熱い涙もカラ涙   苦しみの結晶

高木康文

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熱い涙もカラ涙   苦しみの結晶

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熱い涙もカラ涙   苦しみの結晶  
         高木康文
青い夕暮れが幕を下ろした 桔梗の花が整然とした花びらを しっかりと咲かせている
なんと襟を正した 美しい姿 
夏の終わりのセレモニーが テレビでにこやかに明るく 愛情と命を心強く賛美 涙をこらえる 素晴らしい光景 
熱い涙はにじむにしても 本心は寒くて カラ涙
自らの心の中に うまくいっていないこと 
人はみな悩みを持っていると 言われても それですむことではない 
遠い山奥の 遥か彼方の 人が知らない野原の 名もない野草の 一枚の花弁となって 自然の中に 埋もれてしまいたい 
遠い記憶の 少青年のころに 書きなぐったことば 明るくにこやかな光景は 無視殺し
苦しみは心の底に いつしか溜まって 水になり どこまでも流れてゆく 遥かな年月をかけて 赤い地の果てへたどり着き 結晶となって固まる それは凍えるほどに 美しい 水色した 苦しみの結晶


悲しみの音  高木康文
一日の仕事をやっと 終えて 夕陽が下に降りてきた 
小さな船着き場に 1艘の小舟がもやられている そうっと私は 乗り込む
水音が低く聞こえる それは悲しみが 水に濡れる音 
一日にあった悲しみに 涙を流しているんだね 
いくばくか時に 身をゆだねて 誰かが紫色のヴェールを投げた 空で夕映えが始まる
どこで夕飯にしようか ただ 自分の白い部屋へ とぼとぼと歩き始める
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