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第四拾壱話
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「さて雀、今度はお前の番だな?」
「ちょ、ちょっと待って下さいっす!!!落ち着いて話し合おうっす!!!」
凄く怒っている暁光さんに雀さんはそう言った。その様子を私は暁光さんに抱きかかえられたまま見ていたけれど、出来る事なら今すぐに暁光さんの腕の中から抜け出したい。こんな間近でこんなに怖い顔見たくない。
そんな事を考えていると鶴さんが私を抱き上げて降ろしてくれた。
「あ!!鶴お前何勝手な事してんだ!!!」
「暁光、そなた氷柱が怯えておるぞ?」
「うぐぐ…………」
如何して私の名前を出すと暁光さんはすぐに引き下がるんだろう。一人そんな事を考えていた。
「にしてもだな、鶴から話は聞いたけど、お前暫く意地で情報売らなかったらしいな。」
「はいっす。」
そのせいで白鳥さんに暴力を振るわれていたから、正直心が痛くて仕方が無い。
暁光さんは大きく溜め息を吐くと雀さんの頭を叩いた。
「馬鹿が!!」
「痛いっす!!!何っすか!!!叩く必要無いじゃないっすか!!!」
「煩ェ馬鹿!!!無茶ばっかりしやがって!!!」
そう言って暁光さんはまた雀さんの頭を叩いた。其処まで怒る事無いと思うけれど、だけど少しだけ雀さんに文句を言いたい。如何して一人で我慢していたんですか。
「ったく、お前は餓鬼のくせに一人で無茶ばっかりしやがって。」
「餓鬼って人間で言ったらもう老人どころの話じゃないっすよ。」
「んな事どうでも良いんだよ。それより……………」
暁光さんは雀さんの頭に手を置いた。そしてとても優しく撫でた。あ、私の時と撫で肩が違う。
「もう、自由だな。」
暁光さんがそう言うと雀さんは驚いた顔をしてからギュッと目を瞑って俯いた。きっと泣きそうなんだ。それ程に嬉しいんだ。
「さて、と、何だかんだ時間食ったな。もうすぐ夜明けじゃねぇか。」
「あんた等が館の中でうろうろしてるからだろ。」
「氷柱が見付かんなかったんだよ!!!氷柱の安否確認が一番だ!!!」
お二人の話を聞きながら私は空を見上げた。本当に少しずつ空が白んで来ている。と言う事は、私は思いの外長い時間迷子になっていたらしい。そして再び暁光さんに迷惑を掛けてしまった。
「んじゃ帰るぞ。」
そう言って暁光さんが歩き出すと、鶴さんは何かを思い出した様に小さく呟いた。
「そうじゃった、雀。」
「?何すか姉さん。」
雀さんは鶴さんの所へ走って行くと、鶴さんは懐から何かを取り出した。それを見た雀さんはとても驚いた顔をした。それは首飾り。恐らくさっき私が鶴さんに渡した雀さんの御両親の形見の首飾り。
鶴さんは雀さんに首飾りを渡すと、雀さんは首飾りを凝視していた。
「妾なりに直したのじゃがどうかのう?」
「雀さん、良かったですね。」
私は笑うと雀さんも笑った。
「あ、駄目っすね、そろそろ雨が降るっすよ。」
「え?」
雀さんにそう言われて私は空を見上げた。別に雲は見当たらないのに雀さんは如何してそう言ったんだろう。そんな事を考えていると突然ぽたりと水が落ちて来た。
(雨?)
だけど雲は見当たらない。
くるりと辺りを見回すと、雀さんが涙を流して泣いていた。それとほぼ同時に太陽が顔を出し始めた。
「黎明の天泣。」
暁光さんがそう小さく呟いた。
「うぇ、え、あ、あああああああああああああああああああああ!!!」
黎明とは雀さんの名前だけど、他には夜明けを意味している。そして天泣とは天気雨の事。
周辺に雀さんの声が暫くの間響き渡った。それはきっと嬉しい涙、両親への自身が自由になった事を伝える咆哮だと私は思う。
「ちょ、ちょっと待って下さいっす!!!落ち着いて話し合おうっす!!!」
凄く怒っている暁光さんに雀さんはそう言った。その様子を私は暁光さんに抱きかかえられたまま見ていたけれど、出来る事なら今すぐに暁光さんの腕の中から抜け出したい。こんな間近でこんなに怖い顔見たくない。
そんな事を考えていると鶴さんが私を抱き上げて降ろしてくれた。
「あ!!鶴お前何勝手な事してんだ!!!」
「暁光、そなた氷柱が怯えておるぞ?」
「うぐぐ…………」
如何して私の名前を出すと暁光さんはすぐに引き下がるんだろう。一人そんな事を考えていた。
「にしてもだな、鶴から話は聞いたけど、お前暫く意地で情報売らなかったらしいな。」
「はいっす。」
そのせいで白鳥さんに暴力を振るわれていたから、正直心が痛くて仕方が無い。
暁光さんは大きく溜め息を吐くと雀さんの頭を叩いた。
「馬鹿が!!」
「痛いっす!!!何っすか!!!叩く必要無いじゃないっすか!!!」
「煩ェ馬鹿!!!無茶ばっかりしやがって!!!」
そう言って暁光さんはまた雀さんの頭を叩いた。其処まで怒る事無いと思うけれど、だけど少しだけ雀さんに文句を言いたい。如何して一人で我慢していたんですか。
「ったく、お前は餓鬼のくせに一人で無茶ばっかりしやがって。」
「餓鬼って人間で言ったらもう老人どころの話じゃないっすよ。」
「んな事どうでも良いんだよ。それより……………」
暁光さんは雀さんの頭に手を置いた。そしてとても優しく撫でた。あ、私の時と撫で肩が違う。
「もう、自由だな。」
暁光さんがそう言うと雀さんは驚いた顔をしてからギュッと目を瞑って俯いた。きっと泣きそうなんだ。それ程に嬉しいんだ。
「さて、と、何だかんだ時間食ったな。もうすぐ夜明けじゃねぇか。」
「あんた等が館の中でうろうろしてるからだろ。」
「氷柱が見付かんなかったんだよ!!!氷柱の安否確認が一番だ!!!」
お二人の話を聞きながら私は空を見上げた。本当に少しずつ空が白んで来ている。と言う事は、私は思いの外長い時間迷子になっていたらしい。そして再び暁光さんに迷惑を掛けてしまった。
「んじゃ帰るぞ。」
そう言って暁光さんが歩き出すと、鶴さんは何かを思い出した様に小さく呟いた。
「そうじゃった、雀。」
「?何すか姉さん。」
雀さんは鶴さんの所へ走って行くと、鶴さんは懐から何かを取り出した。それを見た雀さんはとても驚いた顔をした。それは首飾り。恐らくさっき私が鶴さんに渡した雀さんの御両親の形見の首飾り。
鶴さんは雀さんに首飾りを渡すと、雀さんは首飾りを凝視していた。
「妾なりに直したのじゃがどうかのう?」
「雀さん、良かったですね。」
私は笑うと雀さんも笑った。
「あ、駄目っすね、そろそろ雨が降るっすよ。」
「え?」
雀さんにそう言われて私は空を見上げた。別に雲は見当たらないのに雀さんは如何してそう言ったんだろう。そんな事を考えていると突然ぽたりと水が落ちて来た。
(雨?)
だけど雲は見当たらない。
くるりと辺りを見回すと、雀さんが涙を流して泣いていた。それとほぼ同時に太陽が顔を出し始めた。
「黎明の天泣。」
暁光さんがそう小さく呟いた。
「うぇ、え、あ、あああああああああああああああああああああ!!!」
黎明とは雀さんの名前だけど、他には夜明けを意味している。そして天泣とは天気雨の事。
周辺に雀さんの声が暫くの間響き渡った。それはきっと嬉しい涙、両親への自身が自由になった事を伝える咆哮だと私は思う。
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