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12連絡
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楓子が大学を卒業して3年の時が過ぎた。親友の美耶とは卒業後、一度も連絡を取り合うことはなかった。実家から離れての一人暮らしの生活にも慣れてきたころのことだった。
『両親の決めたお見合い相手と結婚することになりました』
2月の終わりに、楓子のスマホに美耶からメッセージが届いた。卒業後、初めてのSNSでの連絡だったのに、書かれていたのは結婚するということ。ほかには結婚式に招待したいから、参加の是非を教えてくれという内容だった。
こちらから連絡はしないと決めていたが、楓子は美耶の連絡先をブロックしたり、削除したりすることが出来なかった。卒業式にあったことは許せないし、弟をたぶらかしたことも忘れることはできない。
親友と関わりたくないのなら、親友の連絡先を消したり、ブロックして拒否したりするべきだった。さらに確実な方法をとるのなら、電話番号を変えたり、既存のSNSのアカウントを削除して新たにアカウント作成をしたりするなど対策はあった。
(私は美耶に甘いのかもしれない)
心のどこかで美耶が改心することを願っていたのかもしれない。そして、楓子自身が美耶を嫌いになれないことも原因だった。自分からは連絡は取らないが、相手からの連絡を期待していた。
楓子は美耶からのメッセージが届いたとき、驚いたと同時にほっとした。私が居なくても社会人生活をきちんと送っているのだ。内容は近況報告だろうか。だとしたら、自分はどんな返事をしようかとうきうきしていた。
しかし、内容を確認したとたんに気分が急降下した。
(結局、両親に逆らうことはできなかったということか)
卒業式での衝撃の家庭事情を思い出す。確か、大学卒業後、二年以内に結婚相手を見つけられなければ、親の見つけた相手と結婚するということだった。弟と別れて、その後、良い相手を見つけることが出来なかったのだろうか。それとも、やはり男性に対しての苦手意識が抜けずに、相手を探すことすらかなわなかったのだろうか。
いずれにしよ、告白して振られた相手に結婚式に来てほしいというのは虫が良い話だ。もう、楓子に対して恋愛感情はなくなってしまったのか。
(なんでイライラしているんだろ。これは美耶にとっては良いことかもしれないのに)
両親が決めた相手と結婚というのは何とも言えないが、これがきっかけで男性に対しての苦手意識が無くなる可能性もある。何より、これで楓子は美耶に対して重荷を背負わなくてよくなる。振った相手に遠慮しなくていいのだ。
美耶からのメッセージが届いたのは休日だったので、美耶は自分の部屋のベッドで何をするでもなくごろごろしていた。メッセージを読んでいたが、読めば読むほど自分自身の気持ちがわからなくなる。
一人で考え込んでいたらダメだと思い立った楓子は、弟に電話することにした。弟なら、親友からのメッセージに何か良いアドバイスをくれるかもしれない。
(結婚式に参加するかどうかは悩むけど、美耶の結婚相手は気になる)
電話のコール音が鳴る中、楓子は親友の結婚相手について考える。しかし、美耶の隣に立つ男の姿がどうにも想像できなかった。
『両親の決めたお見合い相手と結婚することになりました』
2月の終わりに、楓子のスマホに美耶からメッセージが届いた。卒業後、初めてのSNSでの連絡だったのに、書かれていたのは結婚するということ。ほかには結婚式に招待したいから、参加の是非を教えてくれという内容だった。
こちらから連絡はしないと決めていたが、楓子は美耶の連絡先をブロックしたり、削除したりすることが出来なかった。卒業式にあったことは許せないし、弟をたぶらかしたことも忘れることはできない。
親友と関わりたくないのなら、親友の連絡先を消したり、ブロックして拒否したりするべきだった。さらに確実な方法をとるのなら、電話番号を変えたり、既存のSNSのアカウントを削除して新たにアカウント作成をしたりするなど対策はあった。
(私は美耶に甘いのかもしれない)
心のどこかで美耶が改心することを願っていたのかもしれない。そして、楓子自身が美耶を嫌いになれないことも原因だった。自分からは連絡は取らないが、相手からの連絡を期待していた。
楓子は美耶からのメッセージが届いたとき、驚いたと同時にほっとした。私が居なくても社会人生活をきちんと送っているのだ。内容は近況報告だろうか。だとしたら、自分はどんな返事をしようかとうきうきしていた。
しかし、内容を確認したとたんに気分が急降下した。
(結局、両親に逆らうことはできなかったということか)
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いずれにしよ、告白して振られた相手に結婚式に来てほしいというのは虫が良い話だ。もう、楓子に対して恋愛感情はなくなってしまったのか。
(なんでイライラしているんだろ。これは美耶にとっては良いことかもしれないのに)
両親が決めた相手と結婚というのは何とも言えないが、これがきっかけで男性に対しての苦手意識が無くなる可能性もある。何より、これで楓子は美耶に対して重荷を背負わなくてよくなる。振った相手に遠慮しなくていいのだ。
美耶からのメッセージが届いたのは休日だったので、美耶は自分の部屋のベッドで何をするでもなくごろごろしていた。メッセージを読んでいたが、読めば読むほど自分自身の気持ちがわからなくなる。
一人で考え込んでいたらダメだと思い立った楓子は、弟に電話することにした。弟なら、親友からのメッセージに何か良いアドバイスをくれるかもしれない。
(結婚式に参加するかどうかは悩むけど、美耶の結婚相手は気になる)
電話のコール音が鳴る中、楓子は親友の結婚相手について考える。しかし、美耶の隣に立つ男の姿がどうにも想像できなかった。
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