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38後輩社員の決意
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殺人犯からの誘いがあったとしても、仕事を休むわけにはいかない。週明けに会社に着くと、いつもとは違う光景が広がっていた。
「おはようございます。どうしたんですか?」
事務所の隅に人が集まっていた。何事かと近くにいた社員に問いかけると、すぐに理由が判明する。
「相沢さんが、自分は『不老不死』だと告白したみたいです」
「どういうこと?」
「さあ?」
人だかりの中心にいるのは、相沢のようだ。どうして突然、そんなことを言い始めたのか。彼女は殺人犯の考えに共感して、自らがおとりになって、私に近づいてきたはずだ。それが何を血迷って、自らの正体をばらしてしまったのか。
「ちょっと、どいてください」
実乃梨は人を押し分けて、人だかりの中心に躍り出る。普段おとなしい実乃梨が強引に人を押しのける姿に、集まっていた社員たちは驚いていた。
「おはようございます、先輩。顔色が悪いようですが、大丈夫ですか?」
「ちょ、ちょっと、こっちにきなさい!」
問答無用で、相沢の手を引いて、普段あまり使われないお手洗いまで連れていく。反抗されるかと思ったが、相沢はおとなしく実乃梨に手を掴まれたままついてきた。お手洗いで話すのは二度目だと今さながら気付く。しかし、手っ取り早く確認するためには、ここが一番都合がいい。
お手洗いの個室に相沢を連れ込み、実乃梨も一緒に入ってカギをしめる。
「この前とは逆の状況ですね。個室に連れ込むなんて、ずいぶんと積極的ですこと」
「黙ってくれる?」
実乃梨はそのまま相沢の着ていたブラウスをスカートから引っ張り出し、さらには下着をめくって腹部を確認する。
「キャッ。私は、百合展開は望んでいませんが、大胆な先輩は素敵!」
「これが偽物、なんてことはないわよね?」
「先輩にも同じものがついているのに、私のことを疑うんですか?」
「そ、それは」
衝動的な自分の行動でようやく我に返る。実乃梨は冷静さを失っていた。しかし、どうしても実乃梨は相沢が不老不死だという証拠を確認したかった。
「どうぞ、存分にご確認ください。まあ、私はこの紋様とは近々お別れ予定ですが」
「えっ」
「うかうかしていたら、私まであの方に殺されてしまいます。地獄を味わった末に殺される。自ら覚悟を決めて地獄に足を踏み入れるのと、他人から地獄に突き落とされるのは、気持ち的にだいぶ違いますから」
相沢は、実乃梨がたくし上げた下着とブラウスを元に戻して、平然とさらに衝撃の発言を続ける。
「一抜けですよ。先輩もこれを機に不老不死を卒業したらいかがですか?私もだいぶ悩みましたが、これで不老不死が卒業できるのなら、我慢するしかありません。本当は、女の子同士でキャッキャフフフとやるのが理想でしたが、仕方ないです」
「相手はいったい」
「そんな野暮な質問なしですよ」
にっこり笑う相沢だが、実乃梨には楽しそうには見えなかった。痛々しい笑顔にしか見えなかった。
「先輩、可愛い女子を紹介してくれませんか?会社の子に手を出すのはダメですよね。会社とプライベートは分けた方がいいと言いますよね。じゃあ、出会い系サイトに登録?でも私、そういうのに登録している肉食系って、あんまり好みじゃないし。ああでも、清楚な子ってSNSとかやらなそうだし。ううん」
相沢は、実乃梨にはありえなかった未来を手にしようとしている。
その時の実乃梨は完全に正気を失っていた。ここがお手洗いの個室で、凶器となり得るものがなかったのが幸いした。包丁やナイフがあったら、何をしていたのかわからない。実乃梨はポケットに入っていたボールペンを相沢に向けて振りかざした。
「おはようございます。どうしたんですか?」
事務所の隅に人が集まっていた。何事かと近くにいた社員に問いかけると、すぐに理由が判明する。
「相沢さんが、自分は『不老不死』だと告白したみたいです」
「どういうこと?」
「さあ?」
人だかりの中心にいるのは、相沢のようだ。どうして突然、そんなことを言い始めたのか。彼女は殺人犯の考えに共感して、自らがおとりになって、私に近づいてきたはずだ。それが何を血迷って、自らの正体をばらしてしまったのか。
「ちょっと、どいてください」
実乃梨は人を押し分けて、人だかりの中心に躍り出る。普段おとなしい実乃梨が強引に人を押しのける姿に、集まっていた社員たちは驚いていた。
「おはようございます、先輩。顔色が悪いようですが、大丈夫ですか?」
「ちょ、ちょっと、こっちにきなさい!」
問答無用で、相沢の手を引いて、普段あまり使われないお手洗いまで連れていく。反抗されるかと思ったが、相沢はおとなしく実乃梨に手を掴まれたままついてきた。お手洗いで話すのは二度目だと今さながら気付く。しかし、手っ取り早く確認するためには、ここが一番都合がいい。
お手洗いの個室に相沢を連れ込み、実乃梨も一緒に入ってカギをしめる。
「この前とは逆の状況ですね。個室に連れ込むなんて、ずいぶんと積極的ですこと」
「黙ってくれる?」
実乃梨はそのまま相沢の着ていたブラウスをスカートから引っ張り出し、さらには下着をめくって腹部を確認する。
「キャッ。私は、百合展開は望んでいませんが、大胆な先輩は素敵!」
「これが偽物、なんてことはないわよね?」
「先輩にも同じものがついているのに、私のことを疑うんですか?」
「そ、それは」
衝動的な自分の行動でようやく我に返る。実乃梨は冷静さを失っていた。しかし、どうしても実乃梨は相沢が不老不死だという証拠を確認したかった。
「どうぞ、存分にご確認ください。まあ、私はこの紋様とは近々お別れ予定ですが」
「えっ」
「うかうかしていたら、私まであの方に殺されてしまいます。地獄を味わった末に殺される。自ら覚悟を決めて地獄に足を踏み入れるのと、他人から地獄に突き落とされるのは、気持ち的にだいぶ違いますから」
相沢は、実乃梨がたくし上げた下着とブラウスを元に戻して、平然とさらに衝撃の発言を続ける。
「一抜けですよ。先輩もこれを機に不老不死を卒業したらいかがですか?私もだいぶ悩みましたが、これで不老不死が卒業できるのなら、我慢するしかありません。本当は、女の子同士でキャッキャフフフとやるのが理想でしたが、仕方ないです」
「相手はいったい」
「そんな野暮な質問なしですよ」
にっこり笑う相沢だが、実乃梨には楽しそうには見えなかった。痛々しい笑顔にしか見えなかった。
「先輩、可愛い女子を紹介してくれませんか?会社の子に手を出すのはダメですよね。会社とプライベートは分けた方がいいと言いますよね。じゃあ、出会い系サイトに登録?でも私、そういうのに登録している肉食系って、あんまり好みじゃないし。ああでも、清楚な子ってSNSとかやらなそうだし。ううん」
相沢は、実乃梨にはありえなかった未来を手にしようとしている。
その時の実乃梨は完全に正気を失っていた。ここがお手洗いの個室で、凶器となり得るものがなかったのが幸いした。包丁やナイフがあったら、何をしていたのかわからない。実乃梨はポケットに入っていたボールペンを相沢に向けて振りかざした。
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