21 / 38
21言葉の意味
しおりを挟む
「どうして、紅葉まで連れてくる必要があったの?美耶は私のことが好きだったはずでしょう?」
親友は男性が苦手だったはずだ。私に告白してダメだったから、私に似ている弟に手を掛けた。私に似ていたから我慢していただけで、本当は紅葉にも男性としての苦手意識を持っていただろう。
「だってそれだと、私に子供が出来ないでしょう?」
「子供……」
確かに楓子と美耶は性別が『女』であり、2人が一緒になったところで子孫を残すことはできない。だとしたら、紅葉がここにいる理由は。親友の言葉の意味を先に理解したのは紅葉だった。
「オレに姉ちゃんの代わりになれっていうのか!」
「代わりになんてならない。紅葉君は紅葉君で、楓子の代わりになんてならない。私はいつの間にか、たくさんの事を望んでしまった」
「オレは帰るからな!そして、今後、一生、美耶先輩とは縁を切る!」
紅葉はこれ以上、ここに居られないと席を立って部屋から出ようと歩きだす。確かにこのままここにいたとして、良いことはひとつもない。美耶から話を聞こうと思ったが、すでに楓子たちと会いたかった理由も判明した。だとしたら、すぐにでもこの場を離れるのが正解だった。楓子も席を立って弟の紅葉の後を追うために歩きだす。
「許さない」
ぼそりとつぶやいたのは美耶だった。あまりにも低いその声に楓子は身震いする。それでも足を止めることはない。しかし、親友の表情を一目見たくて振り返る。
美耶は先ほどまでの笑顔から急に表情をなくした。無表情で部屋を出ようとする楓子と紅葉を見つめている。楓子の頭の中に警報が鳴りだす。
親友は私たちを逃がすつもりがない。
そう思った瞬間、楓子は走り出していた。紅葉を追い抜いて腕を引っ張り玄関へと目指す。ドアの前までたどり着いたときには息が上がっていた。
四人で一緒に暮らそうなんて発想が出た時点で気づくべきだった。どうして親友が四人で暮らしたいか考えるべきだった。
(まさか、紅葉にまで手を出そうとしていたなんて!)
自分だけなら。そんな考えも頭に浮かんだが、一瞬にして消え去った。
「どうして開かないの!」
ドアはなぜか開くことがない。ドアノブを上下に動かすが開く気配がない。いったい、どうして開かないのか。ガチャガチャと音を立てて動かすがどうにもならない。
「楓子、どうして逃げようとするの?私たち、親友でしょ?紅葉君も、一時期だけだけど、わたしと付き合っていたでしょう?どうして私から逃げようとするの?こうして会えたのに、私は私は私は私は……」
「ねえさん、落ち着いて。まだ病気が完治したわけじゃないんだから」
「ここを開けて!」
美耶は精神を病んでいる。この場にいる人間で開けてくれそうなのは、美耶のおとうとと言っていた男のみ。すがるように楓子と紅葉は男に視線を向けるが、申し訳なさそうに首を振られる。
「それは無理な話です。ねえさんはあなたたちのせいで、精神を病まれてしまいました。加えて、両親の離婚の件もあります。あなたたちがいてくれるだけで、ねえさんは心が落ち着きます。僕はねえさんのことを幸せにしたい。たとえ、この思いが報われないとわかっても」
どうやら、おとうとの雅琉という男もかなりやばい人間だったようだ。ここに来た時点で、楓子たち姉弟の人生は詰んでいたということだ。
「手荒な真似はしたくないですが、どうしても外に出たいというのなら……」
男はズボンのポケットに手を入れる。何を出されるのか想像するだけで恐ろしいが、それでも楓子は紅葉と一緒にここを逃げるために口を開く。
「あなたたち家族の事情に私たちを巻き込まないで!」
とっさに楓子は手に持っていたスマホを取り出す。そのまま警察に通報するためにボタンを押そうとした。
親友は男性が苦手だったはずだ。私に告白してダメだったから、私に似ている弟に手を掛けた。私に似ていたから我慢していただけで、本当は紅葉にも男性としての苦手意識を持っていただろう。
「だってそれだと、私に子供が出来ないでしょう?」
「子供……」
確かに楓子と美耶は性別が『女』であり、2人が一緒になったところで子孫を残すことはできない。だとしたら、紅葉がここにいる理由は。親友の言葉の意味を先に理解したのは紅葉だった。
「オレに姉ちゃんの代わりになれっていうのか!」
「代わりになんてならない。紅葉君は紅葉君で、楓子の代わりになんてならない。私はいつの間にか、たくさんの事を望んでしまった」
「オレは帰るからな!そして、今後、一生、美耶先輩とは縁を切る!」
紅葉はこれ以上、ここに居られないと席を立って部屋から出ようと歩きだす。確かにこのままここにいたとして、良いことはひとつもない。美耶から話を聞こうと思ったが、すでに楓子たちと会いたかった理由も判明した。だとしたら、すぐにでもこの場を離れるのが正解だった。楓子も席を立って弟の紅葉の後を追うために歩きだす。
「許さない」
ぼそりとつぶやいたのは美耶だった。あまりにも低いその声に楓子は身震いする。それでも足を止めることはない。しかし、親友の表情を一目見たくて振り返る。
美耶は先ほどまでの笑顔から急に表情をなくした。無表情で部屋を出ようとする楓子と紅葉を見つめている。楓子の頭の中に警報が鳴りだす。
親友は私たちを逃がすつもりがない。
そう思った瞬間、楓子は走り出していた。紅葉を追い抜いて腕を引っ張り玄関へと目指す。ドアの前までたどり着いたときには息が上がっていた。
四人で一緒に暮らそうなんて発想が出た時点で気づくべきだった。どうして親友が四人で暮らしたいか考えるべきだった。
(まさか、紅葉にまで手を出そうとしていたなんて!)
自分だけなら。そんな考えも頭に浮かんだが、一瞬にして消え去った。
「どうして開かないの!」
ドアはなぜか開くことがない。ドアノブを上下に動かすが開く気配がない。いったい、どうして開かないのか。ガチャガチャと音を立てて動かすがどうにもならない。
「楓子、どうして逃げようとするの?私たち、親友でしょ?紅葉君も、一時期だけだけど、わたしと付き合っていたでしょう?どうして私から逃げようとするの?こうして会えたのに、私は私は私は私は……」
「ねえさん、落ち着いて。まだ病気が完治したわけじゃないんだから」
「ここを開けて!」
美耶は精神を病んでいる。この場にいる人間で開けてくれそうなのは、美耶のおとうとと言っていた男のみ。すがるように楓子と紅葉は男に視線を向けるが、申し訳なさそうに首を振られる。
「それは無理な話です。ねえさんはあなたたちのせいで、精神を病まれてしまいました。加えて、両親の離婚の件もあります。あなたたちがいてくれるだけで、ねえさんは心が落ち着きます。僕はねえさんのことを幸せにしたい。たとえ、この思いが報われないとわかっても」
どうやら、おとうとの雅琉という男もかなりやばい人間だったようだ。ここに来た時点で、楓子たち姉弟の人生は詰んでいたということだ。
「手荒な真似はしたくないですが、どうしても外に出たいというのなら……」
男はズボンのポケットに手を入れる。何を出されるのか想像するだけで恐ろしいが、それでも楓子は紅葉と一緒にここを逃げるために口を開く。
「あなたたち家族の事情に私たちを巻き込まないで!」
とっさに楓子は手に持っていたスマホを取り出す。そのまま警察に通報するためにボタンを押そうとした。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる