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第壱拾参話
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鶴さんが帰ってからすぐに台所から包丁の音が聞こえて来た。
「あ、御飯作ってる。」
私は立ち上がってすぐに台所へ向かった。
顔を出すと暁光さんは真剣な顔で料理を作っていた。そんな暁光さんの邪魔をしてはいけないかなと思ってその場から離れようと足を動かした。
「氷柱?」
動こうとした直前で暁光さんに気付かれて私は足を止めた。
「お邪魔、してしまいましたか?」
「いや、何処が邪魔になってんだよ。」
「暁光さんの手を止めてしまった事です。」
人の意識を自分に向けさせてしまったら、それはある意味邪魔をしてしまっていると言う事になると思うんですが。
「別にそれくらいじゃ邪魔にはならねぇよ。んな事よりこっち来いよ。」
手招きをしてくれると私は台所の中に入った。まな板の上には切っている途中のホウレン草が乗っていた。
「あの、何か手伝える事ありますか?」
「あー、じゃあ其処にある野菜洗って……………あ、いや駄目だ、お前の手が荒れる。」
そんな事気にしないと言うか、そもそも昔住んでいた村だとそんな事何度もやれと言われてやっていたので、最早慣れっこなんですが。
何故か必死に止めようとする暁光さんを無視して、無理矢理お手伝いをした。
籠に入ったお野菜を水瓶の水で洗った。
「ああああああ!!!氷柱の手が荒れるぅうううううう!!!」
そんな大声出す程の事じゃないと思うんですけど。
私はお野菜を全部洗うと、籠に戻して暁光さんに渡した。やっぱり暁光さんがあれこれ言って来た。けど、それに関しては私は今回は無視します。流石に毎日の様にあれこれ言われていたら、無視する能力だって身に付きます。
「あの、他にも手伝う事はありますか?」
「じゃあ居間片付けといてくれ。」
頷いて私は居間に向かった。とは言っても特に片付ける物なんて無くて、暁光さんに上手い事あしらわれた様な気がする。
少し不満なまま暁光さんの所へ行くと、暁光さんは笑っていた。
「暁光さん。」
「いやいや悪かったって。」
そう言って私の頭を乱暴に撫でてきた。だからそんなに乱暴に撫でたら髪の毛が乱れちゃうじゃないですか。
「むー。」
「ぐはっ!!!」
叫んで暁光さんは倒れた。
「暁光さん!!?」
私は慌てて暁光さんに駆け寄って肩を揺すった。あぁ私はまた何か余計な事をしてしまったのかもしれない。嫌われたらどうしよう。
暁光さんは口元の血を拭ってゆっくりと起き上がると、大きく溜め息を吐いた。う、文句とか言われたらどうしよう。と、心配に思っていたけど特にそんな事は言われなかった。
「驚かせて悪かったな。」
「あ、いえ、私こそ済みません。」
物の見事に暁光さんに迷惑を掛けてしまった。
「本当に済みません。」
「いや、お前が気にする様な事じゃないからな。」
それにしても暁光さんってすぐに大声出すけど、喉とか大丈夫なのかな。
そんな事を考えていると暁光さんが私の頭を撫でてくれた。
「前にも言ったけどお前に迷惑掛けられるのは寧ろ大歓迎だからな。」
そう言ってくれると私としても本当に安心出来ます。
取り合えずこれ以上迷惑を掛ける訳にもいかないので、私は居間へ移動する事にした。
座布団に一人ちょこんと座って、暁光さんが御飯を作る音に耳を傾けていた。何となく取っても安心出来る。
暁光さんが料理を乗せたおぼんを持って来ると、向き合う形で料理を置いてくれた。
「お待たせ。」
「あ、ありがとうございます。」
相変らず美味しそうな御飯。と言うよりも実際に美味しいんですけどね。
私は両手を合わせた。
「頂きます。」
「召し上がれ。」
お箸を手にとってお茶碗を持って御飯を食べ始めた。
「あ、御飯作ってる。」
私は立ち上がってすぐに台所へ向かった。
顔を出すと暁光さんは真剣な顔で料理を作っていた。そんな暁光さんの邪魔をしてはいけないかなと思ってその場から離れようと足を動かした。
「氷柱?」
動こうとした直前で暁光さんに気付かれて私は足を止めた。
「お邪魔、してしまいましたか?」
「いや、何処が邪魔になってんだよ。」
「暁光さんの手を止めてしまった事です。」
人の意識を自分に向けさせてしまったら、それはある意味邪魔をしてしまっていると言う事になると思うんですが。
「別にそれくらいじゃ邪魔にはならねぇよ。んな事よりこっち来いよ。」
手招きをしてくれると私は台所の中に入った。まな板の上には切っている途中のホウレン草が乗っていた。
「あの、何か手伝える事ありますか?」
「あー、じゃあ其処にある野菜洗って……………あ、いや駄目だ、お前の手が荒れる。」
そんな事気にしないと言うか、そもそも昔住んでいた村だとそんな事何度もやれと言われてやっていたので、最早慣れっこなんですが。
何故か必死に止めようとする暁光さんを無視して、無理矢理お手伝いをした。
籠に入ったお野菜を水瓶の水で洗った。
「ああああああ!!!氷柱の手が荒れるぅうううううう!!!」
そんな大声出す程の事じゃないと思うんですけど。
私はお野菜を全部洗うと、籠に戻して暁光さんに渡した。やっぱり暁光さんがあれこれ言って来た。けど、それに関しては私は今回は無視します。流石に毎日の様にあれこれ言われていたら、無視する能力だって身に付きます。
「あの、他にも手伝う事はありますか?」
「じゃあ居間片付けといてくれ。」
頷いて私は居間に向かった。とは言っても特に片付ける物なんて無くて、暁光さんに上手い事あしらわれた様な気がする。
少し不満なまま暁光さんの所へ行くと、暁光さんは笑っていた。
「暁光さん。」
「いやいや悪かったって。」
そう言って私の頭を乱暴に撫でてきた。だからそんなに乱暴に撫でたら髪の毛が乱れちゃうじゃないですか。
「むー。」
「ぐはっ!!!」
叫んで暁光さんは倒れた。
「暁光さん!!?」
私は慌てて暁光さんに駆け寄って肩を揺すった。あぁ私はまた何か余計な事をしてしまったのかもしれない。嫌われたらどうしよう。
暁光さんは口元の血を拭ってゆっくりと起き上がると、大きく溜め息を吐いた。う、文句とか言われたらどうしよう。と、心配に思っていたけど特にそんな事は言われなかった。
「驚かせて悪かったな。」
「あ、いえ、私こそ済みません。」
物の見事に暁光さんに迷惑を掛けてしまった。
「本当に済みません。」
「いや、お前が気にする様な事じゃないからな。」
それにしても暁光さんってすぐに大声出すけど、喉とか大丈夫なのかな。
そんな事を考えていると暁光さんが私の頭を撫でてくれた。
「前にも言ったけどお前に迷惑掛けられるのは寧ろ大歓迎だからな。」
そう言ってくれると私としても本当に安心出来ます。
取り合えずこれ以上迷惑を掛ける訳にもいかないので、私は居間へ移動する事にした。
座布団に一人ちょこんと座って、暁光さんが御飯を作る音に耳を傾けていた。何となく取っても安心出来る。
暁光さんが料理を乗せたおぼんを持って来ると、向き合う形で料理を置いてくれた。
「お待たせ。」
「あ、ありがとうございます。」
相変らず美味しそうな御飯。と言うよりも実際に美味しいんですけどね。
私は両手を合わせた。
「頂きます。」
「召し上がれ。」
お箸を手にとってお茶碗を持って御飯を食べ始めた。
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