東京・三鷹。雑散歩

高木康文

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東京・三鷹、雑散歩

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千葉県から東京駅方面へ月に一度は総武快速線で、ミニ旅をします。東京駅の八重洲地下街で安価な昼食をとるのが好きなのです。月曜からの昼飲みと称して、サラリーマン40年を終えた、気分をそっと感じます。またときには新宿駅まで足を延ばして、パーラータカノで1000円くらいのフルーツパフェを、デジカメで撮影しながら食べます。糖分は糖尿病の管理がまあできている私ですが、薬も不要で、力仕事のパートで身体を使っていると、まったく問題なく消費します。月に1度は自分にご褒美をと想います。東京から撮り鉄のロケをしながらの、ひとつのルートがあります。まずは文学のロマンを書き立てる中野・三鷹方面です。黄色の中央総武線の各駅停車で、御茶ノ水から新宿を経て、中野へその先の三鷹が終着駅です。中央線快速のオレンジ帯の電車は、東京駅発で立川・八王子へと走ります。三鷹と言えば、静寂な文豪の街、と心にとめています。JR中央線の三鷹駅を立川方面を前に見て左側の口に降ります。古くは、武蔵野の名で広く知られています。駅前に喫煙所があって、煙草を私は50年も吸って「心の日曜日」という古いCMフレーズで、一息つくことで、元気を出す習慣にしています。今では、「ガス抜き」という言葉で微笑む方もいますね。左にトンボの絵が付いた「風の散歩道」があります。ここを玉川上水が流れていて、緑が生い茂っていますが、水量は少なくて、小川のように今はなっています。この道を6月にはアジサイが少しですが綺麗に咲いていて、心が洗われる気持ちです。ずっと沿って歩きます。昭和の有名な作家の太宰治が愛した町です。風の散歩道を歩いて、目の裏に、優しい語句で書いていた、太宰の「人間失格」「走れメロス」「斜陽」などを想います。「人間失格」というタイトルは、太宰治が謙遜を大げさにしたのかなと思います。駅前の観光案内所で聞いたことですが、昭和の20年代には、玉川上水は暴れ河として、大きな流れであったということです。やがて右側に太宰治の記念碑がでてきます。記念の鉄碑には、笑顔の太宰治が迎えてくれます。昭和23年6月に太宰治は、ここで入水して自死します。知人の女性とともに、彼は38歳で逝ってしまいました。文学青年のふりをしていた私は、真の優しさについて想いましたが、とうていわかることではないです。初めてここを歩いたときは、目の中にうっすらと涙を感じました。記念碑には、「・・両岸から青葉が伸びて、さながら青葉のトンネルのようである・・」と太宰の文が刻まれています。またこの記念碑から三鷹の町の方へ戻りながら入ると、「太宰治文学サロン」に行けます。彼の写真や作品の書き出しと年表で、また笑顔が、胸の中に残ります。太宰治の文章の特徴は、とてもやさしい語句で綴られて、筆者の気持ちの優しさを感じることができます。もう一つ、山本有三記念館もあります。「路傍の石」の作者で、主人公を道端にある石に例えたのですが、私は少青年のころ自分を道端の石に過ぎないとか、想っていました。古い映画のポスターが鮮やかです。さらに歩いていくと「ジブリ森美術館」があります。そのまま井の頭公園へと入っていきます。季節が感じられ、池にはスワン型のボートが浮かんでいて、お子さん連れの家族がはしゃぎながら、すべるように動いています。昭和の古いですが、人気の出たテレビドラマの「俺たちの旅」でもここが出てきました。「夢の坂道は・・~背中の夢に・・あなたが今でも手をふるようだ・・」の歌が聴こえて自分で歌っている気持ちです。井の頭公園を抜けると吉祥寺駅、京王井ノ頭線の駅に着きます。電車の先頭部分の顔というか色がカラフルで、綺麗です。あと1編成だけ電車の窓の下の帯のところが、虹色になっていて前から横へと見送ると赤・橙・黄、最後は紫と塗色が、鮮やかに虹です。撮影したいので待ったことがあります。渋谷行きだけですが、急行と各駅停車が選べて、快適な乗り鉄ができます。京王電鉄のドル箱路線で、沿線には高級住宅地を多くかかえています。途中の乗換え駅、「明大前」では新宿方面の京王線乗換え、また「下北沢」乗換えでは小田急線と交差しています。それぞれ、京王は「笹塚」で都営新宿線に直通して、千葉県の市川市の本八幡へ、小田急は「代々木上原」でメトロ千代田線へと続きます。撮り鉄の私は、「笹塚」「代々木上原」は絶好の駅、千葉方面へ行けるので、ホームでの撮影をしています。三鷹、ずいぶん前は遠い駅と感じていましたが、メトロ東西線もJR総武線と中央線に乗入れて、便利なショートカットも半世紀の運行となりました。東京メトロ東西線が、千葉県の、総武中央線の西船橋駅から近回りで浦安を通り、海沿いから内陸へ入って、三鷹に達しています。千葉方面から中野・三鷹へ向かうとき、総武快速線で、東京地下駅から上の階へ上がって、東京駅からのオレンジ帯の中央線快速がひっきりなしに走って、特別快速も30分に1本はあります。特別快速は、中央特快という略で、沿線に耳慣れてよく利用されてきています。中央線では「特急あずさ」が有名で、東京や新宿から遠く長野県の松本行きが、紫色のこれまた人気のある車両で長年にわたって走っています。昭和の歌に「あずさ2号」、狩人という男性2人の歌が、年代が上の方はヒットしたのはご存知だと思います。中央線は東京を発車後、神田、御茶ノ水、四ツ谷、新宿ですが、御茶ノ水で総武線からの黄色の各駅停車と接続して、各駅停車は水道橋から神田川の景色、緑や水も見て、代々木を経て新宿です。御茶ノ水やそれぞれの駅に何かしら見れる寺社もありますし、ゆっくりと三鷹に向かうのも、東京在住の方は通勤等で過ぎてゆくのでしょうが、東京の文教を感じながら、散歩が楽しいです。行きと帰りを趣きを変えて、どこで昼食の小ビール休憩をとるか考えます。踊る捜査線というか、現代の東京ラプソディを楽しみましょう。
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