肝試し

なるなる

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肝試し

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 「ほらほら、ちゃんと手繋いでないと置いてっちゃうよー」
「お姉ちゃん、待ってよ、もう少しゆっくり……」

 とある夏祭り会場にいる姉弟、姉が弟の手を引きながら境内を突き進んで行く。
 
 この町では数年前から度々子供が行方不明になっていた。何故か毎回夏祭りの日に。
誘拐の可能性があり警察も調査をしたが、結局何の手がかりも見つからないままだった。
そのためか、子供たちの間でとある噂が流れていた。
 
 夏祭りの夜。神社の奥の山が何も見えない暗闇となった時、別の世界に通じる穴が現れる。

 この噂が流れてからというもの、毎年必ず肝試しが行われている。 
この姉弟もそうだった。姉の早紀はオカルトが好きで、一人で山に向かうつもりだったのだが、臆病な弟の太一がついてきたのだ。

「お姉ちゃん、もう大分進んでるけど、どこまでいくつもりなの?」
「ん?そうだね!もう提灯の明かりも見えなくなったし、この辺りでライト消してみようか」

そう言って早紀が懐中電灯の明かりを消した一瞬、太一と繋いでいた手を離してしまった。
「あれ?太一?」
声を掛けても反応はなく、すぐそこにいたはずの太一に触れる事も出来ない。

 急いで早紀は明かりをつけたが、どこにも太一の姿がない。
「太一!?どこ!?返事して!」
10分程辺りを探したが、何の反応もない。早紀がどうしたらいいかわからず、おろおろとし始めた時。

「……お、おねぇちゃん……」

背後から自分を呼ぶ声がした。しかし明らかに弟の声ではない。おそるおそる振り返ると、そこには見覚えのない少年が立っていた。

「……だれ!?」
なかば悲鳴に近い問いかけに、その少年は太一だと名乗った。
早紀がそんなはずはないと必死に反論したが、よく見るとその少年は太一が先ほど着ていたものと同じ服を着ている。

「本当に太一なの?」
「そうだよ、さっき変なところに出たけど、すぐ戻って来られたんだ。噂にある穴に入ったのかもしれない」
「そうなんだね、ごめんね疑って。とにかく早く家に戻ろう」

 早紀が少年の手を引いて後ろを向いた瞬間、頭に鈍い痛みを覚え、次第に意識が遠のいた。

 「いやー、変な噂があるおかげで商売繁盛だわ」
人身売買グループの1人は、鼻歌を歌いながら海外に出荷する商品の手入れをしていた。
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