黎明の天泣

琴里 美海

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第弐拾弐話

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 えっと、私は一体如何したら良いんだろう。

「じゃ、これ宜しく。」

 そう言って白鳥さんは沢山の紙の束を渡して部屋を出て行ってしまった。

 事は少し前に遡る。

 雀さんは白鳥さんの所に行くと言って一刻程経ったくらいの時、突然白鳥さんが部屋の中に入って来た。

「あんたまだ此処にいたの?」
「えっと、帰り方が分からないと言いますか、その………………」

 私がそう言うと白鳥さんは大きく溜め息を吐いた。

「あのね、あたしはあんたを暁光様の所に帰す気は無いの。」
「え。」

 如何してそうなったんですか。

「暁光様の周りの人物が少しでも少なくなれば、きっとあたしの事見てくれるでしょ?だから例えあんたみたいな飼い犬でも帰す気は無いの。」

 だから私は犬じゃないです。
 だけど、そうなると暁光さんの所に帰れた時、暁光さんは何て言うんだろう。と言うか、後が怖くて仕方が無い。

「そう言えばあんた字は読めるの?」
「えっと、一応は。」

 今絶賛暁光さんに教わっていた最中なんですが、平仮名片仮名だったら一応。と言うより、暁光さんとしては元々存在していた文字は漢字らしいので、本当はそっちの方を覚えた方が良いって言ってたんですが。
 とは言っても漢字は結構複雑で、上の棒、下の棒、どちらを長くするかで全く違う物になってしまったりするので難しい。

「唯置いとく気は一切無いから、ちょっとあんたも仕事しなさい。」
「そんなに難しい事じゃ無かったら………………」
「じゃあ紙の処分ね。」
「紙?」
「そ。要らない物燃やしといて。字が読めるならどれが必要とか分かるでしょ。」

 あの、えっと、だから少しだけ読めるんであって、そんなに完璧には読めないんですが。と、そんな事を言わせてくれる暇すら与えてくれなかった。

「火なら外の焼却用の火使って。じゃ、これ宜しく。」

 そして今に至る。

 渡された紙を見ていると、殆ど漢字で書かれている物だった。

「ど、どうしよう。」

 一応読めなくはないけれど、意味まで分かるかと聞かれると多分私は首を横に振ると思う。
 取り合えず此処に居続けたら白鳥さんにあれこれ言われそうなので、一旦考える事は置いといて外に行く事にした。
 外に出て建物の裏の方へ行くと、小さな小屋があって、その周りだけ雪が見事に溶けていた。その小屋に近付くと、中から既に熱気が出ていて、如何して雪が溶けているのかすぐに分かった。
 小屋の中に入ると、見事に火が燃えていた。

「えっと。」

 取り合えず燃やす物を選ぶ事にした。

「……………これは良いかな。」

 大丈夫と判断した物はどんどん火の中に放り込んだ。
 少しずつ紙が減って行くと、流石に暑くなってきて少しだけ外に出る事にした。だけど外は外で寒いから、やっぱりすぐに中に戻った。

「えっと、これはどうなんだろう。けいやくしょ?」

 読み方は分かったけど意味が分からない。

「どうしよう。」

 分からないけど、今の所殆ど全部大丈夫そうだからこれも大丈夫だよね。そう自分に言い聞かせてその紙も火の中に投げ込んだ。
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