人の心に神は舞う

レイティア

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祈りと厄災

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人々の祈り、願いは神を象る力の源
故に、万物に神は宿り、万象に神はあるのだ

ここに、新たに一柱の神が生まれた



「あぁ、ありがたやぁ御狐様
今年もぎょぅさん収穫できましただぁ」
「「「ありがたやぁありがたやぁ」」」

何人もの村人が小さな狐の石像に手を合わせ感謝を告げる
ここでは、狐は豊作をもたらすとされていた
故に、多大なる祈りにより…白銀の狐を象った神が生まれた

とても気性が穏やかで、優しい神

村人は神に感謝と祈りを、神は民の安寧と豊作を与えた




しかし…未曾有の大災害が起きた時…神は人々を守ろうとしたが、あまりにも強大な力に神は為す術もなかった

『ごめんなさい…ごめんなさい…』

沢山の死者に、愛する者達を失った村人達に、神は泣きながら謝り続けた

だが…

「こんなものぉ!」
「きっと、こいつが厄災をよんだだぁ!!」
「疫病神!!」

そう、狐の石像は罵られ、守ろうとした村人達により…破壊された
依代を失った神は弱りはて、村人達の怒りや恨みが鎖となり…封じられてしまった

『…どぅしてぇ…』

神は虚ろにつぶやく
答える者いない…はずだった

『それは人々が醜く、自分勝手だからだ
都合が良ければ崇め、都合が悪くなれば憎む
なんとも愚かで滑稽な生き物だ』
『…あなたは…』

狐の神の後ろに現れた、まるで狐の神と対であるような漆黒に褐色の肌をした、男神が立っていた
虚ろな瞳で問いかける狐の神

『俺か?
俺はただの神だ
もう幾ばくもない哀れな狐の神よ
このまま運命さだめを受け入れ消滅するか、俺の妻となり、子を産むか…どちらかを選べ』
『…私は…まだ必要とされているのか…?』

微かに狐の神の瞳に光が戻る
男神は薄く微笑んだ

『そうだ
お前は私の子を産み、愛すればいい
お前にしかできぬ事だ』
『…私を…あなたの妻にしてくれ…』
『あぁ』

男神はニヤリと笑うと、怨念の鎖に触れた
その瞬間

パァァァン

鎖は光となり弾け飛び、自由となった狐の神は男神に倒れかかる
男神は難なく受け止め、抱き上げた

『大丈夫か?』
『…あぁ…』

男神に身を委ねた狐の神は、まるで縋るように身を寄せると…眠るように気を失ってしまった
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