454 / 495
さらに孫たちの学生時代編
穂月たちの修学旅行にあの人が駆けつけて大騒ぎ! 色々と一生の思い出になりました
しおりを挟む
レールをひた走る新幹線。座席で膝立ちの穂月は「ふおおっ」と歓声を上げながら、窓を流れる景色を必死に追いかけていた。
住み慣れた県を日にちを跨いで離れるのは部活の全国大会で何度も経験しているが、クラスで旅行となると話は別である。
3年生になると受験が忙しくなるからという理由で、進学校の南高校では2年生に修学旅行が設定されている。穂月の叔母の菜月の時代もそうだったらしい。ちなみに行き先もまったく変わっていないそうだ。
隣の席には希がいるも、風景よりも睡眠だと、無防備な穂月の背中にのりのようにくっついて離れない。心地良さそうな寝息が聞こえてくるあたり、本気で夢の世界に旅立っているようだ。
「普通の電車より揺れは少ないですが、それでもこの状況下で当たり前に寝られるのは羨ましいです」
希の正面に座る沙耶が肩を落とす。スラリとした体躯に流れるような黒髪、キラリと光る眼鏡に彩られた彼女はインテリウーマンっぽい雰囲気が以前よりも強くなっていた。
そんな沙耶が希を羨ましがる理由は1つ。彼女は乗り物酔いしやすいタイプだった。とはいえあくまで仲間内に限った話であり、文庫本などを読まずに普通に座っていれば船以外では平気なレベルだ。
「のぞちゃんは色んな意味で規格外だから、参考にするだけ空しくなるの」
ポンポンと肩を叩いて沙耶を励ますのは、穂月の正面に座る悠里だった。小柄な彼女は伸ばした黒髪をツインテールにしているので、生来の童顔さも相まってとても高校生には見えない。
一時は同学年の女生徒に男に媚を売ってると陰口を叩かれたが、当人は胸を張って「ゆーちゃんが媚びてるのはほっちゃんだけなの! 男子なんぞに砂粒ほども興味ないの!」と宣言し、喧嘩を売ろうとした女子グループを唖然とさせた。
それはそれで穂月の周辺がザワついたのだが、そこに希が「アタシも」と乗っかった。男子から絶大な人気を誇る2人だけに、狙っている相手をいつ奪われるかと戦々恐々だった他の女子は諸手を挙げて喜んだ。
敵対的な雰囲気は綺麗さっぱり消え去り、逆に男子が近寄ろうとすると興味がないのだからと追い払ってくれるので、ありがたい存在になったと悠里はいつだったか笑っていた。
ちなみに穂月も悠里や希は好きだが、愛だの恋だのといった感情はお芝居の中だけのもの的に思えていて、自分がどうこうというのはまったく想像できていないのが現状だったりする。
「そんなことより、皆でお話でもするの」
「……そうやってまた仲良し4人組とか強調してわたくしを虐めるつもりなのですわよね。わかっておりますわ、ええ、わかっておりますとも」
ポンと手を打った悠里を、通路を挟んだ隣の席から凛がジト目で睨む。
かと思えばいきなり立ち上がり、悠里の前まで歩み寄る。
「ぼ、暴力反対なの。ゆーちゃんに手を出したら、のぞちゃんが黙ってないの」
「……小物感溢れる物言いですわね。ですが心配ご無用ですわ。わたくしがお友達に狼藉を働くなどありえません。ただ仲間に入れてもらいにきただけですわ」
中学校の修学旅行でも似たような席位置になった凛は、その時からまた同じ状況になった時のために対策を練っていたという。
「それがこれですわ!」
「ふおおっ!?」
車窓から目を離した穂月の前で、スッと持ち上げられた悠里がちょこんと肘掛けの上に乗せられた。そして空いた席に悠々と座るのが凛だ。
「これで万事解決ですわ」
「おー」
「おー、じゃないの! ゆーちゃんを置物みたいに扱うなんて言語道断なの。奪い取られた物は奪い返すのが人生なの!」
訳の分からない人生哲学を口走りながら凛に挑みかかるも、悠里の腕力は仲間内で最弱。押し退けるどころか、軽くいなされてしまう。
「ううう、ほっちゃん……ゆーちゃんを助けてほしいの」
涙目で懇願されると、なんとかしてあげたくなる穂月だ。少しばかり悩んだ結果、電球が光るように解決策を閃く。
「こうすればいいんだよ!」
脇の下に手を入れて悠里を抱えた穂月は、何故か幸せそうな表情をするその友人を、肘掛けではなく凛の膝に座らせた。希以上の体格を誇る彼女と悠里では大人と子供ほどの差がある。虐めているようにはまるで見えず、むしろ微笑ましい光景に映った。
「疲れたらりんりんが膝を開いて、その間にゆーちゃんを座らせてもいいですしね。5人で座るにはこれが1番かもしれません」
友人の中で知恵袋的な存在の沙耶に褒められ、穂月は「えへへ」と自らの後頭部を撫でる。逆に凛と悠里は呆然としていたが、そのうちにこれでいいかとなったらしく、座り心地が悪いだのとギャイギャイ言いつつも力ずくでどちらかを退かすような真似はしなかった。
*
新幹線での長時間の移動を終え、初日は大阪で1泊することになる。到着時はすでに夜なので市内を見学することができず、クラスメートから「えーっ」と抗議の声が上がる。
すると1番前の席で女性バスガイドの話を聞いていた担任の美由紀が、顔だけ後ろを向きながら注意する。
「騒がしくしない。南校生らしい誇りを持って、きちんとした振る舞いを心掛けなさい」
「さすが美由紀先生です。締めるところは締めてくれます」
うんうんと頷く沙耶。穂月たちは5人でバスの最後尾を陣取っているので、友人の挙動がはっきりと確認できた。
「その代わり、カップルが見えたら窓から消しゴムとか投げていいから」
「……南校生らしい誇りとは何だったのでしょうか」
「おー、そういえば菜月ちゃんの時も似たようなやりとりがあったらしいよ」
穂月が思い出しながら教えると、沙耶が盛大にため息をついた。
「そこから10年以上教職員を続けながら、いまだ変わってないというのは凄いというべきなのでしょうか……」
「普通に進歩がないだけなの。というより行き遅れが極まって完全にバグッてるから、もはや仕様と言ってもいいくらいなの」
ケラケラと嗤う悠里に鋭い視線が突き刺さる。
「聞こえたわよ、悠里……帰ったら特別メニューを組んであげるから覚悟しておきなさい」
「勘違いしてもらっては困るの。今のはりんりんに言えと脅されただけなの。ゆーちゃんは無実なの」
「さらっと真顔で人を巻き込まないでくださいませ!」
*
朝早く大阪から京都へバスで移動し、昼から定められた自由時間。いざ5人で事前の計画通りに観光して回ろうとした穂月たちの前に予想外の人物が現れた。
「やっほー」
私服姿の朱華である。軽く右手を挙げた彼女は満面の笑みを浮かべており、穂月たちを見かけるなり駆け寄ってきた。
「あーちゃんだー、何でここにいるの?」
伸ばされた手を穂月が取り、キャッキャッしていると朱華が軽くウインクした。
「卒業生だからね。修学旅行のルートくらい知ってて当然よ」
「ほっちゃんが聞きたかったのはそういうことではないと思いますが……」
想定外の再会をひとしきり喜んだあと、沙耶が眼鏡を直しつつ、朱華に詳しい状況の説明を求める。
「単純な理由よ。学年が違ってほっちゃんたちと修学旅行を楽しんだことがなかったから、一緒に行きたかったの」
自費で修学旅行に混ざるという宣言に穂月は「おー」と声を上げ、希はどうでもよさそうに目を擦る。
「ちなみに美由紀先生には事前に許可を取ってあるわよ」
「そういう用意周到さはさすがあーちゃん先輩ですわ。ですが大学の方はよろしいのですか」
凛の質問に、朱華は「大学生は身軽なのだよ」と得意げに人差し指を立てた。
「ならあーちゃんも一緒に修学旅行だね」
仲間が増えて喜ぶことはあっても、嫌がったりはしない穂月である。
皆でキャイキャイはしゃぎながらお寺巡りをしようとして、穂月はふと背中から友人の温もりが消えているのに気付く。
「のぞちゃん?」
「……何か忘れてるような気がする」
「んー……何だろ……」
「多分、気のせい……」
希の懸念の正体が判明するのは、穂月たちが4泊5日の修学旅行を全力で楽しんだあとだった。
*
それは皆で撮影した写真を、たまたまソフトボール部に遊びに来た陽向に見せた時に起こった。
「……何で写真にあーちゃんが映ってるんだ?」
「あーちゃん、穂月たちと一緒に修学旅行がしたいって、大学を休んで駆け付けてくれたんだよー」
「ふ、ふうん? そうか、よかったな」
「うんっ、すっごく楽しかったよ。同じ旅館に泊まってね、夜も一緒にお喋りしたんだ。思い出話とか盛り上がったんだよ」
「思い出話……」
どんどんと俯き加減になっていく年上の友人女性に、穂月は「おー?」と首を傾げる。
いち早く状況を察したというか、陽向の顔を見るなりギクリとした様子だった沙耶が慌ててフォローしようとするも、時すでに遅かった。
「どうして俺も誘ってくれなかったんだよおおお」
陽向が盛大に切れた。それも泣きながらである。
「そういえばまーちゃん先輩の話題も出てましたのに、誰もその場にいないのを疑問に思ったりはしておりませんでしたわね」
「りんりんっ! とどめを刺すのはやめてください!」
沙耶の声は悲鳴じみていた。ハッと凛が口を両手で押さえるも、彼女以上に爆弾を投下したがる友人が肩を竦める。
「何よりも哀れなのは忘れられた女なの」
「ちくしょおおお! グレてやるううう!」
血の涙を流しそうな陽向を、今度は一緒に行こうと約束して宥めるのに穂月たちは1時間以上を費やした。
住み慣れた県を日にちを跨いで離れるのは部活の全国大会で何度も経験しているが、クラスで旅行となると話は別である。
3年生になると受験が忙しくなるからという理由で、進学校の南高校では2年生に修学旅行が設定されている。穂月の叔母の菜月の時代もそうだったらしい。ちなみに行き先もまったく変わっていないそうだ。
隣の席には希がいるも、風景よりも睡眠だと、無防備な穂月の背中にのりのようにくっついて離れない。心地良さそうな寝息が聞こえてくるあたり、本気で夢の世界に旅立っているようだ。
「普通の電車より揺れは少ないですが、それでもこの状況下で当たり前に寝られるのは羨ましいです」
希の正面に座る沙耶が肩を落とす。スラリとした体躯に流れるような黒髪、キラリと光る眼鏡に彩られた彼女はインテリウーマンっぽい雰囲気が以前よりも強くなっていた。
そんな沙耶が希を羨ましがる理由は1つ。彼女は乗り物酔いしやすいタイプだった。とはいえあくまで仲間内に限った話であり、文庫本などを読まずに普通に座っていれば船以外では平気なレベルだ。
「のぞちゃんは色んな意味で規格外だから、参考にするだけ空しくなるの」
ポンポンと肩を叩いて沙耶を励ますのは、穂月の正面に座る悠里だった。小柄な彼女は伸ばした黒髪をツインテールにしているので、生来の童顔さも相まってとても高校生には見えない。
一時は同学年の女生徒に男に媚を売ってると陰口を叩かれたが、当人は胸を張って「ゆーちゃんが媚びてるのはほっちゃんだけなの! 男子なんぞに砂粒ほども興味ないの!」と宣言し、喧嘩を売ろうとした女子グループを唖然とさせた。
それはそれで穂月の周辺がザワついたのだが、そこに希が「アタシも」と乗っかった。男子から絶大な人気を誇る2人だけに、狙っている相手をいつ奪われるかと戦々恐々だった他の女子は諸手を挙げて喜んだ。
敵対的な雰囲気は綺麗さっぱり消え去り、逆に男子が近寄ろうとすると興味がないのだからと追い払ってくれるので、ありがたい存在になったと悠里はいつだったか笑っていた。
ちなみに穂月も悠里や希は好きだが、愛だの恋だのといった感情はお芝居の中だけのもの的に思えていて、自分がどうこうというのはまったく想像できていないのが現状だったりする。
「そんなことより、皆でお話でもするの」
「……そうやってまた仲良し4人組とか強調してわたくしを虐めるつもりなのですわよね。わかっておりますわ、ええ、わかっておりますとも」
ポンと手を打った悠里を、通路を挟んだ隣の席から凛がジト目で睨む。
かと思えばいきなり立ち上がり、悠里の前まで歩み寄る。
「ぼ、暴力反対なの。ゆーちゃんに手を出したら、のぞちゃんが黙ってないの」
「……小物感溢れる物言いですわね。ですが心配ご無用ですわ。わたくしがお友達に狼藉を働くなどありえません。ただ仲間に入れてもらいにきただけですわ」
中学校の修学旅行でも似たような席位置になった凛は、その時からまた同じ状況になった時のために対策を練っていたという。
「それがこれですわ!」
「ふおおっ!?」
車窓から目を離した穂月の前で、スッと持ち上げられた悠里がちょこんと肘掛けの上に乗せられた。そして空いた席に悠々と座るのが凛だ。
「これで万事解決ですわ」
「おー」
「おー、じゃないの! ゆーちゃんを置物みたいに扱うなんて言語道断なの。奪い取られた物は奪い返すのが人生なの!」
訳の分からない人生哲学を口走りながら凛に挑みかかるも、悠里の腕力は仲間内で最弱。押し退けるどころか、軽くいなされてしまう。
「ううう、ほっちゃん……ゆーちゃんを助けてほしいの」
涙目で懇願されると、なんとかしてあげたくなる穂月だ。少しばかり悩んだ結果、電球が光るように解決策を閃く。
「こうすればいいんだよ!」
脇の下に手を入れて悠里を抱えた穂月は、何故か幸せそうな表情をするその友人を、肘掛けではなく凛の膝に座らせた。希以上の体格を誇る彼女と悠里では大人と子供ほどの差がある。虐めているようにはまるで見えず、むしろ微笑ましい光景に映った。
「疲れたらりんりんが膝を開いて、その間にゆーちゃんを座らせてもいいですしね。5人で座るにはこれが1番かもしれません」
友人の中で知恵袋的な存在の沙耶に褒められ、穂月は「えへへ」と自らの後頭部を撫でる。逆に凛と悠里は呆然としていたが、そのうちにこれでいいかとなったらしく、座り心地が悪いだのとギャイギャイ言いつつも力ずくでどちらかを退かすような真似はしなかった。
*
新幹線での長時間の移動を終え、初日は大阪で1泊することになる。到着時はすでに夜なので市内を見学することができず、クラスメートから「えーっ」と抗議の声が上がる。
すると1番前の席で女性バスガイドの話を聞いていた担任の美由紀が、顔だけ後ろを向きながら注意する。
「騒がしくしない。南校生らしい誇りを持って、きちんとした振る舞いを心掛けなさい」
「さすが美由紀先生です。締めるところは締めてくれます」
うんうんと頷く沙耶。穂月たちは5人でバスの最後尾を陣取っているので、友人の挙動がはっきりと確認できた。
「その代わり、カップルが見えたら窓から消しゴムとか投げていいから」
「……南校生らしい誇りとは何だったのでしょうか」
「おー、そういえば菜月ちゃんの時も似たようなやりとりがあったらしいよ」
穂月が思い出しながら教えると、沙耶が盛大にため息をついた。
「そこから10年以上教職員を続けながら、いまだ変わってないというのは凄いというべきなのでしょうか……」
「普通に進歩がないだけなの。というより行き遅れが極まって完全にバグッてるから、もはや仕様と言ってもいいくらいなの」
ケラケラと嗤う悠里に鋭い視線が突き刺さる。
「聞こえたわよ、悠里……帰ったら特別メニューを組んであげるから覚悟しておきなさい」
「勘違いしてもらっては困るの。今のはりんりんに言えと脅されただけなの。ゆーちゃんは無実なの」
「さらっと真顔で人を巻き込まないでくださいませ!」
*
朝早く大阪から京都へバスで移動し、昼から定められた自由時間。いざ5人で事前の計画通りに観光して回ろうとした穂月たちの前に予想外の人物が現れた。
「やっほー」
私服姿の朱華である。軽く右手を挙げた彼女は満面の笑みを浮かべており、穂月たちを見かけるなり駆け寄ってきた。
「あーちゃんだー、何でここにいるの?」
伸ばされた手を穂月が取り、キャッキャッしていると朱華が軽くウインクした。
「卒業生だからね。修学旅行のルートくらい知ってて当然よ」
「ほっちゃんが聞きたかったのはそういうことではないと思いますが……」
想定外の再会をひとしきり喜んだあと、沙耶が眼鏡を直しつつ、朱華に詳しい状況の説明を求める。
「単純な理由よ。学年が違ってほっちゃんたちと修学旅行を楽しんだことがなかったから、一緒に行きたかったの」
自費で修学旅行に混ざるという宣言に穂月は「おー」と声を上げ、希はどうでもよさそうに目を擦る。
「ちなみに美由紀先生には事前に許可を取ってあるわよ」
「そういう用意周到さはさすがあーちゃん先輩ですわ。ですが大学の方はよろしいのですか」
凛の質問に、朱華は「大学生は身軽なのだよ」と得意げに人差し指を立てた。
「ならあーちゃんも一緒に修学旅行だね」
仲間が増えて喜ぶことはあっても、嫌がったりはしない穂月である。
皆でキャイキャイはしゃぎながらお寺巡りをしようとして、穂月はふと背中から友人の温もりが消えているのに気付く。
「のぞちゃん?」
「……何か忘れてるような気がする」
「んー……何だろ……」
「多分、気のせい……」
希の懸念の正体が判明するのは、穂月たちが4泊5日の修学旅行を全力で楽しんだあとだった。
*
それは皆で撮影した写真を、たまたまソフトボール部に遊びに来た陽向に見せた時に起こった。
「……何で写真にあーちゃんが映ってるんだ?」
「あーちゃん、穂月たちと一緒に修学旅行がしたいって、大学を休んで駆け付けてくれたんだよー」
「ふ、ふうん? そうか、よかったな」
「うんっ、すっごく楽しかったよ。同じ旅館に泊まってね、夜も一緒にお喋りしたんだ。思い出話とか盛り上がったんだよ」
「思い出話……」
どんどんと俯き加減になっていく年上の友人女性に、穂月は「おー?」と首を傾げる。
いち早く状況を察したというか、陽向の顔を見るなりギクリとした様子だった沙耶が慌ててフォローしようとするも、時すでに遅かった。
「どうして俺も誘ってくれなかったんだよおおお」
陽向が盛大に切れた。それも泣きながらである。
「そういえばまーちゃん先輩の話題も出てましたのに、誰もその場にいないのを疑問に思ったりはしておりませんでしたわね」
「りんりんっ! とどめを刺すのはやめてください!」
沙耶の声は悲鳴じみていた。ハッと凛が口を両手で押さえるも、彼女以上に爆弾を投下したがる友人が肩を竦める。
「何よりも哀れなのは忘れられた女なの」
「ちくしょおおお! グレてやるううう!」
血の涙を流しそうな陽向を、今度は一緒に行こうと約束して宥めるのに穂月たちは1時間以上を費やした。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
学園のアイドルに、俺の部屋のギャル地縛霊がちょっかいを出すから話がややこしくなる。
たかなしポン太
青春
【第1回ノベルピアWEB小説コンテスト中間選考通過作品】
『み、見えるの?』
「見えるかと言われると……ギリ見えない……」
『ふぇっ? ちょっ、ちょっと! どこ見てんのよ!』
◆◆◆
仏教系学園の高校に通う霊能者、尚也。
劣悪な環境での寮生活を1年間終えたあと、2年生から念願のアパート暮らしを始めることになった。
ところが入居予定のアパートの部屋に行ってみると……そこにはセーラー服を着たギャル地縛霊、りんが住み着いていた。
後悔の念が強すぎて、この世に魂が残ってしまったりん。
尚也はそんなりんを無事に成仏させるため、りんと共同生活をすることを決意する。
また新学期の学校では、尚也は学園のアイドルこと花宮琴葉と同じクラスで席も近くなった。
尚也は1年生の時、たまたま琴葉が困っていた時に助けてあげたことがあるのだが……
霊能者の尚也、ギャル地縛霊のりん、学園のアイドル琴葉。
3人とその仲間たちが繰り広げる、ちょっと不思議な日常。
愉快で甘くて、ちょっと切ない、ライトファンタジーなラブコメディー!
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる