黎明の天泣

琴里 美海

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第弐拾参話

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 全部紙を燃やし終わると、私は小屋から出てお屋敷の中に裏口から入った。流石に表から入ると白鳥さんにあれこれ言われそうだったので。だけど表からの通路しか覚えていなかったせいで、今見事に迷子です。

「ど、どうしたら………………」
「あれ、氷柱さん何でこんな所にいるんっすか。」

 雀さんの声が聞こえて安心しつつ十字路の左側を見た。
 私は雀さんに近付き、事の経緯を雀さんに説明した。すると雀さんは苦笑いをしてから私の手を握ってくれた。

「あっしの部屋で良かったら案内するっす。」
「お願いします。」

 雀さんに連れられて私は廊下を歩いて行った。
 雀さんの部屋に案内されたけど、果たしてこれは部屋と呼んで良いのかな。其処は屋根裏で、背の小さな私や雀さんですら立っていられないくらいだった。

「いや、本当にこんな所に連れて来て申し訳無いっす。いっそ御主人に頼んで広い部屋貸してもらうっす。」
「いえ良いですよ。」

 きっと雀さんは白鳥さんに何かを言ったんだと思う。だってさっきまで無かった頬の傷が増えているから。もう傷付いて欲しくない。

「所で雀さん、雀さんは何時から此処にいるんですか?」
「何時…………そうっすね、あっしが今より全然幼い頃っすよ。ま、御存じとは思うっすけど、こんな見た目でもあっしは一応大人っすからね。」

 実際の鳥の姿と大きさは多少比例するらしく、雀さんの見た目は大分幼く見える。それに妖怪の類だから歳だってその辺の大人よりずっと上だったりする。
 それにしても雀さんの幼い時か、一体どんな子だったんだろう。

「あの、雀さん。」
「何っすか?」
「雀さんって子供の頃ってどんな子だったんですか?」
「あっしの子供の頃っすか?今と大して変りないっすよ。お前は性格が変わらな過ぎるってよく暁光に言われたっす。」
「暁光さん?」

 雀さんって一体何時から暁光さんと一緒に居るんだろう。と言うか、暁光さんとの出会いってどんな感じだったんだろう。あぁ、もう、一つ気になるとどんどん気になっちゃう。それを聞いて雀さんが嫌な思いをしたらどうするの。

「あの、雀さん。暁光さんとの出会いを聞いても良いですか?」

 私がそう聞くと雀さんは驚いた顔をしてから、少し考え事をする様に腕を組んだ。

「あっしの過去なんて聞いても面白くないと思うっすけど。」
「あ、いえ、嫌なら大丈夫です。」
「嫌って程じゃないっすけど、何っすかね、面白くは無いと思うんっすよ。」

 そう言ってから雀さんは腕を解いて正座し、その膝の所に手を置いた。

「あっしの過去、お話しするっす。」
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