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21呼び出された理由
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次の日、実乃梨は寝不足にも関わらず、妙な高揚感が続いていた。どんな気分でも会社に行かなくてはならないが、今日は会社に自ら行きたいと思ってしまった。実乃梨は、自分の命を脅かす存在である彼女に会えるのを不謹慎ながら、楽しみにしていた。
いつも通りに会社に行く支度をして、家を出る。実乃梨が玄関のドアを開けると、そこには永徳の姿があった。会社まで永徳の運転する車で出勤するため、そのまま一緒に駐車場まで歩いていく。
「おはようございます。今日もよろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
軽い挨拶を済ませると、その後に会話はない。永徳は自分の仕事に真面目に取り組んでいる。あまりしゃべらない性格なのか、実乃梨に話しかけることはない。実乃梨が永徳に話しかけないと無言のままだ。
会社に着くと、すでに仕事に取り組んでいた社員が、実乃梨に気付いて声をかけてきた。
「おはようございます。栄枝さん、急で悪いだけど、明日から新しい事務員を派遣で雇うことになったから、教育係をお願いできないかしら?」
「いきなりですね。そんな話、会社でありましたっけ?」
「私も今朝、会社に来て初めて知ったの」
昨日の今日で、彼女が来るのだろうか。とはいえ、実乃梨が護衛されていて、殺人犯から狙われていることを社長は知っているはずだ。それなのに、この時期に新人の派遣社員を雇うだろうか。
「教育係は他の人に頼んだ方がよさそう?仕事が溜まっているとかで難しいかな。深刻そうな顔をしているけど大丈夫?」
「いえ、この時期に新しい人を雇うなんて、珍しいなと思っただけです」
「そうだよねえ。私もそう思ったけど、言われたとおりに動くのが平社員だからね。よろしく頼みます」
実乃梨の表情を誤解したのか、実乃梨よりも見た目の年齢が高い社員が笑いながら、新人教育役を押し付ける。それに対して、特に不満はないので、快く返答した。
昨日の今日で、彼女が実乃梨の会社にやってくる気配はなかった。会社の人間に不審な人物はいない。外部の人間も顔見知りばかりだった。彼女がやってこないことに、実乃梨は落胆していた。
「社長、およびだと聞きましたが」
定時直前、実乃梨は社長に呼びだされていた。明日来るという派遣社員のことかと思って身構えるが、社長は実乃梨に予想外の質問を始めた。
「そうだねえ。まずは座ってくれるかな」
社長室に足を運んだ実乃梨に、社長がソファに座るよう促す。社長と実乃梨は向かい合って座った。
「護衛の永徳君とは仲良くやっているかい?」
「永徳さんですか?はい、彼は私の護衛任務を完璧にこなしています。私にはもったいないくらいです」
「そうかい。それならいいけど、できればそのまま」
……してくれてもいいんだよ。
「何か言いましたか?」
実乃梨の返答に、社長は少し心配そうな表情で実乃梨を見つめ、ため息を吐く。最後の言葉は独り言のように小さくて聞き取れなかった。
「あの、話とはいったい何ですか?永徳さんを待たせるのは申し訳ないのですが」
「ああ、彼なら、私が栄枝さんと話をするからと言って、遅くなることは伝えてあるから大丈夫だよ」
「社長が私を呼びだしたのは、明日くるという、派遣社員の件ですか?」
「直球だね。私と話すのがそこまで嫌なのかい?」
まどろっこしいことが苦手な実乃梨が、社長に呼びだされた理由を問いかける。それに対して、苦笑いをしながらも社長は否定しなかった。
いつも通りに会社に行く支度をして、家を出る。実乃梨が玄関のドアを開けると、そこには永徳の姿があった。会社まで永徳の運転する車で出勤するため、そのまま一緒に駐車場まで歩いていく。
「おはようございます。今日もよろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
軽い挨拶を済ませると、その後に会話はない。永徳は自分の仕事に真面目に取り組んでいる。あまりしゃべらない性格なのか、実乃梨に話しかけることはない。実乃梨が永徳に話しかけないと無言のままだ。
会社に着くと、すでに仕事に取り組んでいた社員が、実乃梨に気付いて声をかけてきた。
「おはようございます。栄枝さん、急で悪いだけど、明日から新しい事務員を派遣で雇うことになったから、教育係をお願いできないかしら?」
「いきなりですね。そんな話、会社でありましたっけ?」
「私も今朝、会社に来て初めて知ったの」
昨日の今日で、彼女が来るのだろうか。とはいえ、実乃梨が護衛されていて、殺人犯から狙われていることを社長は知っているはずだ。それなのに、この時期に新人の派遣社員を雇うだろうか。
「教育係は他の人に頼んだ方がよさそう?仕事が溜まっているとかで難しいかな。深刻そうな顔をしているけど大丈夫?」
「いえ、この時期に新しい人を雇うなんて、珍しいなと思っただけです」
「そうだよねえ。私もそう思ったけど、言われたとおりに動くのが平社員だからね。よろしく頼みます」
実乃梨の表情を誤解したのか、実乃梨よりも見た目の年齢が高い社員が笑いながら、新人教育役を押し付ける。それに対して、特に不満はないので、快く返答した。
昨日の今日で、彼女が実乃梨の会社にやってくる気配はなかった。会社の人間に不審な人物はいない。外部の人間も顔見知りばかりだった。彼女がやってこないことに、実乃梨は落胆していた。
「社長、およびだと聞きましたが」
定時直前、実乃梨は社長に呼びだされていた。明日来るという派遣社員のことかと思って身構えるが、社長は実乃梨に予想外の質問を始めた。
「そうだねえ。まずは座ってくれるかな」
社長室に足を運んだ実乃梨に、社長がソファに座るよう促す。社長と実乃梨は向かい合って座った。
「護衛の永徳君とは仲良くやっているかい?」
「永徳さんですか?はい、彼は私の護衛任務を完璧にこなしています。私にはもったいないくらいです」
「そうかい。それならいいけど、できればそのまま」
……してくれてもいいんだよ。
「何か言いましたか?」
実乃梨の返答に、社長は少し心配そうな表情で実乃梨を見つめ、ため息を吐く。最後の言葉は独り言のように小さくて聞き取れなかった。
「あの、話とはいったい何ですか?永徳さんを待たせるのは申し訳ないのですが」
「ああ、彼なら、私が栄枝さんと話をするからと言って、遅くなることは伝えてあるから大丈夫だよ」
「社長が私を呼びだしたのは、明日くるという、派遣社員の件ですか?」
「直球だね。私と話すのがそこまで嫌なのかい?」
まどろっこしいことが苦手な実乃梨が、社長に呼びだされた理由を問いかける。それに対して、苦笑いをしながらも社長は否定しなかった。
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