除霊ができる大学生と白ヘビ~ある兄弟との出会い~

折原さゆみ

文字の大きさ
52 / 59
第十章 少女と接触

4

しおりを挟む
『あっ』

 講義で出された課題のレポート資料を探すために、美彩は図書館に来ていた。そこで、ばったりと曽根崎と遭遇した。相手も本を探していたようで、メモを見ながら館内を歩き回っていた。ちょうどメモから目を離して本棚を見つめていたが、辺りに視線を向け、美彩のことを視界に入れた。

 曽根崎と目が遭ったことに驚き、美彩が思わず声を上げると、相手も驚いたのか同じように声を上げた。さて、ここからどう行動したらいいだろうか。前回の食堂での出来事が思い返され、美彩は身体が固まってしまう。しかし、相手は食堂でのことを気まずく思っていないのか、気安く声をかけてきた。

「この前の人だよね。あれからずっと考えていたんだけど、私にはさっぱりあなたの気持ちが理解できなかった。あなたは、答えは出た?」

 しかし、彼女から発せられた言葉は、前回の質問に対する回答の要求だった。とはいえ、美彩自身も彼女の質問に悩まされて、ずっと考えていたため、すんなりと答えることができた。

「ええと、彼らは私の仕事仲間なの。だから、仕事仲間が変なことをしていたら、止めるのは変じゃないでしょう?一緒に仕事をする人が変な人だってうわさは流されたくないし」

 同級生にも伝えた言葉をそのまま曽根崎に伝える。美彩自身もその答えに納得している。仕事仲間ができるのは初めてだから、戸惑っているだけだ。

「そうなの。てっきり、あなたが彼らのことを好きだから、嫉妬で止めたのかと思った。あれからあなたたちのことを考えながら、似たようなことをしている現場を目撃したことがあったから、それと同じかと誤解していたわ」

 美彩の答えを完全に納得していないのか、難しい顔で答える曽根崎だが、その後はすぐに笑顔に戻り、美彩にとってはありがたい申し出をしてくれた。

「ねえ、あなたとはなんだか、仲良くなれそうな気がする。ここで会ったのもなにかの縁だから、これから一緒にお茶にでも飲みにいかない?ちょうど課題の本を探し終えたし。どうかな?」

「わた、私でよければ、いいよ」

「よかった。ああ、今更だけど、自己紹介がまだだったね。私の名前は曽根崎笑美(そねざき笑美)。大学一年生なんだ」

「陽炎美彩(ようえんみさ)です。私も大学一年生です」

「同じ一年生同士、これから仲良くしてね」

 初対面ではないが、ようやく二人は自己紹介をした。互いの名前を知り合い、和やかな雰囲気になると思ったが、そうはいかなかった。



『笑美ニナニカシタラ……。笑美ニキガイヲクワエルノナラ……』

 ずいと手を差し出され、握手を求められる。おずおずと手を握り返そうとしたが、その手は途中で止まってしまう。背後の霊が今さながらに美彩に警告をしている。

『それはお前の行動次第だな』

 美彩の身体にまとわりついていたシラコもけん制するように舌を出して警告する。

「ご、ごめん。もしかして、潔癖症だった?いきなり握手なんて、無神経だったかな?」

「い、いや大丈夫。私、あんまり友達いないから、どうしたらいいのか戸惑っているだけ」

『接触するのはまだやめておけ。どうせ、この後、嫌というほどこの女のことを知ることになる』

 途中で止められた手を自分のもとに戻す。シラコに握手するのを阻まれた。シュルシュルと美彩の腕に絡みつき、手を元に戻すように指示された。


 二人はそのまま図書館で別れた。その後、大学近くのカフェで待ち合わせることになった。その際に連絡先を交換するのをシラコに指摘され、慌ててスマホを取り出し、お互いの連絡先を交換し合ったのだった。 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

【完結】年収三百万円台のアラサー社畜と総資産三億円以上の仮想通貨「億り人」JKが湾岸タワーマンションで同棲したら

瀬々良木 清
ライト文芸
主人公・宮本剛は、都内で働くごく普通の営業系サラリーマン。いわゆる社畜。  タワーマンションの聖地・豊洲にあるオフィスへ通勤しながらも、自分の給料では絶対に買えない高級マンションたちを見上げながら、夢のない毎日を送っていた。  しかしある日、会社の近所で苦しそうにうずくまる女子高生・常磐理瀬と出会う。理瀬は女子高生ながら仮想通貨への投資で『億り人』となった天才少女だった。  剛の何百倍もの資産を持ち、しかし心はまだ未完成な女子高生である理瀬と、日に日に心が枯れてゆくと感じるアラサー社畜剛が織りなす、ちぐはぐなラブコメディ。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

タダで済むと思うな

美凪ましろ
ライト文芸
 フルタイムで働きながらワンオペで子育てをし、夫のケアもしていた井口虹子は、結婚十六年目のある夜、限界を迎える。  ――よし、決めた。  我慢するのは止めだ止め。  家族のために粉骨砕身頑張っていた自分。これからは自分のために生きる!  そう決めた虹子が企てた夫への復讐とは。 ■十八歳以下の男女の性行為があります。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

転職したら陰陽師になりました。〜チートな私は最強の式神を手に入れる!〜

万実
キャラ文芸
う、嘘でしょ。 こんな生き物が、こんな街の真ん中に居ていいの?! 私の目の前に現れたのは二本の角を持つ鬼だった。 バイトを首になった私、雪村深月は新たに見つけた職場『赤星探偵事務所』で面接の約束を取り付ける。 その帰り道に、とんでもない事件に巻き込まれた。 鬼が現れ戦う羽目に。 事務所の職員の拓斗に助けられ、鬼を倒したものの、この人なんであんな怖いのと普通に戦ってんの? この事務所、表向きは『赤星探偵事務所』で、その実態は『赤星陰陽師事務所』だったことが判明し、私は慄いた。 鬼と戦うなんて絶対にイヤ!怖くて死んじゃいます! 一度は辞めようと思ったその仕事だけど、超絶イケメンの所長が現れ、ミーハーな私は彼につられて働くことに。 はじめは石を投げることしかできなかった私だけど、式神を手に入れ、徐々に陰陽師としての才能が開花していく。

処理中です...