黎明の天泣

第五話

　俺の部屋に入ってすぐに、座布団に座って胡坐を掻いた。

「で、何仕入れたよ。」
「まずは軽く質問があって、雀来てるか?」
「いんや、ここ数カ月は来てねぇな。」

　こいつがそれを聞くって事は、多分今回の事は雀と関係があるんだろうな。こいつは関係の無い事は一切聞かないからな。

「で、何だよ。」
「白鳥が帰って来るらしい。」
「おっとそう来たか。」

　まぁもうすぐ冬だから当たり前っちゃ当たり前だろうけど、極力会いたくなかったな。
　白鳥と出会ったのはさて何時だったか、あいつは出会って早々に俺が何者か分かって、玉の輿に乗りたかったらしく、見事に求婚して来た。何度断っても言ってくるから嫌なんだよ。
　俺は大きく溜め息を吐いてから鳩を見た。

「何時来るか分かるか?」
「もうすぐ来るって事しか流石に仕入れられなかった。」
「そうか、じゃ仕方が無ェな。」

　けど、なら雀が来ないのも納得だ。あいつは今でも白鳥の事を恐れてるからな。
　何となく雀と初めて会った時の事を思い出した。あの時の雀は本物の子供だったな、懐かしい。

「お前も気を付けろよ。」
「おいらは存在すら知られてないから大丈夫。」
「存在すら知られてないって訳じゃないだろ。」

　唯あいつは鳩に興味なんて持ってないだろうけどな。
　でもそうなると問題は雀と、そして氷柱だ。聞いた話じゃ大分腹黒いらしいし、未だに俺に求婚して来るって事は、邪魔する奴には容赦しないだろうな。氷柱。

「氷柱ああああああああああああああ!!!」

　心配で仕方が無くて俺は部屋を飛び出した。