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本気のキス
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あたしの好きな人は、サイアクだ。
高校二年で、生徒会副会長。
…しかし、成績優秀・頭脳明晰・スポーツ万能で、容姿端麗・社交的となれば、優秀な生徒というイメージを越す。
一言で言えば、…影の支配者。
表では生徒会長をタテにして、裏で悪事の限りを尽くす。
そのせいか、生徒どころか教師までも彼に逆らえない。
なのに…何であんなの好きなんだ? あたし。
家柄も良く、パソコンを使ってすでに公務員の年収を越えるぐらいの月収を稼ぐ彼。
だけど…告白する女子は、滅多にいない。
何故なら恐ろしいから。
いたとしても、みんな涙を流す。
そんな女の子達を見ているからこそ、好きになってはいけない存在なのに…どーして好きなの?
あたしは一つ年下。
接点なんてほとんどない。
全校集会で見かけたり、学校内で見かけたりするだけ。
なのに気付いたら、彼の姿を探してしまう。
恋だと気付いた時は、目の前が真っ暗になった。
何でっ…!…って。
ああ、絶望ってこんなんなのか、何てぼんやり思った。
そして決めた。
きっぱり切り捨ててもらおう!
そしたらスッキリする!
諦めて、次の明るい恋愛に向かえる!
だから意気揚々と、フラレに行こう!
あたしは生徒会室の前に来ていた。
ノックをすると、すぐに彼の声が入ってきた。
「はい、どなたです?」
柔らかな声に、一気に胸が高鳴った。
深呼吸して、扉を開けて中に入る。
生徒会室は名ばかりで、彼の個人部屋になっていた。
中には彼一人。
彼専用の机とイスのセットの所にいた。
だからあたしはツカツカ歩いて、机を叩いて、彼の目を真っ直ぐに見た。
「―好きです! センパイ!」
「ありがとうございます。嬉しいですよ」
…あっさり笑顔で返された。
うん! ウワサ通りで安心した!
コレならこっぴどくフられる!
「本気で好きなんです!」
「ええ、嬉しいですよ」
彼は崩さぬ笑顔で続ける。
よしよし! 好感触! このまま行けば…!
「あたし、あなたがどんな悪人でも構いません! ずっと一目見た時から好きだったんです!」
「―そうですか」
今の返事、一瞬遅かった。
いよっし! ウザくなってきている。
「あたしが本気で好きなこと、分かってください!」
「…そうですねぇ」
彼はアゴに手をかけ、考えた。
うっし! あたしをフる言葉を考えている。
ヒドイ言葉であたしを傷付ける為の言葉を。
―この一瞬があるだけで良い。
彼が今、あたしのことだけを考えてくれている。
他の事は眼中にも無い。
…幸せ。
この一瞬があれば、きっと明日には違う恋愛が出来る。
きっと…今より夢中になれることは、しばらくなさそうだけど…。
「なら、証明してくれません?」
「えっ、どんなことでですか?」
校庭を100周とか、有名大学に受験に合格しろととかだろうか?
どれもきっとあたしにはムリ。
だから泣いて彼の前から去れる。
狙い通り!
「それでは、ボクにキスしてみてください」
「………はい?」
「キスですよ。もちろん、唇でね」
そう言って、最上級の笑顔で唇に触れる。
ううっ! 心臓が痛いっ!
でもある意味、本望か…?
「…キス、したら、認めてくれます?」
「ええ、当たり前です。ボクが言い出したことなんですから」
余裕たっぷりに、イスに深く腰掛ける。
………キス、は正直、したい。
―最後の思い出には、案外良いかもしれない。
きっと彼は経験済みだし。
「出来ないなら、すぐに廊下に出てください。まだ生徒会の仕事が残っていますから」
机の上に広げている書類は、彼が仕事中だということを表している。
あたしは拳を握り締め、彼を正面から睨み付けた。
「―分かりました」
「えっ?」
あたしは机の上に膝をかけ、彼の肩に両手を置いた。
そして―一瞬だけど、彼の唇に触れた。
冷たくて、とても甘いキス。
すぐに彼から離れた。
「―コレであたしの本気、分かってくれますよね?」
泣きたいのを堪えた。
…正直、ここまで感情が昂るとは思わなかった。
「何っを…」
しかし彼は口元を手で多い、顔を真っ赤にした。
…アレ? この反応は予想外。
いきなりだったから、ビックリさせた?
でも…この反応はまるで…。
「…もしかしてセンパイ、ファーストキスでした?」
そう聞くと、耳まで真っ赤に…。
…ウソ。
でもあたしは反対に、血の気が引いた。
てっきり…と思っても、すでに遅い。
「えっええっと…」
慌てて何かを言おうとしたけど、コレで帰った方が良いのかもしれないと思った。
「じっじゃああたしの言いたいことは以上なので」
そう言いつつ机から降りた。
「お邪魔しました! 生徒会のお仕事、頑張ってくださいね!」
帰ろうと踵を返すと、
「待ちなさい!」
いきなり手を握られた。
「えっ?」
彼は立ち上がっていた。
机越しにあたしを捕まえたまま、顔を伏せたままだ。
「…あなたの本気、確かに感じました」
「はっはい」
「あなたのような女性は、はじめてです」
「はい…」
もしかして、嵐のごとく罵倒されるのだろうか?
出来ればこのまま帰してほしい。
思わず逃げ腰になる。
「明日から…覚悟してくださいね」
「えっ」
いっ嫌がらせの日々はカンベンしてほしい…。
しかし顔を上げた彼は、眼に光を宿していた。
ぞっとするほど、本気の光を。
「ボクの本気、あなたに感じてもらいますから」
「えっ、えっ?」
ほっ本気の嫌がらせはちょっとなぁ…。
「あなたが悪いんですからね。ボクを本気にさせたあなたが」
手を引かれ、伸ばされた彼のもう片方の手があたしの頭を掴み、そのままキス―された。
「―離しませんよ、一生」
コレって…本末転倒!?
高校二年で、生徒会副会長。
…しかし、成績優秀・頭脳明晰・スポーツ万能で、容姿端麗・社交的となれば、優秀な生徒というイメージを越す。
一言で言えば、…影の支配者。
表では生徒会長をタテにして、裏で悪事の限りを尽くす。
そのせいか、生徒どころか教師までも彼に逆らえない。
なのに…何であんなの好きなんだ? あたし。
家柄も良く、パソコンを使ってすでに公務員の年収を越えるぐらいの月収を稼ぐ彼。
だけど…告白する女子は、滅多にいない。
何故なら恐ろしいから。
いたとしても、みんな涙を流す。
そんな女の子達を見ているからこそ、好きになってはいけない存在なのに…どーして好きなの?
あたしは一つ年下。
接点なんてほとんどない。
全校集会で見かけたり、学校内で見かけたりするだけ。
なのに気付いたら、彼の姿を探してしまう。
恋だと気付いた時は、目の前が真っ暗になった。
何でっ…!…って。
ああ、絶望ってこんなんなのか、何てぼんやり思った。
そして決めた。
きっぱり切り捨ててもらおう!
そしたらスッキリする!
諦めて、次の明るい恋愛に向かえる!
だから意気揚々と、フラレに行こう!
あたしは生徒会室の前に来ていた。
ノックをすると、すぐに彼の声が入ってきた。
「はい、どなたです?」
柔らかな声に、一気に胸が高鳴った。
深呼吸して、扉を開けて中に入る。
生徒会室は名ばかりで、彼の個人部屋になっていた。
中には彼一人。
彼専用の机とイスのセットの所にいた。
だからあたしはツカツカ歩いて、机を叩いて、彼の目を真っ直ぐに見た。
「―好きです! センパイ!」
「ありがとうございます。嬉しいですよ」
…あっさり笑顔で返された。
うん! ウワサ通りで安心した!
コレならこっぴどくフられる!
「本気で好きなんです!」
「ええ、嬉しいですよ」
彼は崩さぬ笑顔で続ける。
よしよし! 好感触! このまま行けば…!
「あたし、あなたがどんな悪人でも構いません! ずっと一目見た時から好きだったんです!」
「―そうですか」
今の返事、一瞬遅かった。
いよっし! ウザくなってきている。
「あたしが本気で好きなこと、分かってください!」
「…そうですねぇ」
彼はアゴに手をかけ、考えた。
うっし! あたしをフる言葉を考えている。
ヒドイ言葉であたしを傷付ける為の言葉を。
―この一瞬があるだけで良い。
彼が今、あたしのことだけを考えてくれている。
他の事は眼中にも無い。
…幸せ。
この一瞬があれば、きっと明日には違う恋愛が出来る。
きっと…今より夢中になれることは、しばらくなさそうだけど…。
「なら、証明してくれません?」
「えっ、どんなことでですか?」
校庭を100周とか、有名大学に受験に合格しろととかだろうか?
どれもきっとあたしにはムリ。
だから泣いて彼の前から去れる。
狙い通り!
「それでは、ボクにキスしてみてください」
「………はい?」
「キスですよ。もちろん、唇でね」
そう言って、最上級の笑顔で唇に触れる。
ううっ! 心臓が痛いっ!
でもある意味、本望か…?
「…キス、したら、認めてくれます?」
「ええ、当たり前です。ボクが言い出したことなんですから」
余裕たっぷりに、イスに深く腰掛ける。
………キス、は正直、したい。
―最後の思い出には、案外良いかもしれない。
きっと彼は経験済みだし。
「出来ないなら、すぐに廊下に出てください。まだ生徒会の仕事が残っていますから」
机の上に広げている書類は、彼が仕事中だということを表している。
あたしは拳を握り締め、彼を正面から睨み付けた。
「―分かりました」
「えっ?」
あたしは机の上に膝をかけ、彼の肩に両手を置いた。
そして―一瞬だけど、彼の唇に触れた。
冷たくて、とても甘いキス。
すぐに彼から離れた。
「―コレであたしの本気、分かってくれますよね?」
泣きたいのを堪えた。
…正直、ここまで感情が昂るとは思わなかった。
「何っを…」
しかし彼は口元を手で多い、顔を真っ赤にした。
…アレ? この反応は予想外。
いきなりだったから、ビックリさせた?
でも…この反応はまるで…。
「…もしかしてセンパイ、ファーストキスでした?」
そう聞くと、耳まで真っ赤に…。
…ウソ。
でもあたしは反対に、血の気が引いた。
てっきり…と思っても、すでに遅い。
「えっええっと…」
慌てて何かを言おうとしたけど、コレで帰った方が良いのかもしれないと思った。
「じっじゃああたしの言いたいことは以上なので」
そう言いつつ机から降りた。
「お邪魔しました! 生徒会のお仕事、頑張ってくださいね!」
帰ろうと踵を返すと、
「待ちなさい!」
いきなり手を握られた。
「えっ?」
彼は立ち上がっていた。
机越しにあたしを捕まえたまま、顔を伏せたままだ。
「…あなたの本気、確かに感じました」
「はっはい」
「あなたのような女性は、はじめてです」
「はい…」
もしかして、嵐のごとく罵倒されるのだろうか?
出来ればこのまま帰してほしい。
思わず逃げ腰になる。
「明日から…覚悟してくださいね」
「えっ」
いっ嫌がらせの日々はカンベンしてほしい…。
しかし顔を上げた彼は、眼に光を宿していた。
ぞっとするほど、本気の光を。
「ボクの本気、あなたに感じてもらいますから」
「えっ、えっ?」
ほっ本気の嫌がらせはちょっとなぁ…。
「あなたが悪いんですからね。ボクを本気にさせたあなたが」
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