27 / 32
第27話 じーじって、ナナちゃんが言ってた、あのじーじ?
しおりを挟む
「馬が調達できなければ、とてもじゃないがドラゴンの里なんて探せないぞ。あったとしても、三日では無理そうだったんだ」
「そうね。お世話になったネリュージュを見捨てるのは心苦しいけど、私たちも逃げた方がいいのかもしれない。いずれブラックドラゴンに殺されるとわかってても」
悲壮感漂うサレッタの台詞に、カイルは押し黙るしかなかった。
世話になった町の住民を見捨てたくないと正義感を出したところで、何とかできるとは思えない。王都から部隊は派遣されるだろうが、やはり倒せる可能性は低いように思える。
「……とりあえず、ドラゴンの里を探すか。三日という期日が過ぎたとしても、里にいるというドラゴンに助力を得られれば、他の町は救えるかもしれない」
「それは無理だ」
カイルの発言を否定したのは、一緒にいるサレッタではなかった。
いつの間にやら側に、白髪の髪と豊かな白髭を生やした老齢の男性が立っていた。背はカイルより少し低いくらいで、黒いフードつきのローブを着ている。顔は出しているが、他の部分はすっぽり隠れているので実際の体型はわからないが、ぱっと見は痩せているような印象を受ける。
しわの目立つ顔は温厚そうで、どことなく渋さもある。重低音の効いている声はよく通り、鼓膜を通して腹の奥まで響く。突然近くに現れたせいかもしれないが、異質な雰囲気を纏っているように感じられる。
何者なんだ、この老人は。それがカイルの第一印象だった。サレッタも似たような感想を抱いたらしく、カイルの服の裾を心細そうに掴み、正面に立つ謎の人物をじっと見ている。
「そう警戒するな。お前たちに危害を加えるつもりはない。そんなことをしたら、ナナに怒られる」
「ナナちゃん……!? あ、あのっ! ナナちゃんを知ってるんですか!?」
「落ち着け、サレッタ。俺たちはこの間から、町で常にナナと行動していた。エルローとの一件もあったし、それなりに名を知られてたとしてもおかしくない。知り合いらしい雰囲気を装い、罠にはめようとしてる可能性もある」
「ずいぶんと疑い深いな。ナナの話ではとても優しい人間だということだったが。そういえば、男の方は少しひねくれているとも言っていたか」
見知らぬ男性にひねくれ者と言われて、いい気分になるはずもない。ムッとしたカイルは、いつでも抜けるようにロングソードに手を掛けた。
「やめておけ」
外見からは似合わない威圧感を含んだ声が、老人の口から放たれた。大体は予測できていたが、改めてただ者ではないと判明する。
覆い被さるように全身へまとわりつく重圧感には、どことなく覚えがある。脳内の記憶の扉を片っ端から開けていく。辿り着いたのは、数分前まで身を置いていた光景だった。
エルローを、顔見知りだった衛兵を、無慈悲に消滅させたブラックドラゴンの持つ威圧感とよく似ていた。その意味が示す事実に、カイルは驚愕する。
腰元のロングソードから手を離し、改めて老人の目を見る。
「まさか……貴方は、じーじか?」
カイルの問いかけに老人が答える前に、サレッタが驚きの声を上げた。
「じーじって、ナナちゃんが言ってた、あのじーじ? ドラゴンの里を追い出したっていう……」
「……そうだ。ナナが世話になった礼を言わせてもらおう」
「その必要はありません。ナナには我々の方が世話になっています」
「ふふ。今さら言葉遣いを丁寧にする必要はない。これまで通りで結構だ」
そう言ってもらえると助かる。礼を言って、カイルは口調を元に戻した。
「で、どうしてそのじーじがこんな場所に? それと、貴方は人間なのか?」
「質問には答えよう。ナナもまだ来ていないみたいだしな。もちろん、答えられる範囲でだが」
顔を動かし、じーじはさらに道から離れた地点へ移動するよう促してきた。
先頭を歩き、草むらを掻き分ける。奥には森といかないまでも、多くの木々が生えている場所があった。
その中に隠れるように移動し、ポツンとあった切り株のひとつに腰を下ろした。
「ここなら、少しは落ち着いて話ができるだろう。アレに気づかれては厄介なのでな」
「アレって、ナナちゃんのことですか?」サレッタが聞いた。
「いや。お前たちも見ただろう。人間の町を襲ったブラックドラゴンだよ」
ブラックドラゴンの名前が出たところで、今度はカイルが弾かれたように質問をする。
「町を襲ったドラゴンは何者だ。ナナはブラックドラゴンと言ってた。貴方たちの仲間なのか」
「ふむ。それを最初に答えた方がいいか?」
尋ねられたカイルは無言で頷く。まずは敵の正体を知りたかった。
「ナナがお前たちに教えたとおり、アレはブラックドラゴン。つい最近までとある洞窟の奥で眠っていた。名前までは知らぬ」
ナナがナナであるように、ドラゴンたちにも名前が付けられているのだろう。そこまでは知らないとじーじが言ったことから、あまり親しくないのがわかる。
カイルの予想を裏付けるかのように、じーじは里の者ではないと告げた。
「人間が別々の町で暮らすように、我らもまたそれぞれの地で暮らす。里でまとまっていたり、洞窟の奥などを好んで個体でいたり、様々だ。あえて言うのであれば、里で暮らすドラゴンより、個別に暮らす方が人間にとって危険が大きいと言えるだろう」
「それはどうしてですか?」
サレッタの質問に、表情をまったく変えずにじーじが答える。
「ドラゴンは誇り高い種族だからこそ、人間や動物が大地でどのように暮らしていても、関わろうともしない。どうでもいいからな。しかし、人間を玩具のように思う者もいる。単純に里で暮らすドラゴンより、単独で動くドラゴンにその傾向が強いというだけだ。里で他のドラゴンと共に暮らしていれば、人間と遊んでいる暇もないしな」
「なるほど。あのブラックドラゴンは、個別で行動しているタイプというわけか」
「そうだ。同じドラゴンだからといって、行動をすべて把握していると思われても困るぞ。お前たちも、他の町の人間がどのように暮らしているかまではわかるまい」
確かにその通りなので、カイルは普通に頷いた。
「では次の質問……の前に、最初の問いかけに答えよう。もう大体わかっていると思うが、私は人間ではない。種族はレッドドラゴン。里でマスタードラゴンを努めている。お前たち人間でいうところの村長みたいなものだ。名を教える必要はあるまい。さほど親しくもないのだしな。呼び名に困るのであれば、ナナ同様にじーじとでも呼べばよい」
名乗りたくないと言っているのだから、しつこく聞いても答えてくれるとは思えない。お言葉に甘えて、カイルはマスタードラゴンをじーじと呼ばせてもらう。
「貴方はナナのじーじということなので、こちらは一応自己紹介をさせてもらう。俺はカイルで、隣にいるのがサレッタ。ナナからはおとーさん、おかーさんと呼ばれてる」
ここで初めて、じーじが優しげな目をした。
「聞いている。だから先ほど、ナナが世話になった礼も言った。感謝するがいい」
絶対的強者であるドラゴンの側に立てば、弱者である人間に礼を言うのは屈辱にも似た行為なのかもしれない。
推測が正しいのかを確かめるつもりはないが、素直に感謝するとだけ言っておく。ブラックドラゴンをなんとかするためには、間違ってもカイルの前に現れたマスタードラゴンの機嫌を損ねるわけにはいかなかった。
「私がどうしてこの場にいるのかも聞いたな。理由はひとつ。ナナの様子を見にきたのだ」
「ナナの様子を?」
新たに尋ねたカイルに、じーじは小さく頷いてみせた。
「少し前、ナナがいきなり里に戻ってきた。もしもの時にと、私が持たせた転移用のマジックアイテムを使用したのだろう。何事かと思ったが、戻ってくるなりナナは私に助けてほしいと言った」
ドラゴンの里に家と呼べるものはなく、自然と共に暮らしているという。だが、身分によって使える場所は変わる。マスタードラゴンであるじーじは、里の一番奥と居場所が決まっている。ドラゴンの里の決まり事みたいなのを、カイルたちにもわかるように説明してくれた。
「普段は他の者を招いたりしないのだが、緊急事態だと知って私はナナを呼び寄せた。ふむ。久しぶりに共に過ごした時間はなんとも言い難く、格別な――んおっほん。と、まあ、そういうわけだ」
何がそういうわけなのかはさっぱりわからないが、じーじがナナに愛情を注いでいたのだけは理解できた。
「要するに、いつもは誰も立ち寄れないマスタードラゴンのためだけのスペースで、ナナにブラックドラゴンの話を聞いたのか」
「そうだ。お前たちを助けてほしいともな。ナナの頼みだから叶えてやりたかったが、さすがにそれはできぬと断った。一体の――それも正しきドラゴンではない者の願いで、人間のために他のドラゴンと争うなど愚の骨頂だ」
突き放すようなじーじの物言いに、サレッタが「そんな……」と悲しげに声を震わせる。
「仕方ないだろ。ドラゴンの立場からすれば、ブラックドラゴンこそが同族なんだ。どうして人間のために、同族と争わなきゃ駄目なんだと考えるのが普通だろ」
カイルのサレッタへの説明を、じーじがその通りだと肯定した。
「ブラックドラゴンが人間の町を滅ぼそうと、家畜のごとく扱おうと、我等には何の関係もない。里に攻め込んできたりすれば、全力で迎え撃つがな」
恐らくはナナにもそう言って、人間――カイルたちを助けるのを拒んだのだろう。
「だがナナは納得しなかった。執拗に食い下がった。涙ながらにお前たち――おとーさんとおかーさんを助けてくれと何度も叫んだ。しかし、私は首を縦に振るわけにはいかなかった」
そのうちに騒ぎを聞きつけた他のドラゴンが現れ、マスタードラゴンであるじーじに再び狼藉を働こうとしていると激怒したらしかった。
拘束されたナナはすぐさま里を追い出され、行方がわからなくなった。どこで野垂れ死にしても構わないと吐き捨てる他のドラゴンとは違い、じーじは心を痛めた。そこで人間の姿となり、わざわざ里から出てきたのだと説明した。
「そうね。お世話になったネリュージュを見捨てるのは心苦しいけど、私たちも逃げた方がいいのかもしれない。いずれブラックドラゴンに殺されるとわかってても」
悲壮感漂うサレッタの台詞に、カイルは押し黙るしかなかった。
世話になった町の住民を見捨てたくないと正義感を出したところで、何とかできるとは思えない。王都から部隊は派遣されるだろうが、やはり倒せる可能性は低いように思える。
「……とりあえず、ドラゴンの里を探すか。三日という期日が過ぎたとしても、里にいるというドラゴンに助力を得られれば、他の町は救えるかもしれない」
「それは無理だ」
カイルの発言を否定したのは、一緒にいるサレッタではなかった。
いつの間にやら側に、白髪の髪と豊かな白髭を生やした老齢の男性が立っていた。背はカイルより少し低いくらいで、黒いフードつきのローブを着ている。顔は出しているが、他の部分はすっぽり隠れているので実際の体型はわからないが、ぱっと見は痩せているような印象を受ける。
しわの目立つ顔は温厚そうで、どことなく渋さもある。重低音の効いている声はよく通り、鼓膜を通して腹の奥まで響く。突然近くに現れたせいかもしれないが、異質な雰囲気を纏っているように感じられる。
何者なんだ、この老人は。それがカイルの第一印象だった。サレッタも似たような感想を抱いたらしく、カイルの服の裾を心細そうに掴み、正面に立つ謎の人物をじっと見ている。
「そう警戒するな。お前たちに危害を加えるつもりはない。そんなことをしたら、ナナに怒られる」
「ナナちゃん……!? あ、あのっ! ナナちゃんを知ってるんですか!?」
「落ち着け、サレッタ。俺たちはこの間から、町で常にナナと行動していた。エルローとの一件もあったし、それなりに名を知られてたとしてもおかしくない。知り合いらしい雰囲気を装い、罠にはめようとしてる可能性もある」
「ずいぶんと疑い深いな。ナナの話ではとても優しい人間だということだったが。そういえば、男の方は少しひねくれているとも言っていたか」
見知らぬ男性にひねくれ者と言われて、いい気分になるはずもない。ムッとしたカイルは、いつでも抜けるようにロングソードに手を掛けた。
「やめておけ」
外見からは似合わない威圧感を含んだ声が、老人の口から放たれた。大体は予測できていたが、改めてただ者ではないと判明する。
覆い被さるように全身へまとわりつく重圧感には、どことなく覚えがある。脳内の記憶の扉を片っ端から開けていく。辿り着いたのは、数分前まで身を置いていた光景だった。
エルローを、顔見知りだった衛兵を、無慈悲に消滅させたブラックドラゴンの持つ威圧感とよく似ていた。その意味が示す事実に、カイルは驚愕する。
腰元のロングソードから手を離し、改めて老人の目を見る。
「まさか……貴方は、じーじか?」
カイルの問いかけに老人が答える前に、サレッタが驚きの声を上げた。
「じーじって、ナナちゃんが言ってた、あのじーじ? ドラゴンの里を追い出したっていう……」
「……そうだ。ナナが世話になった礼を言わせてもらおう」
「その必要はありません。ナナには我々の方が世話になっています」
「ふふ。今さら言葉遣いを丁寧にする必要はない。これまで通りで結構だ」
そう言ってもらえると助かる。礼を言って、カイルは口調を元に戻した。
「で、どうしてそのじーじがこんな場所に? それと、貴方は人間なのか?」
「質問には答えよう。ナナもまだ来ていないみたいだしな。もちろん、答えられる範囲でだが」
顔を動かし、じーじはさらに道から離れた地点へ移動するよう促してきた。
先頭を歩き、草むらを掻き分ける。奥には森といかないまでも、多くの木々が生えている場所があった。
その中に隠れるように移動し、ポツンとあった切り株のひとつに腰を下ろした。
「ここなら、少しは落ち着いて話ができるだろう。アレに気づかれては厄介なのでな」
「アレって、ナナちゃんのことですか?」サレッタが聞いた。
「いや。お前たちも見ただろう。人間の町を襲ったブラックドラゴンだよ」
ブラックドラゴンの名前が出たところで、今度はカイルが弾かれたように質問をする。
「町を襲ったドラゴンは何者だ。ナナはブラックドラゴンと言ってた。貴方たちの仲間なのか」
「ふむ。それを最初に答えた方がいいか?」
尋ねられたカイルは無言で頷く。まずは敵の正体を知りたかった。
「ナナがお前たちに教えたとおり、アレはブラックドラゴン。つい最近までとある洞窟の奥で眠っていた。名前までは知らぬ」
ナナがナナであるように、ドラゴンたちにも名前が付けられているのだろう。そこまでは知らないとじーじが言ったことから、あまり親しくないのがわかる。
カイルの予想を裏付けるかのように、じーじは里の者ではないと告げた。
「人間が別々の町で暮らすように、我らもまたそれぞれの地で暮らす。里でまとまっていたり、洞窟の奥などを好んで個体でいたり、様々だ。あえて言うのであれば、里で暮らすドラゴンより、個別に暮らす方が人間にとって危険が大きいと言えるだろう」
「それはどうしてですか?」
サレッタの質問に、表情をまったく変えずにじーじが答える。
「ドラゴンは誇り高い種族だからこそ、人間や動物が大地でどのように暮らしていても、関わろうともしない。どうでもいいからな。しかし、人間を玩具のように思う者もいる。単純に里で暮らすドラゴンより、単独で動くドラゴンにその傾向が強いというだけだ。里で他のドラゴンと共に暮らしていれば、人間と遊んでいる暇もないしな」
「なるほど。あのブラックドラゴンは、個別で行動しているタイプというわけか」
「そうだ。同じドラゴンだからといって、行動をすべて把握していると思われても困るぞ。お前たちも、他の町の人間がどのように暮らしているかまではわかるまい」
確かにその通りなので、カイルは普通に頷いた。
「では次の質問……の前に、最初の問いかけに答えよう。もう大体わかっていると思うが、私は人間ではない。種族はレッドドラゴン。里でマスタードラゴンを努めている。お前たち人間でいうところの村長みたいなものだ。名を教える必要はあるまい。さほど親しくもないのだしな。呼び名に困るのであれば、ナナ同様にじーじとでも呼べばよい」
名乗りたくないと言っているのだから、しつこく聞いても答えてくれるとは思えない。お言葉に甘えて、カイルはマスタードラゴンをじーじと呼ばせてもらう。
「貴方はナナのじーじということなので、こちらは一応自己紹介をさせてもらう。俺はカイルで、隣にいるのがサレッタ。ナナからはおとーさん、おかーさんと呼ばれてる」
ここで初めて、じーじが優しげな目をした。
「聞いている。だから先ほど、ナナが世話になった礼も言った。感謝するがいい」
絶対的強者であるドラゴンの側に立てば、弱者である人間に礼を言うのは屈辱にも似た行為なのかもしれない。
推測が正しいのかを確かめるつもりはないが、素直に感謝するとだけ言っておく。ブラックドラゴンをなんとかするためには、間違ってもカイルの前に現れたマスタードラゴンの機嫌を損ねるわけにはいかなかった。
「私がどうしてこの場にいるのかも聞いたな。理由はひとつ。ナナの様子を見にきたのだ」
「ナナの様子を?」
新たに尋ねたカイルに、じーじは小さく頷いてみせた。
「少し前、ナナがいきなり里に戻ってきた。もしもの時にと、私が持たせた転移用のマジックアイテムを使用したのだろう。何事かと思ったが、戻ってくるなりナナは私に助けてほしいと言った」
ドラゴンの里に家と呼べるものはなく、自然と共に暮らしているという。だが、身分によって使える場所は変わる。マスタードラゴンであるじーじは、里の一番奥と居場所が決まっている。ドラゴンの里の決まり事みたいなのを、カイルたちにもわかるように説明してくれた。
「普段は他の者を招いたりしないのだが、緊急事態だと知って私はナナを呼び寄せた。ふむ。久しぶりに共に過ごした時間はなんとも言い難く、格別な――んおっほん。と、まあ、そういうわけだ」
何がそういうわけなのかはさっぱりわからないが、じーじがナナに愛情を注いでいたのだけは理解できた。
「要するに、いつもは誰も立ち寄れないマスタードラゴンのためだけのスペースで、ナナにブラックドラゴンの話を聞いたのか」
「そうだ。お前たちを助けてほしいともな。ナナの頼みだから叶えてやりたかったが、さすがにそれはできぬと断った。一体の――それも正しきドラゴンではない者の願いで、人間のために他のドラゴンと争うなど愚の骨頂だ」
突き放すようなじーじの物言いに、サレッタが「そんな……」と悲しげに声を震わせる。
「仕方ないだろ。ドラゴンの立場からすれば、ブラックドラゴンこそが同族なんだ。どうして人間のために、同族と争わなきゃ駄目なんだと考えるのが普通だろ」
カイルのサレッタへの説明を、じーじがその通りだと肯定した。
「ブラックドラゴンが人間の町を滅ぼそうと、家畜のごとく扱おうと、我等には何の関係もない。里に攻め込んできたりすれば、全力で迎え撃つがな」
恐らくはナナにもそう言って、人間――カイルたちを助けるのを拒んだのだろう。
「だがナナは納得しなかった。執拗に食い下がった。涙ながらにお前たち――おとーさんとおかーさんを助けてくれと何度も叫んだ。しかし、私は首を縦に振るわけにはいかなかった」
そのうちに騒ぎを聞きつけた他のドラゴンが現れ、マスタードラゴンであるじーじに再び狼藉を働こうとしていると激怒したらしかった。
拘束されたナナはすぐさま里を追い出され、行方がわからなくなった。どこで野垂れ死にしても構わないと吐き捨てる他のドラゴンとは違い、じーじは心を痛めた。そこで人間の姿となり、わざわざ里から出てきたのだと説明した。
10
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない
しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
アリエッタ幼女、スラムからの華麗なる転身
にゃんすき
ファンタジー
冒頭からいきなり主人公のアリエッタが大きな男に攫われて、前世の記憶を思い出し、逃げる所から物語が始まります。
姉妹で力を合わせて幸せを掴み取るストーリーになる、予定です。
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる