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ロゼッタを手に入れた。

自邸にロゼッタの両親を招き、フェルナンドの両親は話し合いをした。フェルナンドの母とロゼッタの母の鳴き声が廊下に洩れ聞こえてくる。もしかすると母と叔父の不貞行為はバレたのかも知れないと、そう思った。詳しい内容は聞こえない故断言は出来ないが……。

婚約を飛ばしロゼッタとの結婚が決まった後も、両親達は暫くの間何やら揉めに揉めていた様子だったが、彼女が手に入ったのならばフェルナンドはそれ以上興味はない。

後は離縁するなり、揉めるなり好きにすれば良い。



新居に移り住み、ロゼッタとの生活が始まった。だが何時になっても待ち侘びた時間は訪れる事はなかった。

ロゼッタとの甘い時間。彼女を抱き締めて眠り、共に食事摂り、肩や腰を抱き寄せ抱擁を交わす、そんな日々を思い描いていた筈が蓋を開ければまるで違った。

そもそも彼女は自分との結婚にまるで乗り気ではなかった様で、致し方なくフェルナンドに嫁いで来た様に見えた。

初日彼女からの要望もあり寝室を別々に、しかも同じ2階でも端から端という距離。明らかに嫌われているとしか思えない。

素っ気ない態度と、時折向けらる軽蔑とも思われる眼差し。もしかして、ロゼッタは知っているのだろうか……自分が実の兄という事実を。

ふと両親達が揉めているのを思い出した。あれだけ揉めていたのだ。もしかしなくてもロゼッタも勘づいたのかも知れない……。

「ロゼッタ、おはよう」

「……おはようございます。もう、お昼前ですが」

そう言って軽く会釈すると、スタスタと行ってしまった。やはり、気付いている?気付いている故に、素っ気なく冷たくされているのか……。

それしか考えられない。昔はあんなに仲睦まじかったのだ。実の兄妹にも関わらず、妻にと望んだ自分を軽蔑しているに違いない。

どうすれば良い……。考えても考えても答えは出ない。そんな日々がひと月続き、フェルナンドは焦燥に駆られた。

触れる事すら赦されない空気に、苛立ち不満も募る。やがて満たされない想いを、以前の様に外で発散し始めた。

一晩だけの適当な女を抱いた。だが、以前までは心は満たされなくとも身体はそれなりに満たされていたのだが、どんな女を抱いても満たされない。心も身体も渇き干上がりそうだった。

ある晩、いつも通り情事を済ませ自邸に帰った。だがその日は大分酔っていて、気づけば女を連れ込んでいた。しかも自室ではなく何故かロゼッタの部屋の前まで来ていた。

ふと酔いの回った頭で、このまま目の前の女と事に及べば彼女はどう思うのだろうか……そう考えた。もしかしたら、妬きもちの一つでも妬いてくれるのではないか……。

そう思い彼女の部屋の前で女を抱き始めた。女の喘ぎ声は廊下に響き、きっと部屋の中にも聞こえている筈だ。彼女が今……聞いている。そう思った瞬間、これまでにない程に興奮を覚えた。

女の身体を揺さぶりながら、頭の中で彼女の名前を呼び続ける。

ー ロゼッタ、ロゼッタ、ロゼッタっ ー

そして部屋の扉は開かれ、彼女が姿を見せた。






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