30歳処女、不老不死になりました

折原さゆみ

文字の大きさ
2 / 67

2それから二十年後

しおりを挟む
 実乃梨は、その後も自分の今と昔の写真を見比べることを定期的に行っていた。しかし、いつ何度見ても、自分の今の姿は三十歳のころと変わることはなかった。


 年を取らなくなったと気づいてから、二十年が経過した。実乃梨は、今年の元旦で五十歳を迎えた。彼女は今も独身のままで、男性との付き合いはしたことがなく、いまだに処女を貫き通していた。

「これはもう、私は人外かもしれない……」

 大学を卒業してからずっと勤めていた会社は、五十歳で辞めざるを得なくなった。実乃梨の実年齢と同じ四十代の同僚や、五十代に差し掛かった先輩社員、長年一緒に勤めていた仲間から不振の目を向けられるようになったからだ。見た目が変わることのない、不気味な実乃梨と、よく今まで同じ職場で一緒に働いてくれたものだ。実乃梨は、自分が同僚と同じ立場になって考えて、彼らに感心した。


 五十歳を機に、親の介護などがあるという嘘の退職理由を述べ、会社を辞めることにした。これ以上、同じ会社に居たら、面と向かって化け物呼ばわりされる可能性があると危惧したからだ。

しかし、五十歳になって仕事を辞めたとして、その年で正社員の仕事を探しても、普通なら見つけるのは容易ではない。普通に年を取った五十歳を過ぎた女性を雇ってくれる奇特な会社はなかなか見つからない。実乃梨は自分も世間の五十代の女性と同じように仕事が簡単に見つかるとは思っていなかった。

「履歴書を拝見させてもらいましたが、本当に今年で五十一歳ですか?ずいぶんとお若く見えるようですが」

「五十代には見えませんが、年齢を偽ってはいませんか?」

「理由はわかりませんが、嘘の履歴書をいただいても困ります」

 実際に実乃梨は仕事に就くことができずにいた。とはいえ、不採用理由は、世間一般の五十代の女性が会社に採用されない理由とは異なっていた。

「本当に今年で五十一歳です。両親や市役所に問い合わせてもらっても構いません」

 面接で容姿のことで質問されるたびに、実乃梨は履歴書に記載されている生年月日は真実であることを訴えた。訴えたが、どこの企業も実乃梨を採用しようとはしなかった。



 面接での失敗が続いて落ち込みかけていた時、実乃梨は、ネットである仕事を見つけた。

『募集条件:最近、自分は周りの人と比較して年を取っていないと感じた人、人より若く見られがちな人、特に美容や健康に気を付けていないのに、若く見られがちな人などが対象。女性限定』

 普通の人なら、こんなバカげた条件を指定されてホイホイとその仕事に応募しないだろう。しかし、実乃梨はその後に提示された仕事内容と給料に目がくらみ、すぐに応募した。

『仕事内容:延命治療のための薬の治験に関わる被検体。週に3回ほどの通院。新薬の服用、それ以外に拘束なし』

『給料:一週間の通院で十万円。別途交通費支給』

「ちょっと胡散臭いけど、募集条件には当てはまっているし、治験のバイトなんて初めてだけど、お金も欲しいからね。募集しているのは国立研究機関だから、何か起こるっていう心配もないはず」

 あいまいな募集条件に、実乃梨は当てはまっている。もしかしたら、このバイトをすることで、自分の身体の秘密がわかるかもしれない。実乃梨は少しの不安と期待を持ちながら、採用結果を待つことにした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

とっていただく責任などありません

まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、 団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。 この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!? ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。 責任を取らなければとセルフイスから、 追いかけられる羽目に。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

処理中です...