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第参話
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次の日、恵風が寝床に来た音で目を覚ました。
まだ眠くて目を擦っている間に、母さんは立ち上がって恵風の所に歩いて行っていた。
(炎陽、貴方は如何するの?留守番でもしている?)
「んー。」
「私はどちらでも構わないよ。あ、でもそうか、どっちにしても勉強しに村に行くか。」
そうだな。恵風の言う通り、置いて行かれても、結局今日も勉強あるし。
あたいは立ち上がって恵風と母さんの所まで歩いて行った。
村は相変わらず恵風が先に人払いをしていて、外には人間が出歩いていない。家の窓から凄いこっち見て来るけど。
環の家に行くと、環が床に座って頭下げて待ってた。
「ようこそいらっしゃいました!!!」
勢い良く顔上げると、何時も通りの環の笑顔が見えた。
「じゃあ、早瀬はこっちに、環ちゃんは炎陽ちゃんに勉強教えてあげてね。」
「了解致しました!!!」
母さんは恵風と一緒に歩いて行き、環はあたいの手を引っ張って廊下を走って行った。
何時もの勉強している部屋に連れて行かれると、もう既に勉強する準備がしてあって、何時も通り向かいに座らされた。
「では炎陽殿!!本日は喋りの方の特訓といきましょうか!!」
そう言われてあたいは頷いた。少し会話が出来るようになれば、色々と便利だろうって恵風も言っていたし。
「では手前の名前を呼んでみてください!!!」
「たぁき。」
「た、ま、き、でございます!!!もう一度!!!」
「た、たぁき!」
「うーん違います!!!もう一度!!!」
「たぁき!!!」
何回も呼ばされるの、何か恥ずかしくなってくる。と言うかこいつの場合はもう少し恥ずかしがったりとかは無いのか。いや今はそんな事如何でも良いか。
「ではそうですね、少しゆっくり言ってみては如何でしょうか!!」
うーん、まぁ確かに遅く言ったら言えなくはないかもしれない。
「た……ま、き。」
あ、今言えたんじゃないか?なぁ如何なんだよ環、小さく震えてあんた如何したんだよ。
「い………」
(い?)
環は身を乗り出して座卓を思い切り叩いた。
「言えてましたぞ炎陽殿!!!」
あまりの勢いと言うか迫力で、あたいはつい身を引いた。そんなあたいの手を環は掴んで来た。
「はぁせ!!」
「炎陽殿お次は何にいたしましょうか!!!」
「良いぁらはぁせ!!!」
あたいがどれだけ腕を振っても、環はあたいから手を離さなかった。と言うか、離してもすぐに掴んできた。そんなにあたいが名前を呼べたのが嬉しいのかこいつは。
結局その後も暫くちゃんと言えると、環が身を乗り出してあたいの手を掴むってのを繰り返していた。
そう言えば、今恵風と母さんは、紫蘭母さんと何を話してるんだろうか。
まだ眠くて目を擦っている間に、母さんは立ち上がって恵風の所に歩いて行っていた。
(炎陽、貴方は如何するの?留守番でもしている?)
「んー。」
「私はどちらでも構わないよ。あ、でもそうか、どっちにしても勉強しに村に行くか。」
そうだな。恵風の言う通り、置いて行かれても、結局今日も勉強あるし。
あたいは立ち上がって恵風と母さんの所まで歩いて行った。
村は相変わらず恵風が先に人払いをしていて、外には人間が出歩いていない。家の窓から凄いこっち見て来るけど。
環の家に行くと、環が床に座って頭下げて待ってた。
「ようこそいらっしゃいました!!!」
勢い良く顔上げると、何時も通りの環の笑顔が見えた。
「じゃあ、早瀬はこっちに、環ちゃんは炎陽ちゃんに勉強教えてあげてね。」
「了解致しました!!!」
母さんは恵風と一緒に歩いて行き、環はあたいの手を引っ張って廊下を走って行った。
何時もの勉強している部屋に連れて行かれると、もう既に勉強する準備がしてあって、何時も通り向かいに座らされた。
「では炎陽殿!!本日は喋りの方の特訓といきましょうか!!」
そう言われてあたいは頷いた。少し会話が出来るようになれば、色々と便利だろうって恵風も言っていたし。
「では手前の名前を呼んでみてください!!!」
「たぁき。」
「た、ま、き、でございます!!!もう一度!!!」
「た、たぁき!」
「うーん違います!!!もう一度!!!」
「たぁき!!!」
何回も呼ばされるの、何か恥ずかしくなってくる。と言うかこいつの場合はもう少し恥ずかしがったりとかは無いのか。いや今はそんな事如何でも良いか。
「ではそうですね、少しゆっくり言ってみては如何でしょうか!!」
うーん、まぁ確かに遅く言ったら言えなくはないかもしれない。
「た……ま、き。」
あ、今言えたんじゃないか?なぁ如何なんだよ環、小さく震えてあんた如何したんだよ。
「い………」
(い?)
環は身を乗り出して座卓を思い切り叩いた。
「言えてましたぞ炎陽殿!!!」
あまりの勢いと言うか迫力で、あたいはつい身を引いた。そんなあたいの手を環は掴んで来た。
「はぁせ!!」
「炎陽殿お次は何にいたしましょうか!!!」
「良いぁらはぁせ!!!」
あたいがどれだけ腕を振っても、環はあたいから手を離さなかった。と言うか、離してもすぐに掴んできた。そんなにあたいが名前を呼べたのが嬉しいのかこいつは。
結局その後も暫くちゃんと言えると、環が身を乗り出してあたいの手を掴むってのを繰り返していた。
そう言えば、今恵風と母さんは、紫蘭母さんと何を話してるんだろうか。
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