25 / 49
佐藤という女②
しおりを挟む
バイトの日である。今日はどんな子が来るのだろう。塾に自転車で向かう途中、私のスマートフォンは着信をつげていたが、自転車に乗っていて私は気づかなかった。
塾に到着して、自転車を駐輪場において塾に入った。しかし、瀧さんは塾にはいないらしい。いつもなら、私が行く頃にはすでに塾の準備をして待っているのになんだか変な気分だ。塾にはかぎが掛かっていなかった。シャッターもおりていない。塾に入ることができたということは、今日は塾があるということだろう。念のため、瀧さんから何か連絡がないかスマホを確認する。
1件、不在着信が入っていた。瀧さんからである。さらに私が電話に出なかったからなのか、メッセージも来ていた。
「すいません。今日は当塾日ですが、私は塾を休みます。急に予定が入ってしまいまして連絡も突然になってしまいました。もし、連絡を見ずに塾に行ってしまったようでしたら、すみません。今日は塾を開講しないことにしました。生徒たちには私の方から連絡しておきました。迷惑をかけますがよろしくお願いします。」
なんだか最近、突然用事がキャンセルされるとか、突然用事を言いつけられるとかが多い気がする。大学に入ってから出会った人たちに自分勝手な人が多いからそう感じるだけかもしれない。
しかし、塾が休みだというのに、なぜ、塾は明かりがついていて、鍵が開いていたのだろう。塾には生徒の個人情報が置いてある。それに振り込みも多いが、集金でお金を持ってくる生徒もいるので、多少のお金も置いてある。盗まれては大変だ。
私は塾内を見渡した。特に荒らされた様子はなく、盗まれたものもなさそうだ。塾内の一か所に奇妙なものを見つけた。お札のようなものが落ちていた。いつも掃除をしているのに気づかなかった。拾ってごみ箱に捨てておく。今度のごみの日にまとめて捨ててしまうことにしよう。
とりあえず、塾が休みになったので、私が塾にいる必要はない。塾の明かりを消して鍵を閉めて、シャッターを下ろしておく。しっかり鍵を閉めたことを確認して、塾を後にする。これから何をしようか。急に予定がなくなってしまったのでやることがない。まあ、大学で勉強したことを復習でもするか。私はのんびりと家に帰った。
その後、塾ではだれもいないはずだと確認したはずなのに、突然明かりがつき、シャッターが上がり、塾が内側から開けられた。
「まさか、蒼紗がこの塾で働いていたとは驚きだわ。」
「確かに。だが、この状況はまずい。この塾の講師がまさか、連続殺人犯の正体だと知ったら、あいつはショックを受けるだろう。」
何と、西園寺さんと雨水君が塾にはいたのだった。どこかに隠れていたのだろう。全く気付かなかった。私はふたりに気付くことはなかった。
次の日も、佐藤さんは私たちに絡んできた。まるで、前から親しかったかのように馴れ馴れしい。昨日の西園寺さんの言葉をものともせず、私たちに絡んでくる。まるで、蛇に巻き付かれているかのような絡み方である。さらには、私と西園寺さんのコスプレを真似してきた。どこで今日のコスプレ衣装の情報をつかんだのだろうか。
本日のコスプレは教会のシスターが来ているような修道服だった。頭にベールをかぶり、今日は珍しく暗い感じである。佐藤さんもこれに合わせて、修道服を着ていた。
いったい佐藤さんは何がしたいのだろうか。コスプレが好きなら、私もお願いしますと素直に頼めばよいものを。コスプレがしたいのか、それとも西園寺さんと一緒にいるために、私も努力していますアピールをしているつもりなのか。しかし、いくら努力しようとも西園寺さんが振り向くことはないだろう。
西園寺さんはこうと決めたらそのまま突き進むタイプだ。佐藤さんを選ばずに私を選んだということは今後も、佐藤さんが選ばれる可能性は限りなく低い。
それにしても、最近私の周りは賑やかである。このまま、にぎやかに楽しい時間がずっと続けばよいのに。ふとそんなことが頭をよぎった。別にこれから何か大変な危機が迫っているわけでもないのに、どうしてこんなことを考えてしまうのだろうか。
「蒼紗、大事な話があるのだけど、今日この後私の家に来てもらえるかしら。」
特に用事はない。行けると答えようとしたら、西園寺さんと雨水君のスマホが着信を告げた。二人は慌てて確認する。
「ごめん。仕事が入った。今日の仕事に蒼紗はついてこない方がいいわ。このまま家に帰っていいわよ。今日は来ない方がいい。話はまた今度しましょうね。」
最近は、仕事を見学することが多いので、少し残念である。しかし、ここでわがままを言っても仕方がない。わがままを言って、仕事の迷惑になっては困る。私はまだ、自分の能力がどのようなものかわかっていない。能力がわからないならば、普通の人間と変わらない存在である。
私は素直にうなずく。その答えに西園寺さんは満足したようだ。二人は駆け足で佐藤さんがいた方向に走っていった。私は西園寺さんたちとは反対方向の自分の家に向かう。この時、私は西園寺さんの気づかいに気付くことはできなかった。
空を見上げると、きれいな夕焼けが見えていた。今日も雨が降るのだろうか。せっかくの夕焼けが雨で見られなくなるかと思うと少し寂しくなった。西園寺さんたちはあんな仕事をいつまで続けるつもりなのだろうか。
塾に到着して、自転車を駐輪場において塾に入った。しかし、瀧さんは塾にはいないらしい。いつもなら、私が行く頃にはすでに塾の準備をして待っているのになんだか変な気分だ。塾にはかぎが掛かっていなかった。シャッターもおりていない。塾に入ることができたということは、今日は塾があるということだろう。念のため、瀧さんから何か連絡がないかスマホを確認する。
1件、不在着信が入っていた。瀧さんからである。さらに私が電話に出なかったからなのか、メッセージも来ていた。
「すいません。今日は当塾日ですが、私は塾を休みます。急に予定が入ってしまいまして連絡も突然になってしまいました。もし、連絡を見ずに塾に行ってしまったようでしたら、すみません。今日は塾を開講しないことにしました。生徒たちには私の方から連絡しておきました。迷惑をかけますがよろしくお願いします。」
なんだか最近、突然用事がキャンセルされるとか、突然用事を言いつけられるとかが多い気がする。大学に入ってから出会った人たちに自分勝手な人が多いからそう感じるだけかもしれない。
しかし、塾が休みだというのに、なぜ、塾は明かりがついていて、鍵が開いていたのだろう。塾には生徒の個人情報が置いてある。それに振り込みも多いが、集金でお金を持ってくる生徒もいるので、多少のお金も置いてある。盗まれては大変だ。
私は塾内を見渡した。特に荒らされた様子はなく、盗まれたものもなさそうだ。塾内の一か所に奇妙なものを見つけた。お札のようなものが落ちていた。いつも掃除をしているのに気づかなかった。拾ってごみ箱に捨てておく。今度のごみの日にまとめて捨ててしまうことにしよう。
とりあえず、塾が休みになったので、私が塾にいる必要はない。塾の明かりを消して鍵を閉めて、シャッターを下ろしておく。しっかり鍵を閉めたことを確認して、塾を後にする。これから何をしようか。急に予定がなくなってしまったのでやることがない。まあ、大学で勉強したことを復習でもするか。私はのんびりと家に帰った。
その後、塾ではだれもいないはずだと確認したはずなのに、突然明かりがつき、シャッターが上がり、塾が内側から開けられた。
「まさか、蒼紗がこの塾で働いていたとは驚きだわ。」
「確かに。だが、この状況はまずい。この塾の講師がまさか、連続殺人犯の正体だと知ったら、あいつはショックを受けるだろう。」
何と、西園寺さんと雨水君が塾にはいたのだった。どこかに隠れていたのだろう。全く気付かなかった。私はふたりに気付くことはなかった。
次の日も、佐藤さんは私たちに絡んできた。まるで、前から親しかったかのように馴れ馴れしい。昨日の西園寺さんの言葉をものともせず、私たちに絡んでくる。まるで、蛇に巻き付かれているかのような絡み方である。さらには、私と西園寺さんのコスプレを真似してきた。どこで今日のコスプレ衣装の情報をつかんだのだろうか。
本日のコスプレは教会のシスターが来ているような修道服だった。頭にベールをかぶり、今日は珍しく暗い感じである。佐藤さんもこれに合わせて、修道服を着ていた。
いったい佐藤さんは何がしたいのだろうか。コスプレが好きなら、私もお願いしますと素直に頼めばよいものを。コスプレがしたいのか、それとも西園寺さんと一緒にいるために、私も努力していますアピールをしているつもりなのか。しかし、いくら努力しようとも西園寺さんが振り向くことはないだろう。
西園寺さんはこうと決めたらそのまま突き進むタイプだ。佐藤さんを選ばずに私を選んだということは今後も、佐藤さんが選ばれる可能性は限りなく低い。
それにしても、最近私の周りは賑やかである。このまま、にぎやかに楽しい時間がずっと続けばよいのに。ふとそんなことが頭をよぎった。別にこれから何か大変な危機が迫っているわけでもないのに、どうしてこんなことを考えてしまうのだろうか。
「蒼紗、大事な話があるのだけど、今日この後私の家に来てもらえるかしら。」
特に用事はない。行けると答えようとしたら、西園寺さんと雨水君のスマホが着信を告げた。二人は慌てて確認する。
「ごめん。仕事が入った。今日の仕事に蒼紗はついてこない方がいいわ。このまま家に帰っていいわよ。今日は来ない方がいい。話はまた今度しましょうね。」
最近は、仕事を見学することが多いので、少し残念である。しかし、ここでわがままを言っても仕方がない。わがままを言って、仕事の迷惑になっては困る。私はまだ、自分の能力がどのようなものかわかっていない。能力がわからないならば、普通の人間と変わらない存在である。
私は素直にうなずく。その答えに西園寺さんは満足したようだ。二人は駆け足で佐藤さんがいた方向に走っていった。私は西園寺さんたちとは反対方向の自分の家に向かう。この時、私は西園寺さんの気づかいに気付くことはできなかった。
空を見上げると、きれいな夕焼けが見えていた。今日も雨が降るのだろうか。せっかくの夕焼けが雨で見られなくなるかと思うと少し寂しくなった。西園寺さんたちはあんな仕事をいつまで続けるつもりなのだろうか。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
ユニークアイテムな女子(絶対的替えの効かない、唯一無二の彼女)「ゆにかの」
masuta
キャラ文芸
恋と友情、そして命を懸けた決断。青春は止まらない。
世界を股にかける財閥の御曹司・嘉位は、U-15日本代表として世界一を経験した天才投手。
しかし、ある理由で野球を捨て、超エリート進学校・和井田学園へ進学する。
入学式の日、偶然ぶつかった少女・香織。
彼女は、嘉位にとって“絶対的替えの効かない、唯一無二の存在”だった。
香織は、八重の親友。
そして八重は、時に未来を暗示する不思議な夢を見る少女。
その夢が、やがて物語を大きく動かしていく。
ゴールデンウィーク、八重の見た夢は、未曾有の大災害を告げていた。
偶然か、必然か……命を守るために立ち上がる。
「誰も欠けさせない」という信念を胸に走り続ける。
やがて災害を未然に防ぎ、再びグラウンドへと導く。
その中で、恋もまた静かに進んでいく。
「ずっと、君が好きだった」告白の言葉が、災害と勝負を越えた心を震わせる。
それぞれの想いが交錯し、群像劇は加速する。
一人ひとりが主人公。人生に脇役はいない。
現代ファンタジーとリアルが交錯する青春群像劇。
本作は小説家になろう、オリジナル作品のフルリメイク版です。
ママはヤンママ女子高生! ラン&ジュリー!!
オズ研究所《横須賀ストーリー紅白へ》
キャラ文芸
神崎ラン(♂)の父親の再婚相手は幼馴染みで女子高生の高原ジュリー(♀)だった。
ジュリーは金髪美少女だが、地元では『ワイルドビーナス』の異名を取る有名なヤンキーだった。
学校ではジュリーは、ランを使いっ走りにしていた。
当然のようにアゴで使われたが、ジュリーは十八歳になったら結婚する事を告白した。
同級生のジュリーが結婚するなんて信じられない。
ランは密かにジュリーの事を憧れていたので、失恋した気分だ。
そう言えば、昨夜、ランの父親も再婚すると言っていた。
まさかとは思ったが、ランはジュリーに結婚相手を聞くと、ランの父親だと判明した。
その夜、改めて父親とジュリーのふたりは結婚すると報告された。
こうしてジュリーとの同居が決まった。
しかもジュリーの母親、エリカも現われ、ランの家は騒然となった。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
完結‼️翡翠の歌姫は 後宮で声を隠す―2人の皇子と失われた記憶【1/23本編完結】
雪城 冴
キャラ文芸
本編完結‼️【中華サスペンス】
皇帝が隠した禁忌の秘密。
それを“思い出してはいけない少女”がいた。
「その眼で見るな――」
特殊な眼を持つ少女・翠蓮は、忌み嫌われ、村を追われた。
居場所を失った彼女が頼れたのは、歌だけ。
宮廷歌姫を目指して辿り着いた都でも、待っていたのは差別と孤立。
そんな翠蓮に近づいたのは、
危険な香りをまとう皇子と、天女のように美しいもう一人の皇子だった。
だが、その出会いをきっかけに皇位争い、皇后の執着、命を狙われる日々。
追い詰められる中で、翠蓮の忘れていた記憶が揺り動く。
かつて王家が封じた“力”とは?
翠蓮の正体とは?
声を隠して生き延びるか。
それとも、すべてを賭けて歌うのか。
運命に選ばれた少女が、最後に下す決断とは――?
※架空の中華風ファンタジーです
※アルファポリス様で先行公開しており、書き溜まったらなろう、カクヨム様に移しています
※表紙絵はAI生成
烏の王と宵の花嫁
水川サキ
キャラ文芸
吸血鬼の末裔として生まれた華族の娘、月夜は家族から虐げられ孤独に生きていた。
唯一の慰めは、年に一度届く〈からす〉からの手紙。
その送り主は太陽の化身と称される上級華族、縁樹だった。
ある日、姉の縁談相手を誤って傷つけた月夜は、父に遊郭へ売られそうになり屋敷を脱出するが、陽の下で倒れてしまう。
死を覚悟した瞬間〈からす〉の正体である縁樹が現れ、互いの思惑から契約結婚を結ぶことになる。
※初出2024年7月
あやかし帝都の婚姻譚 〜浄癒の花嫁が祓魔の軍人に溺愛されるまで〜
鳴猫ツミキ
キャラ文芸
【完結】【第一章までで一区切り】時は大正。天羽家に生まれた桜子は、特異な体質から、家族に虐げられた生活を送っていた。すると女学院から帰ったある日、見合いをするよう命じられる。相手は冷酷だと評判の帝国陸軍あやかし対策部隊の四峰礼人だった。※和風シンデレラ風のお話です。恋愛要素が多いですが、あやかし要素が主体です。第9回キャラ文芸大賞に応募しているので、応援して頂けましたら嬉しいです。【第一章で一区切りで単体で読めますので、そこまででもご覧頂けると嬉しいです】。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる