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第参拾八話
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こう言う時にやはり自然と来てしまう場所は暁光の家であった。
力無く戸を叩くと、暁光は随分と驚いた様子で出て来て中へ招き入れた。
「お前、如何したんだよ。薬は買えたのか?」
「うむ…………………」
「なら……………」
「薬には、何の意味も無いのじゃ。」
「は?」
霰の病の原因が妾の妖気の暴走であるのなら、妾が離れるのが一番良い。しかし縁の繋がった霰の下を離れても、恐らく妖気は霰の下へ生き続け、霰の病を悪化させるであろう。体の動かせぬ霰を一人残して遠くへ行く事になってしまうのだ。
人と妖かしの縁は随分と薄く脆い物じゃ。消えるとしても時間の問題。しかしその時間が経つまで霰の体は恐らく耐えられない。それでは何の意味も無い。何より霰が縁を切る気が無い。それでは薄れても完全には消す事は出来ぬ。
「暁光、そなた他者の縁を切る事は出来るか?」
「俺にはそんな能力無ェよ。」
「ならば………………『縁切りの神』を知らぬであろうか。」
その名を出した途端、暁光は黙ってしまった。
縁切りの神であれば、霰の意思は関係無しに妾と霰の縁を切る事が出来るであろう。その際霰が妾の事を忘れてしまうやも知れぬが、霰の為とあらば妾は喜んで霰の中から消えよう。
妾の決意は固いぞ、そなたが今何を考え込んでおるのかは分からぬが、どれだけ説得しようと妾はこの決意を曲げたりはせぬ。
「…………………お前は、本気で縁を切る気なのか?」
「無論。」
暁光は大きく溜め息を吐きながら頭を掻いた。
「都の方に縁を切る蛇の神がいる。蛇神だ。」
「感謝するぞ暁光。」
妾はすぐに立ち上がると、暁光が呼び止めて来た。
「あ、その前に一つ。お前の思う様な結末にはならないかもしれないからな。」
どう言う事かは分からぬが、内容を聞いている場合ではないと妾はすぐに暁光の家を飛び出し、都を目指して飛び立った。
力無く戸を叩くと、暁光は随分と驚いた様子で出て来て中へ招き入れた。
「お前、如何したんだよ。薬は買えたのか?」
「うむ…………………」
「なら……………」
「薬には、何の意味も無いのじゃ。」
「は?」
霰の病の原因が妾の妖気の暴走であるのなら、妾が離れるのが一番良い。しかし縁の繋がった霰の下を離れても、恐らく妖気は霰の下へ生き続け、霰の病を悪化させるであろう。体の動かせぬ霰を一人残して遠くへ行く事になってしまうのだ。
人と妖かしの縁は随分と薄く脆い物じゃ。消えるとしても時間の問題。しかしその時間が経つまで霰の体は恐らく耐えられない。それでは何の意味も無い。何より霰が縁を切る気が無い。それでは薄れても完全には消す事は出来ぬ。
「暁光、そなた他者の縁を切る事は出来るか?」
「俺にはそんな能力無ェよ。」
「ならば………………『縁切りの神』を知らぬであろうか。」
その名を出した途端、暁光は黙ってしまった。
縁切りの神であれば、霰の意思は関係無しに妾と霰の縁を切る事が出来るであろう。その際霰が妾の事を忘れてしまうやも知れぬが、霰の為とあらば妾は喜んで霰の中から消えよう。
妾の決意は固いぞ、そなたが今何を考え込んでおるのかは分からぬが、どれだけ説得しようと妾はこの決意を曲げたりはせぬ。
「…………………お前は、本気で縁を切る気なのか?」
「無論。」
暁光は大きく溜め息を吐きながら頭を掻いた。
「都の方に縁を切る蛇の神がいる。蛇神だ。」
「感謝するぞ暁光。」
妾はすぐに立ち上がると、暁光が呼び止めて来た。
「あ、その前に一つ。お前の思う様な結末にはならないかもしれないからな。」
どう言う事かは分からぬが、内容を聞いている場合ではないと妾はすぐに暁光の家を飛び出し、都を目指して飛び立った。
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