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第参拾七話
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あの妖気に気圧されながら妾は鴆の下へ行き、五千両きっちり揃えて差し出した。
鴆は小判を数え、その金額が確かに五千両と確かめると、立ち上がって何処かへ行き、幾つかの葉を持って戻って来た。
「外で待っとれ。出来たら外に持ってく。」
妾は言う通りに洞窟から出て空を眺めて待っていた。気が付いたら周りの葉が青々と日の光を受け、力強く風に揺れていた。それに気が付いてから今とても暑い事に気が付いた。
(そんなに時間が経っておったのか。)
一刻程して鴆が布に包まれた物を持って来ると、妾はすぐに受け取った。
「それで大抵は何でも治る。それが病ならな。」
「かたじけない!!!」
妾はすぐに家へ帰った。
眠っている霰の横に座って、その手を握った。
「お待たせしました。」
そう呟いてからすぐに薬を飲む為の水を用意しようとした。しかしその時ふと気が付いてしもうた。
薄らと、紫色が付いた妖気の流れが見えると、それが霰の周囲を漂っており、そしてその妖気の出所を辿ると、それは妾自身であった。
「あ、あぁ………………」
そう、霰の病の原因は妾であったのじゃ。
「あぁ!!」
渡り鳥は渡りをする鳥。鶴と言う鳥もまた渡り鳥。渡りをする理由は単純明快、その渡った先がその鳥にとって最も過ごしやすい場所であるから。しかし妖怪の場合は少し違う。自分達に最も合う場所にいるからこそ、妖気は暴走を起こさない。しかし霰と共に居たいと願った妾は態々此処に残り、半分は自分の意思で妖気を暴走させてしもうたのじゃ。その妖気に中てられた霰は体調を崩し、そして病を患った。
「ああ!!!うっ、ぁ………………」
何が愛しい者と共に居たいだ。そのせいで愛しい者が死にかけては笑い話ではないか。
「雪華?」
霰が目を覚ますと、妾は霰の手を強く握りしめた。
「ごめんなさい。」
「雪華、如何したの?」
そう言って涙を拭ってくれた。それが嬉しくて、しかしそれと同時に何よりも申し訳無くなった。
霰には絶対に死んではほしくない。それには霰には妾を嫌ってもらわねばならぬ。
大きく深呼吸し、決心を固め妾は霰の前で鳥の姿になった。霰はそれはもう驚いた顔をしておった。
「せつ………………」
「私は、あの日、罠に掛かっていた所を助けてもらった鶴です。」
「あ。」
「私は助けてもらった時、貴方に一目惚れしました。そして恩を返したくて貴方の傍に織りました。ですが人と妖怪はやはり相容れぬ存在。そのせいで貴方が病に罹りました。このまま居続けては貴方の負担になります。だから私と縁を切ってください。」
妾の言葉に霰は首を横に振った。
「それは、出来ないよ。」
「如何してです!!私と居ては貴方の命は………………」
「僕は、雪華が傍にいるなら何だって良いよ。」
その言葉に妾は言葉を失った。如何してそうそなたは優しいのか。今はその優しさがとても辛い。
人の姿になり、一度笑ってから薬をその場に置いて家を飛び出していた。
鴆は小判を数え、その金額が確かに五千両と確かめると、立ち上がって何処かへ行き、幾つかの葉を持って戻って来た。
「外で待っとれ。出来たら外に持ってく。」
妾は言う通りに洞窟から出て空を眺めて待っていた。気が付いたら周りの葉が青々と日の光を受け、力強く風に揺れていた。それに気が付いてから今とても暑い事に気が付いた。
(そんなに時間が経っておったのか。)
一刻程して鴆が布に包まれた物を持って来ると、妾はすぐに受け取った。
「それで大抵は何でも治る。それが病ならな。」
「かたじけない!!!」
妾はすぐに家へ帰った。
眠っている霰の横に座って、その手を握った。
「お待たせしました。」
そう呟いてからすぐに薬を飲む為の水を用意しようとした。しかしその時ふと気が付いてしもうた。
薄らと、紫色が付いた妖気の流れが見えると、それが霰の周囲を漂っており、そしてその妖気の出所を辿ると、それは妾自身であった。
「あ、あぁ………………」
そう、霰の病の原因は妾であったのじゃ。
「あぁ!!」
渡り鳥は渡りをする鳥。鶴と言う鳥もまた渡り鳥。渡りをする理由は単純明快、その渡った先がその鳥にとって最も過ごしやすい場所であるから。しかし妖怪の場合は少し違う。自分達に最も合う場所にいるからこそ、妖気は暴走を起こさない。しかし霰と共に居たいと願った妾は態々此処に残り、半分は自分の意思で妖気を暴走させてしもうたのじゃ。その妖気に中てられた霰は体調を崩し、そして病を患った。
「ああ!!!うっ、ぁ………………」
何が愛しい者と共に居たいだ。そのせいで愛しい者が死にかけては笑い話ではないか。
「雪華?」
霰が目を覚ますと、妾は霰の手を強く握りしめた。
「ごめんなさい。」
「雪華、如何したの?」
そう言って涙を拭ってくれた。それが嬉しくて、しかしそれと同時に何よりも申し訳無くなった。
霰には絶対に死んではほしくない。それには霰には妾を嫌ってもらわねばならぬ。
大きく深呼吸し、決心を固め妾は霰の前で鳥の姿になった。霰はそれはもう驚いた顔をしておった。
「せつ………………」
「私は、あの日、罠に掛かっていた所を助けてもらった鶴です。」
「あ。」
「私は助けてもらった時、貴方に一目惚れしました。そして恩を返したくて貴方の傍に織りました。ですが人と妖怪はやはり相容れぬ存在。そのせいで貴方が病に罹りました。このまま居続けては貴方の負担になります。だから私と縁を切ってください。」
妾の言葉に霰は首を横に振った。
「それは、出来ないよ。」
「如何してです!!私と居ては貴方の命は………………」
「僕は、雪華が傍にいるなら何だって良いよ。」
その言葉に妾は言葉を失った。如何してそうそなたは優しいのか。今はその優しさがとても辛い。
人の姿になり、一度笑ってから薬をその場に置いて家を飛び出していた。
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