死に戻り悪役令息は二人の恋を応援…するはずだった…。

二章

レオンハルト(前世)side3

レオンハルトside(前世)

目が覚めたとき、視界に入ったのは見慣れた天井だった。

「殿下！おはよう！すごく気持ち良さそうに寝てたね。」

「トワ……」

朝食の用意をしているトワに手を伸ばす。
ーが、触れられない。

幻覚か…
そう気付き、落胆する。


彼が虐待に心を痛めてしまい、自殺しようとしたとき。その時にふと思った。弱っているところにつけこみ、依存させたい。と。　

彼の面倒を見ていると、彼は少しずつ俺に対して心を許してくれるようになった。

だが、トワの〃好き〃は、親に向けるような愛なのだと思う。　


依存はしていなかったと、そう思う。


(結局、依存していたのは俺じゃないか)

1人、誰もいない寝室で乾いた笑いを溢す。

幻覚の彼はニコニコと笑って遊ぼう、一緒に食事をしよう、と誘う。

ー違う。本物のトワはこんなものじゃない。

本物のトワはもっと、輝いていて、もっと明るくて、もっと、もっと…。

そこまで考えてふと、思った。

トワのいない世界なんて、生きている意味はない。



(会えないのなら会いに行けばいい。)




部屋の隅にある果物ナイフがやけに輝いて見えた。