奥へ到着すると、其処には老人がおり、薬草を磨り潰している真っ最中であった。
「誰ぞ。」
「あ、妾は鶴と申す。そなたは?」
「ワシャ鴆だ。」
鴆とな?鴆は中国の伝承の中に出てくる毒鳥ではないか。それが如何して日本のこんな所におるのか。
「それで?お前さん何の用だ。」
その質問をされて妾はすぐに霰の事を伝えた。
「それで万能薬を貰いたく、今日は此処へ出向いたのじゃ。」
「はー。」
話しの最中も延々と薬草を磨り潰しておった。
「確かに万能薬ならある、すぐにでも作れる。」
「!ならば……………」
「五千両。」
「え?」
「料金は五千両じゃ。」
「なっ!!!」
確かに万能薬の作成は難しいであろう。そんな事は重々承知じゃ。しかしだからと言って五千両はやり過ぎであろう。いくら何でも高すぎる。それに妾一人ならば良い、しかし今は霰がおる、そんな中そんな大金を使ってみろ、霰に負担が掛かる。
「払わんなら売れん。」
「…………………少し待ってはもらえぬであろうか。今は手持ちが無いのじゃ。」
「金が揃ったらまた来い。」
門前払いを食らった様な気持になりながら、妾はこの日は帰った。
洞窟に近付いた瞬間にそれはもう重々とした妖気に気圧され、妾は息を飲んだ。
(妾もまだまだ子供と言う事かのう。)
更に己に磨きをかけねばならぬのう。と、そんな事は今は置いておかねば。
妾は洞窟の中へ踏み入れると、更に強くなった妖気に押されて足を一度止めてしまった。しかし霰の為と再び歩き始めた。
やっとの思いで奥へ到着すると、其処には老人がおり、薬草を磨り潰している真っ最中であった。
「誰ぞ。」
「あ、妾は鶴と申す。そなたは?」
「ワシャ鴆だ。」
鴆とな?鴆は中国の伝承の中に出てくる毒鳥ではないか。それが如何して日本のこんな所におるのか。
「それで?お前さん何の用だ。」
その質問をされて妾はすぐに霰の事を伝えた。
「それで万能薬を貰いたく、今日は此処へ出向いたのじゃ。」
「はー。」
話しの最中も延々と薬草を磨り潰しておった。
「確かに万能薬ならある、すぐにでも作れる。」
「!ならば……………」
「五千両。」
「え?」
「料金は五千両じゃ。」
「なっ!!!」
確かに万能薬の作成は難しいであろう。そんな事は重々承知じゃ。しかしだからと言って五千両はやり過ぎであろう。いくら何でも高すぎる。それに妾一人ならば良い、しかし今は霰がおる、そんな中そんな大金を使ってみろ、霰に負担が掛かる。
「払わんなら売れん。」
「…………………少し待ってはもらえぬであろうか。今は手持ちが無いのじゃ。」
「金が揃ったらまた来い。」
門前払いを食らった様な気持になりながら、妾はこの日は帰った。
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