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第四拾弐話
しおりを挟む「では準備を致しますので暫しお待ちを!!!」
そう言って環ちゃんは部屋を飛び出した。
二人きりになった部屋の中で、炎陽ちゃんが私の袖を引っ張ってきた。
「うん?」
(今日、環にそっくりな奴と会った。)
「あ、それは。」
(環の姉なんだろ?紫蘭母さんが言ってた。)
あ、もう聞いていたんだ。じゃあ炎陽ちゃんが知りたいのは、彼女が一体何物なのかって事じゃ無いんだ。
(なぁ、何で環は何時も楽しそうなのに、あいつはあんなに暗い気持ちでグチャグチャなんだ?)
「え?」
(何て言ったら良いのか分からないけど、あいつと戦った時、悲しいとか、憎いとか、暗い気持ちが凄い伝わって来たんだ。)
その言葉を聞いて私は口を閉じてしまった。あぁそっか、それが君が得た力なんだね。困ったな、今私はどんな顔をしているんだろうか。私は顔に出やすいからきっと、泣き出しそうな顔でもしているんだろうか。
(恵風?如何した?何でそんな顔してるんだよ。)
「どんな顔?」
(…………何か、凄く悔しそうな顔。)
悔しい、か。成程、あながち間違っていないかもしれない。
「あのね、炎陽ちゃん。昔私のせいで死んでしまった人がいたんだよ。」
(え?)
「さて、この話はまた後でにしよう。環ちゃんが勉強の道具を持ってきてくれたみたいだから。」
廊下から騒がしい足音が聞こえてくると、環ちゃんが凄勢いで襖を開いて部屋の中に入って来た。
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