不思議な水

なるなる

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不思議な水

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ある村に不思議な男がいた。

その男はいつもぼーっとしている様にしか見えないのに、生活に困った素振りが一切ないのだ。月の半分は町に行っていたから、みんなはその男が町に出稼ぎに行っているのだと思っていた。

そんな様子を見ていた与作は、町にはきっと稼げる仕事があるに違いないと思い、男を尾行する事にした。

与作が監視していると、昼過ぎに男が家から出てきた。気づかれない様につけていくと、川原で一人ぼーっとすごしている様だ。よく見ると手には水筒の様な物を持っており、時折足元にある雑草に中身の液体をかけていた。

しばらくすると、雑草から長い茎の様なものが伸びてくる。ちょうど男の手のあたりに来た先端がみるみる膨らんでいった。男は膨らんで実の様になったそれを根本からひきちぎると、持ってきていた袋にそれをしまい、辺りをきょろきょろと確認しながら帰っていった。

翌日男は町へ向かった。到着してすぐにある店に入ると、袋から何かを取り出して店主と話している。店主の様子からするとどうも常連であるらしい。
話し始めて10分もしない内に店を出ると、近くの食料品店で買い物をして家へと帰っていった。

その翌日、男はまた昼になると川原で雑草に液体をかけ、実の様な物を袋にしまっていた。
与作はそれがなんなのかどうしても気になってしまい、男に近づくと後ろから声をかけてしまった。

「おい、あんた。それは一体何をしているんだい?」

男はひどくびっくりした様子であたふたとしていたが、やがて観念したのか秘密を教えてくれた。

「実は寝ている時に夢を見たんだ。目の前に妖精が現れて、庭に特別な水が溢れている場所があるから、掘ってみろっていうんだ。なんでもその水は植物に与えると家電を生んでくれるって言うんだよ。」

男はなんとなく気になって庭を掘り起こしてみたところ、確かに水が溢れてきたそうだ。それを筒に入れて川原の雑草にまいてみたところ、体温計が生まれたとの事だった。
何が生まれるのかは全くわからないが、一昨日の様に値段がつきそうな物が生まれると町に行って金に変えていたのだ。

与作はこの話しを聞いて、男をとても羨んだ。そして自分だったらもっとうまくやって大金持ちになれるに違いないと思ってしまった。そうなるといてもたってもいられなくなり、夜中に男の庭に忍びこんだ。

すると確かに水の溜まった穴が庭にあった。与作は男に気づかれない様細心の注意を払いながら持ってきていたタンクに水を満タンに汲んだ。

雑草よりも野菜に水をかけたらきっと素晴らしい家電を生んでくれるに違いないと思った与作は、家に戻ると畑にばしゃばしゃと水をまいた。

与作はわくわくしながら翌朝畑に向かうと、そこには朽ちてぼろぼろになった家電の山が出来ていた。実をちぎらずに放置してしまったせいで、成長しすぎてしまっていたのであった。
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