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第一章 入学式
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『美彩(みさ)、お前はまだ、大学とやらに慣れていないのか?』
「だ、だって、し、仕方ないでしょう?みんな、リア充していそうで、私なんかが話しかけられない雰囲気だし」
陽炎美彩(ようえんみさ)は、今年、大学一年生になった。今日はその入学式であり、彼女は他の新入生を見て、愚痴をこぼしていた。大学生になったということで、茶色や金に髪を染めている学生や、耳にピアスを開けている学生などがいた。真面目に高校生活を送り、今も黒髪でピアスも開けず、黒ぶちのメガネをかけている彼女は、そんな彼らに声を掛けられずにいた。
とはいえ、今日は入学式ということもあり、新入生は真新しいスーツを身につけているため、外見が多少派手でも地味でも、服装が同じということもあって、美彩の存在は他の新入生と同じように見えた。
「ねえ、シラコもそう思うでしょ?」
しかし、美彩には一つだけ、彼らと違う点があった。彼女は自分の身体に向かって、まるでそこに誰かがいるように話しかけていた。はたから見たら、独り言をつぶやいているようにしか見えない。
『我はそうは思わんがな。そもそも、今まで、人とあまり関わらなかった方が問題だろう。我みたいな、人間ではない奴と話すときは饒舌になるのに、なぜ、同じ人間と話すのが苦手なのか、我にはさっぱりわからんな』
周囲からは、彼女が独り言を話しているように見えていたが、彼女には話している相手がしっかりと見えていた。
『入学式がそろそろ始まるぞ。講堂とかいう場所に行った方がいいのではないか?』
「そうだね。もう、そんな時間だね。ああ、お母さんたちも入学式に来られたらよかったのに」
『仕事があると言っていたではないか。お前ももう、子供ではないのだから、一人でも大丈夫だと判断されたのだろう』
先ほどから彼女が会話している相手は、彼女の胴体に巻き付いていた。真っ赤な長い舌を伸ばし、シューシューと音を立てている。彼女の話し相手は、体長1メートルほどの真っ白なヘビだった。
嫌々ながらも、美彩は入学式が行われる大学の講堂に向かっていた。周りでは両親と一緒に写真を撮る学生や、さっそく親しくなったのか、新入生同士、一緒に写真を撮り合ったり、スマホで連絡先を交換し合ったりする学生がちらほら見られた。
「やっぱり、仕事を休んでもらって、お母さんたちに来てもらえば良かった」
『恋華(れんか)も太志(たいし)も仕事があると言っていただろう?我が同行しているだけでもありがたいと思うことだな』
「ええ、だって、シラコは人間じゃないでしょ。それに、私たち以外に見えないじゃん!」
そんな話をしながらも、美彩の足は止まらない。講堂の前までやってきてようやく足を止める。講堂のある建物を見上げて、彼女は大きなため息をついた。
「憂鬱だな、本当に……」
大勢の学生の波にのまれて、美彩の言葉は途中で掻き消された。
「だ、だって、し、仕方ないでしょう?みんな、リア充していそうで、私なんかが話しかけられない雰囲気だし」
陽炎美彩(ようえんみさ)は、今年、大学一年生になった。今日はその入学式であり、彼女は他の新入生を見て、愚痴をこぼしていた。大学生になったということで、茶色や金に髪を染めている学生や、耳にピアスを開けている学生などがいた。真面目に高校生活を送り、今も黒髪でピアスも開けず、黒ぶちのメガネをかけている彼女は、そんな彼らに声を掛けられずにいた。
とはいえ、今日は入学式ということもあり、新入生は真新しいスーツを身につけているため、外見が多少派手でも地味でも、服装が同じということもあって、美彩の存在は他の新入生と同じように見えた。
「ねえ、シラコもそう思うでしょ?」
しかし、美彩には一つだけ、彼らと違う点があった。彼女は自分の身体に向かって、まるでそこに誰かがいるように話しかけていた。はたから見たら、独り言をつぶやいているようにしか見えない。
『我はそうは思わんがな。そもそも、今まで、人とあまり関わらなかった方が問題だろう。我みたいな、人間ではない奴と話すときは饒舌になるのに、なぜ、同じ人間と話すのが苦手なのか、我にはさっぱりわからんな』
周囲からは、彼女が独り言を話しているように見えていたが、彼女には話している相手がしっかりと見えていた。
『入学式がそろそろ始まるぞ。講堂とかいう場所に行った方がいいのではないか?』
「そうだね。もう、そんな時間だね。ああ、お母さんたちも入学式に来られたらよかったのに」
『仕事があると言っていたではないか。お前ももう、子供ではないのだから、一人でも大丈夫だと判断されたのだろう』
先ほどから彼女が会話している相手は、彼女の胴体に巻き付いていた。真っ赤な長い舌を伸ばし、シューシューと音を立てている。彼女の話し相手は、体長1メートルほどの真っ白なヘビだった。
嫌々ながらも、美彩は入学式が行われる大学の講堂に向かっていた。周りでは両親と一緒に写真を撮る学生や、さっそく親しくなったのか、新入生同士、一緒に写真を撮り合ったり、スマホで連絡先を交換し合ったりする学生がちらほら見られた。
「やっぱり、仕事を休んでもらって、お母さんたちに来てもらえば良かった」
『恋華(れんか)も太志(たいし)も仕事があると言っていただろう?我が同行しているだけでもありがたいと思うことだな』
「ええ、だって、シラコは人間じゃないでしょ。それに、私たち以外に見えないじゃん!」
そんな話をしながらも、美彩の足は止まらない。講堂の前までやってきてようやく足を止める。講堂のある建物を見上げて、彼女は大きなため息をついた。
「憂鬱だな、本当に……」
大勢の学生の波にのまれて、美彩の言葉は途中で掻き消された。
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