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拾って見ると、春ぐらいに撮られたウチのクラスの集合写真だった。
担任も映っている。
この頃はまさか、こんな事態になるなんて、誰も予想していなかっただろうな。
そしてこの後のことも…。
少しずつ平和になりつつあったクラスに、翌日再び暗雲が立ち込めた。
朝早く、屋上へ行ったクラスの女子が、悲鳴を上げた。
彼女への花束やお供え物が、全て焼けていたという。
クラスどころか、学校中が一気に騒然となった。
これはきっと、『みぃ』がまだ許していない証拠だと―。
「でも屋上には誰でも入れるんでしょ? たちの悪い、イタズラかもしれないじゃない」
「イタズラって、誰がしたんだよ!」
「それはホラ…ここんとこ、ほとんど毎日のように、ウチのクラスの生徒達が屋上へ行っているじゃない? だから他のクラスの生徒が、驚かせようとしたのかも?」
しどろもどろに答えると、クラスメートの不満が一気に爆発した。
「もうイヤっ!」
「何であたし達がこんな目に合わなくちゃいけないの?」
いや、それはアンタ達が彼女をイジメたからでしょうが。
…とは言えない。
アタシはKYではないのだ。
「誰かのイタズラだとしても、これじゃあ今までやってきたことに意味なんてないじゃん」
「それより、これから『みぃ』の祟りが今よりもっとひどくなる可能性があるのが怖いよ」
平淡な声で言われた一言に、一気にクラスの雰囲気が固まる。
「まっまあまあ! そう暗くならないでよ! きっとお供えとお祈りを続けていけば、良くなるわよ」
「お前に何が分かるんだよ!」
「そうだ! 部外者のクセに!」
あらら…。怒りの矛先がこっちを向いたよ。
せっかく慰めようとしていたのに。
拗ねてしまったアタシは、とんでもない言葉を口にした。
「…なら、誰か生け贄になったら?」
「生け贄?」
「そう。昔は神様などの怒りは、生け贄を以て静めたと言われているの。誰か1人でもいいから、生け贄になれば物事は収まるんじゃないの?」
言った後、あまりに重過ぎる沈黙に、思わず言い過ぎたことに気付いた。
「なっなーんてね! 大昔の話だから、気にしないでよ!」
慌てて明るく言うも、クラスメート達はブツブツ何かを言っている。
「生け贄、かぁ」
「…どうせこのまま生き続けたって、良いことないもんね」
「『みぃ』にずっと祟られたままじゃあな」
げっ★
予想以上にとんでもない反応!
「まっ待ってよ! 『みぃ』が本当にいるのか分からないじゃない!」
「『みぃ』はいるよ。じゃなきゃ、オレ達がこんな目に合うはずないじゃないか」
そう言ったのは、頭や腕に包帯を巻いている男子生徒だ。
体育の時間に、ケガをした。
あの棒は昔、校庭に植えられたものだったらしい。
使い方は今では分からないものの、生徒達はよじ登っていたりして、遊んでいたらしい。
けれど木の根元が腐り、あの日あの時に倒れてしまった。
それも偶然のことなんだけど、クラスメート達の中では『みぃ』の仕業とされてしまっている。
暗く、重い雰囲気の中、担任が戻って来た。
ほっとするのも束の間、例の火事は人為的なものらしいという話だった。
再びクラスが凍りつく。
誰が、というものは分からないものの、人為的なことなら、『みぃ』の怒りは増したかもしれない―と。
あ~あ。こうなると、もう何を言ってもムダだな。
アタシはもう口を閉じることにした。
その後、クラスの様子は暗いままだった。
相変わらず不幸な出来事が起これば、『みぃ』のせい。
みんなどんどん表情が無くなっていった。
だからアタシももう口出しをするのを止めた。
何を言っても聞かないだろうし、反抗されるのなら損だ。
そうしてアタシが転校してきて1ヶ月が過ぎた頃、事件は起こった。
担任が車の運転を誤り、重傷を負ってしまったのだ。
それは命に関わるほどで、生死の問題ともなった。
それが一気にクラスメート達の恐怖を煽ったのだ。
担任も映っている。
この頃はまさか、こんな事態になるなんて、誰も予想していなかっただろうな。
そしてこの後のことも…。
少しずつ平和になりつつあったクラスに、翌日再び暗雲が立ち込めた。
朝早く、屋上へ行ったクラスの女子が、悲鳴を上げた。
彼女への花束やお供え物が、全て焼けていたという。
クラスどころか、学校中が一気に騒然となった。
これはきっと、『みぃ』がまだ許していない証拠だと―。
「でも屋上には誰でも入れるんでしょ? たちの悪い、イタズラかもしれないじゃない」
「イタズラって、誰がしたんだよ!」
「それはホラ…ここんとこ、ほとんど毎日のように、ウチのクラスの生徒達が屋上へ行っているじゃない? だから他のクラスの生徒が、驚かせようとしたのかも?」
しどろもどろに答えると、クラスメートの不満が一気に爆発した。
「もうイヤっ!」
「何であたし達がこんな目に合わなくちゃいけないの?」
いや、それはアンタ達が彼女をイジメたからでしょうが。
…とは言えない。
アタシはKYではないのだ。
「誰かのイタズラだとしても、これじゃあ今までやってきたことに意味なんてないじゃん」
「それより、これから『みぃ』の祟りが今よりもっとひどくなる可能性があるのが怖いよ」
平淡な声で言われた一言に、一気にクラスの雰囲気が固まる。
「まっまあまあ! そう暗くならないでよ! きっとお供えとお祈りを続けていけば、良くなるわよ」
「お前に何が分かるんだよ!」
「そうだ! 部外者のクセに!」
あらら…。怒りの矛先がこっちを向いたよ。
せっかく慰めようとしていたのに。
拗ねてしまったアタシは、とんでもない言葉を口にした。
「…なら、誰か生け贄になったら?」
「生け贄?」
「そう。昔は神様などの怒りは、生け贄を以て静めたと言われているの。誰か1人でもいいから、生け贄になれば物事は収まるんじゃないの?」
言った後、あまりに重過ぎる沈黙に、思わず言い過ぎたことに気付いた。
「なっなーんてね! 大昔の話だから、気にしないでよ!」
慌てて明るく言うも、クラスメート達はブツブツ何かを言っている。
「生け贄、かぁ」
「…どうせこのまま生き続けたって、良いことないもんね」
「『みぃ』にずっと祟られたままじゃあな」
げっ★
予想以上にとんでもない反応!
「まっ待ってよ! 『みぃ』が本当にいるのか分からないじゃない!」
「『みぃ』はいるよ。じゃなきゃ、オレ達がこんな目に合うはずないじゃないか」
そう言ったのは、頭や腕に包帯を巻いている男子生徒だ。
体育の時間に、ケガをした。
あの棒は昔、校庭に植えられたものだったらしい。
使い方は今では分からないものの、生徒達はよじ登っていたりして、遊んでいたらしい。
けれど木の根元が腐り、あの日あの時に倒れてしまった。
それも偶然のことなんだけど、クラスメート達の中では『みぃ』の仕業とされてしまっている。
暗く、重い雰囲気の中、担任が戻って来た。
ほっとするのも束の間、例の火事は人為的なものらしいという話だった。
再びクラスが凍りつく。
誰が、というものは分からないものの、人為的なことなら、『みぃ』の怒りは増したかもしれない―と。
あ~あ。こうなると、もう何を言ってもムダだな。
アタシはもう口を閉じることにした。
その後、クラスの様子は暗いままだった。
相変わらず不幸な出来事が起これば、『みぃ』のせい。
みんなどんどん表情が無くなっていった。
だからアタシももう口出しをするのを止めた。
何を言っても聞かないだろうし、反抗されるのなら損だ。
そうしてアタシが転校してきて1ヶ月が過ぎた頃、事件は起こった。
担任が車の運転を誤り、重傷を負ってしまったのだ。
それは命に関わるほどで、生死の問題ともなった。
それが一気にクラスメート達の恐怖を煽ったのだ。
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