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異世界転移をした彼女は女性の意識改革(服装改革)を行うことにした
11与えられた能力を活用することにします
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『ふむ、こやつは前世持ちだな』
『意外に身近にいたな。まあ、われたちがまいた種でもある』
「な、なんだ。この猫たちは」
ホワイトとブラックが、突如宰相に向かって駆け寄り、身体によじ登った。二匹の猫が宰相の肩に乗った様子はほほえましかったが、乗っかられた本人は相当嫌だったようだ。猫を振り落とそうと必死に身体を左右に振っていた。
「も、もってきまし、た。宰相様?」
「や、やめろ。お、俺は猫が嫌いなんだ。昔、猫に引っかかれたことがあって、やめろろろろろろろお!」
二匹の猫は、まるで飼い主にじゃれて甘えるように宰相の肩に乗り、尻尾をゆらゆら揺らし、にゃーにゃー甘い声で鳴いている。反対に、宰相はよほど猫にトラウマがあるのか、叫びだし、最後には床に座り込んでしまった。いつの間にか、両手から出ていた光は消えていた。
『たかだか猫の一匹や二匹で大げさな奴だ』
『まあ、これで宰相はカナデに文句を言うこともあるまい』
突然の宰相の行動に皆が呆然としている中、カナデは女神たちが自分を助けてくれたことを知る。女神たちに感謝するのと同時に、自分の役割を果たすべく、レオナから急いで騎士団の制服をもらう。
「ありがとう。ホワイトにブラック。レオナ、制服ありがとう。その服を私に貸して、早く!」
「は、はい」
宰相が再起不能に陥っている今がチャンスである。さっさとイザベラたちが来ている女性騎士の制服を変えなくては。レオナから服を受け取ったカナデだが、更衣室がどこにあるのか聞いておくのを忘れていた。
「更衣室わからないけど、まあいいか。どうせ、私のことなんて見ても面白くないし」
女性として、残念な発言をして、何とその場でカナデは着替えを始めてしまった。カナデはもといた世界では、体育の時間に男子がいようがいまいが、教室で着替えを敢行していた猛者であり、着替えを人前ですることにあまり抵抗がなかった。下着が見えないように自らのチェックシャツを脱ぎながらも、騎士団のワイシャツに袖を通す。ズボンの方も、パーカーで下着を隠しつつ、一気に履き替える。ものの数分で見事着替えを終えてしまった。
「か、カナデ。あんたいくら女としての魅力がないからと言って」
「カナデさん、その早業はいったい……。いや、そんなことより、人前でそんな大胆な!」
「まったく、カナデにはいつも驚かされているな」
「カナデ、少しは自分が女であることを自覚しなさい!」
カナデの早着替えに騒然としていた女性陣は我に返ると、すぐにカナデを責め始めた。宰相は、猫のトラウマがそこまでひどいのか、気を失っていた。
女性陣からの言葉に耳を傾けることはせず、カナデはどうしたら女性の騎士服にふさわしくなるのか、まずは問題点を取り上げる。
「ええと、着替えてはみたけど、これはさすがに男性用だから改良する余地あり。やっぱりこのままだとダメだわ。男性用だとワイシャツの裾は長くてやぼったくなるし、ズボンはずるずるでカッコ悪い」
さて、とカナデは問題点を挙げながら、二匹の猫の様子をうかがう。そして、ぶかぶかの騎士服を身につけたカナデは、宰相から離れて毛づくろいを始めた二匹の猫に問いかける。
「それで、ホワイトにブラック。このまえ言っていたことは本当なの?」
『うむ、今のお主にある能力を与えておいた。想像したものを具現化できる便利な能力だ。しかし、これではあまりにチート過ぎるので、少し能力に制限をかけておいた』
『制限の内容は簡単。衣服にのみ具現化できるというもの。前から、お主は女性の服装を変えたいと言っていただろう?だから、その行動に便利そうな能力だと思うのだが』
「それって、あんまり使い道なさそうな……。なんていうか、私のために作ってくれた能力みたいで、ありがたいですが、微妙です」
とりあえず、女神たちから自分に与えられた能力を聞き出したカナデは、目を閉じて、今自分が着ている服の理想を想像する。もっとワイシャツは細身で、ズボンも足にフィットしたもので……。
「か、カナデさんの身体がなんか光っていますけど!」
カナデが想像している間に、身体は白く輝き始めた。当の本人は目をつむり、創造に集中しているため、身体の変化に気付いていない。
「こんな感じでいいですかね?おう、これはすごい能力!」
目を開けたカナデは自分の衣服を見て驚いた。カナデの想像通りにワイシャツは袖や丈が短くなり、身体にフィットしていた。ズボンも細身になり、丈もちょうどよい長さに変化していた。しかし、これでもまだ、カナデの理想には程遠かった。
「カナデ、お主は実はスタイルが良かったのだな」
「これからは、もっと身体にフィットする服を着たらいかがでしょうか」
エリザベスとレオナの誉め言葉も、今のカナデには届かない。いかに動きやすく、なおかつ、女性が喜ぶ服装にするか。その想像に忙しく頭を働かせていた。
「これでは胸が圧迫されて、強調される。破廉恥で着ていられない。後は、そうこんなに生地がうすいと下着が透けてみっともない」
さらに改良を進めていくと、カナデも納得の見事な制服が完成した。カナデが目をつむり、改良を重ねるたびにカナデが白く光っていた。その様子は、神々しく、最終的に誰もカナデに声をかけることができなかった。
しばらく、カナデは一人忙しく服の改良に勤しんでいた。その間に女性陣は今後の予定を話し合うことにした。
「すごいですね。カナデさんって、本当はすごいお人だったんですね。この調子なら、私たち女性が、もっと自由に生きられる世の中の実現も近いかもしれません」
「ソウデスネ。ですが、彼女の行動には目を光らせなくてはなりません。何せ、どうにも常識というものにかけていますから。私たちでカナデさんをサポートする必要があります」
「カナデは実は聖女みたいな存在だったのだな。初対面であまりに見慣れぬダサい恰好をしていたものだから、気づくのが遅れてしまった。これからはもっと良い待遇をしてやらねば」
「次は、シスターの服装を変えて欲しい!エミリアのところの制服も実はめちゃくちゃ破廉恥なんですよ」
この場にいた女性陣、レオナ、ソフィア、エリザベス、イザベラの4人の心は一つになった。カナデなら、私たちの苦しみを理解してくれ、社会をより良いものにしてくれるだろうと。
「それで、ご相談なのですが、まじは宰相様の処分について、私に一つ提案があります」
ソフィアが、女性蔑視が激しい宰相への処罰を口にすると、女性陣は戸惑っていたが、最終的に納得して、ソフィアに処罰を任せることにした。
『意外に身近にいたな。まあ、われたちがまいた種でもある』
「な、なんだ。この猫たちは」
ホワイトとブラックが、突如宰相に向かって駆け寄り、身体によじ登った。二匹の猫が宰相の肩に乗った様子はほほえましかったが、乗っかられた本人は相当嫌だったようだ。猫を振り落とそうと必死に身体を左右に振っていた。
「も、もってきまし、た。宰相様?」
「や、やめろ。お、俺は猫が嫌いなんだ。昔、猫に引っかかれたことがあって、やめろろろろろろろお!」
二匹の猫は、まるで飼い主にじゃれて甘えるように宰相の肩に乗り、尻尾をゆらゆら揺らし、にゃーにゃー甘い声で鳴いている。反対に、宰相はよほど猫にトラウマがあるのか、叫びだし、最後には床に座り込んでしまった。いつの間にか、両手から出ていた光は消えていた。
『たかだか猫の一匹や二匹で大げさな奴だ』
『まあ、これで宰相はカナデに文句を言うこともあるまい』
突然の宰相の行動に皆が呆然としている中、カナデは女神たちが自分を助けてくれたことを知る。女神たちに感謝するのと同時に、自分の役割を果たすべく、レオナから急いで騎士団の制服をもらう。
「ありがとう。ホワイトにブラック。レオナ、制服ありがとう。その服を私に貸して、早く!」
「は、はい」
宰相が再起不能に陥っている今がチャンスである。さっさとイザベラたちが来ている女性騎士の制服を変えなくては。レオナから服を受け取ったカナデだが、更衣室がどこにあるのか聞いておくのを忘れていた。
「更衣室わからないけど、まあいいか。どうせ、私のことなんて見ても面白くないし」
女性として、残念な発言をして、何とその場でカナデは着替えを始めてしまった。カナデはもといた世界では、体育の時間に男子がいようがいまいが、教室で着替えを敢行していた猛者であり、着替えを人前ですることにあまり抵抗がなかった。下着が見えないように自らのチェックシャツを脱ぎながらも、騎士団のワイシャツに袖を通す。ズボンの方も、パーカーで下着を隠しつつ、一気に履き替える。ものの数分で見事着替えを終えてしまった。
「か、カナデ。あんたいくら女としての魅力がないからと言って」
「カナデさん、その早業はいったい……。いや、そんなことより、人前でそんな大胆な!」
「まったく、カナデにはいつも驚かされているな」
「カナデ、少しは自分が女であることを自覚しなさい!」
カナデの早着替えに騒然としていた女性陣は我に返ると、すぐにカナデを責め始めた。宰相は、猫のトラウマがそこまでひどいのか、気を失っていた。
女性陣からの言葉に耳を傾けることはせず、カナデはどうしたら女性の騎士服にふさわしくなるのか、まずは問題点を取り上げる。
「ええと、着替えてはみたけど、これはさすがに男性用だから改良する余地あり。やっぱりこのままだとダメだわ。男性用だとワイシャツの裾は長くてやぼったくなるし、ズボンはずるずるでカッコ悪い」
さて、とカナデは問題点を挙げながら、二匹の猫の様子をうかがう。そして、ぶかぶかの騎士服を身につけたカナデは、宰相から離れて毛づくろいを始めた二匹の猫に問いかける。
「それで、ホワイトにブラック。このまえ言っていたことは本当なの?」
『うむ、今のお主にある能力を与えておいた。想像したものを具現化できる便利な能力だ。しかし、これではあまりにチート過ぎるので、少し能力に制限をかけておいた』
『制限の内容は簡単。衣服にのみ具現化できるというもの。前から、お主は女性の服装を変えたいと言っていただろう?だから、その行動に便利そうな能力だと思うのだが』
「それって、あんまり使い道なさそうな……。なんていうか、私のために作ってくれた能力みたいで、ありがたいですが、微妙です」
とりあえず、女神たちから自分に与えられた能力を聞き出したカナデは、目を閉じて、今自分が着ている服の理想を想像する。もっとワイシャツは細身で、ズボンも足にフィットしたもので……。
「か、カナデさんの身体がなんか光っていますけど!」
カナデが想像している間に、身体は白く輝き始めた。当の本人は目をつむり、創造に集中しているため、身体の変化に気付いていない。
「こんな感じでいいですかね?おう、これはすごい能力!」
目を開けたカナデは自分の衣服を見て驚いた。カナデの想像通りにワイシャツは袖や丈が短くなり、身体にフィットしていた。ズボンも細身になり、丈もちょうどよい長さに変化していた。しかし、これでもまだ、カナデの理想には程遠かった。
「カナデ、お主は実はスタイルが良かったのだな」
「これからは、もっと身体にフィットする服を着たらいかがでしょうか」
エリザベスとレオナの誉め言葉も、今のカナデには届かない。いかに動きやすく、なおかつ、女性が喜ぶ服装にするか。その想像に忙しく頭を働かせていた。
「これでは胸が圧迫されて、強調される。破廉恥で着ていられない。後は、そうこんなに生地がうすいと下着が透けてみっともない」
さらに改良を進めていくと、カナデも納得の見事な制服が完成した。カナデが目をつむり、改良を重ねるたびにカナデが白く光っていた。その様子は、神々しく、最終的に誰もカナデに声をかけることができなかった。
しばらく、カナデは一人忙しく服の改良に勤しんでいた。その間に女性陣は今後の予定を話し合うことにした。
「すごいですね。カナデさんって、本当はすごいお人だったんですね。この調子なら、私たち女性が、もっと自由に生きられる世の中の実現も近いかもしれません」
「ソウデスネ。ですが、彼女の行動には目を光らせなくてはなりません。何せ、どうにも常識というものにかけていますから。私たちでカナデさんをサポートする必要があります」
「カナデは実は聖女みたいな存在だったのだな。初対面であまりに見慣れぬダサい恰好をしていたものだから、気づくのが遅れてしまった。これからはもっと良い待遇をしてやらねば」
「次は、シスターの服装を変えて欲しい!エミリアのところの制服も実はめちゃくちゃ破廉恥なんですよ」
この場にいた女性陣、レオナ、ソフィア、エリザベス、イザベラの4人の心は一つになった。カナデなら、私たちの苦しみを理解してくれ、社会をより良いものにしてくれるだろうと。
「それで、ご相談なのですが、まじは宰相様の処分について、私に一つ提案があります」
ソフィアが、女性蔑視が激しい宰相への処罰を口にすると、女性陣は戸惑っていたが、最終的に納得して、ソフィアに処罰を任せることにした。
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