擬態【マカシリーズ・2話】

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「まったくっ…! コレだから同属は嫌いなんだ!」

「…それ、私の前で言わないでくださいよ」

「ああ、同属だったな。お前も」

マカは剣呑に言い放ち、ブレンドティーを飲んだ。

「はぁ…。一応、長に聞いてみますか?」

「素直に答えるとは思えんな。私達の表の顔のことは同属でもそうそう簡単には言えんはずだからな」

「厄介ですね。…私の方から調べてみますか?」

「…やり方としてはそれが一番手っ取り早いが…危険は? 普通の人間相手ではないんだぞ?」

「それは分かっていますが、調べるぐらいなら大丈夫でしょう。邪魔をしなければ、ね」

意味深に笑う店主を見て、マカは深くため息をついた。

「今はそれしか手がないか。じゃあ何か分かったらケータイに連絡をくれ。くれぐれも、人前には現れるなよ!」

「ヒドイ言い様ですね…。でも分かりました。マカはあまり動かない方がいいですよ。貴女、結構動き派手なんですから」

「…悪目立ちして悪かったな。そもそもバカをやらかした同属の後始末、誰がやっていると思っているんだ?」

「私も…ですか?」

「自覚があって結構。控えてくれると、ますますよろしい」

「と言われましてもねぇ…。私はあくまで、お客様のご要望を叶える商品をお売りしているだけでして…」

「傍観者のフリは無しだぞ」

マカの鋭い視線と声に、店主は肩を竦めた。

「分かりましたよ。ご迷惑をおかけしている分、ちゃんと調査します」

降参だというように、両手を上げた店主を見て、マカは軽く息を吐いた。

「…ああ、頼む。では今日は帰る」

「では何か買っていきませんか? 新製品、入荷したんですよ」

途端に営業スマイルになった店主を、マカはジト目で睨んだ。

「お前、同属にも被害を増やす気か?」

「とんでもない! 大体私の商品ごときが、あなたに影響を及ぼせるなんて思っていませんよ」

「どーいう意味だっ! それはっ!」


それから数日後。

マカはミナと放課後、駅前の雑貨屋に遊びに来ていた。

可愛い小物を手に楽しげに話していると、ふと携帯が震えていることに気付いた。

「あっ、ゴメン。ちょっとメール見て良い?」

「良いよぉ。あたし、向こう見てくるねぇ」

「うん、あんまり遠くへ行かないようにね」

ミナが笑顔で向こうへ歩いていく。

するとマカは真面目な表情になり、携帯を開いた。

『お待たせしました。例の事件、少々分かったことがありますので、近日中にでも当店へお越しください』

「分かったのか…」

呟きは誰の耳にも入らない。

携帯を閉じたマカは、深く息を吐いた。 

「…で、分かったこととは?」

「はい…。あまり良い話ではないことを先に言っておきますね」

「と言うことは、やはり同属だったのか?」

「ええ。しかも私の勘も捨てたものではありませんでしたよ」

店主は苦笑し、マカに緑茶を差し出した。

マカは受け取り、一口啜る。

「まあ無謀だとは思ったんですけどね。長に直に聞いてみましたよ」

「長に?」

マカの眼がつり上がる。

「はい。商品関連の方達は守秘義務がありますからね。依頼で作られた物なら尚更です。なので長に聞いてみたんですが…」

「しゃべったのか? あんの古狸」

「ふるっ…! …マカ、実の祖父をそう呼ばずとも」

「言うなっ! 忌々しい」

マカは吐き捨て、険しい顔になった。

店主は深くため息をつき、話し出した。

「一応は話は伺えましたよ。けれど、…ちょっとどころの厄介騒ぎじゃないみたいです」

そして語り始めた。 

とある日。
 
同属の一人が、店主が懇意にしている商品開発部と製作部の者に声をかけた。

それはあるモノの製作依頼。

彼等は報酬を受け取り、望みのモノを作った。

それは―人形だった。

人の形を模したそれは、白く柔らかい。

人形の頭の部分に髪の毛を、体の中心部に自分の血を埋め込むと、その人形は髪の毛の主になる。

体を動かす力は、入れていく血の量による。

そして人形を生かす力は、血の主の寿命によるという。

ただし、その人形は生きている人間にはならない。

必ず死んだ人にしか、ならない。

死んだ者を、生きている人間の寿命と血を引き換えにこの世によみがえらせる人形―それがウワサの正体だった。 
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