【R18+BL】ハデな彼に、躾けられた、地味な僕

hosimure

文字の大きさ
14 / 15
彼と僕

14

しおりを挟む
 天気が良ければ、海が凪いでいれば、最高の結婚式が挙げられると言われていた。
 確かに実際来て見て、ここで結婚する人は幸せになれるだろうなと思った。
 …そう、他人事ならば良い。
 しかし彼が笑顔で神父と会話をしている。英語だけど、時々『結婚』と言う単語が聞こえるたびに、寒気がするのは何故だろう?
 初老の優しそうな神父は、にこにこしている。
 でも…この教会には僕と紗神、そして神父の三人しかいないようだった。
 物凄く、イヤ~な予感がする。今すぐ海に飛び込んで、泳いで逃げ出したいぐらいの悪寒も感じる。
「永河、話ついたよ」
 満面の笑顔の彼に声をかけられると、びくっと体が震えた。
「話って…何の?」
「結婚式」
「…一応、聞いておくけどさ」
「うん」
「誰か身近な人が、結婚するの?」
「うん。オレと永河」
 やっぱりっ!
「遠慮させていただきますっ!」
 海に向かって走り出すも、彼の方が足が速かった。すぐに捕らえられて、ズルズルと教会の中に引きずり込まれた。
 神父が笑顔で手を振って、見送ってくれる。どうやら外で待っているらしい…。
「そう照れるなって。日本じゃ恥ずかしいだろうから、せっかく外国にしたのに」
「日本でやったら、悶絶するって!」
「アハハ。だからここにしたんだって」
 紗神は楽しそうに言って、大きなステンドグラスの前で立ち止まった。美しい天使を描いたステンドグラスの迫力に、目を見開いてしまった。
「キレイだね」
「うん、キレイだ。ここで誓えば、信じるだろう?」
「…何を誓うって?」
「だから、永河への愛だよ」
 ぞわっ! 全身に一気に鳥肌が立った!
「なっ、どっ、どうしたの? あまりの暑さに、頭やられた?」
「…お前、本当に言うようになったよな。そもそもオレが好きでもないヤツを、側に置くと思っていたのか?」
「だって…僕は僕に自信がないし。そもそも紗神に愛を言われたことなんて、今まで一度もなかったじゃん」
「でも好きだとは言っただろう?」
「…言ったっけ?」
「言った。はじめてセックスした時」
「言ってない! 僕に好きかと聞いただけ!」
「アレ? そうだったっけ?」
 くぅっ! …あの時せめて好きって言ってくれれば、こんなに思い悩むこともなかったのに。
「でも好きかと聞いて、『両想い』って言っただろう?」
「『好き』にはいろんな意味があるの、知らない?」
 嫌味たっぷりに言うも、紗神は肩を竦めただけ。
「何だ。オレはあれから素直になっているし、てっきり両想いだって通じているのかと思ってた」
 …わぁ。分かっていたことだけど、この人、信じられないぐらい自意識過剰だぁ。
「それじゃあ改めて言うよ」
 彼の手には、いつのまにか金の指輪があった。それを素早く僕の左手の薬指にはめた。
「なっ、ちょっと!」
「愛しているよ、永河」
 信じられないぐらい甘い言葉を囁くと、キスしてきた。触れるだけの、軽いキス。だけど…今までで一番優しいキスだった。
「永河は? オレのこと愛しているよな?」
 僕は自分の顔が赤くなるのを感じた。
 答えなんて、一つしかない。
「…うん。愛してるよ、紗神」
 僕はぎゅっと紗神に抱きついた。
「んっ。知ってた」
 どこまでも自信家の人。でもこの人がこうでなきゃ、僕はこんなに強く惹かれなかっただろう。
「あっ、僕も指輪買った方が良いよね?」
「いや、オレはもう自分のあるから」
 そう言う彼の左手の薬指には、すでに金の指輪があった。
「でも…」
「良いんだって。そもそも指輪を買う為にバイトをはじめて、オレの側にいる時間が短くなったらイヤだしな」
 …どこまで先読みする人なんだろう? 
 僕が数秒前まで考えていたことは、全部お見通しってわけか。
「なあ、永河。お前、自分のことを自信なさそうに言うのやめろ」
「それは…」
「謙虚なのは悪いことじゃない。でもオレが選んだお前でも、そう言うのか?」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢のモブ兄に転生したら、攻略対象から溺愛されてしまいました

藍沢真啓/庚あき
BL
俺──ルシアン・イベリスは学園の卒業パーティで起こった、妹ルシアが我が国の王子で婚約者で友人でもあるジュリアンから断罪される光景を見て思い出す。 (あ、これ乙女ゲームの悪役令嬢断罪シーンだ)と。 ちなみに、普通だったら攻略対象の立ち位置にあるべき筈なのに、予算の関係かモブ兄の俺。 しかし、うちの可愛い妹は、ゲームとは別の展開をして、会場から立ち去るのを追いかけようとしたら、攻略対象の一人で親友のリュカ・チューベローズに引き止められ、そして……。 気づけば、親友にでろっでろに溺愛されてしまったモブ兄の運命は── 異世界転生ラブラブコメディです。 ご都合主義な展開が多いので、苦手な方はお気を付けください。

仕事ができる子は騎乗位も上手い

冲令子
BL
うっかりマッチングしてしまった会社の先輩後輩が、付き合うまでの話です。 後輩×先輩。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

【完結】ずっと一緒にいたいから

隅枝 輝羽
BL
榛名はあまり目立ったところはないものの、真面目な縁の下の力持ちとして仕事に貢献していた。そんな榛名の人に言えないお楽しみは、お気に入りのおもちゃで後ろをいじること。社員旅行の前日もア○ニーですっきりさせて、気の進まないまま旅行に出発したのだが……。 J庭57のために書き下ろしたお話。 同人誌は両視点両A面だったのだけど、どこまで載せようか。全部載せることにしましたー!

【完結】逆転シンデレラ〜かわいい「姫」は、俺(王子)を甘やかしたいスパダリだった〜

粗々木くうね
BL
「本当はずっと、お姫様になりたかったんだ……」 周りから「王子様」と持て囃され、知らず知らずのうちにその役割を演じてきた大学二年生の王子 光希(おうじ みつき)。 しかし彼の本当の願いは、誰かを愛す“王子”ではなく、誰かに愛される“お姫様”になることだった。 そんな光希の前に現れたのは、学科のアイドルで「姫」と呼ばれる、かわいらしい同級生・姫川 楓(ひめかわ かえで)。 彼が光希に告げたのは、予想もしない言葉だった──。 「僕に……愛されてみない?」 “姫”の顔をした“王子様”に、心も身体も解きほぐされていく──。 “王子”が“お姫様”になる、逆転シンデレラストーリー。 【登場人物】 姫川 楓(ひめかわ かえで) ・ポジション…攻め ・3月3日生まれ 19歳 ・大学で建築を学ぶ2回生 ・身長170cm ・髪型:ミディアムショートにやわらかミルクティーブラウンカラー。ゆるいパーマをかけている ・目元:たれ目 ・下に2人妹がいる。長男。 ・人懐っこくて愛嬌がある。一見不真面目に見えるが、勉学に対して真面目に取り組んでいて要領もよく優秀。 ・可愛いものが好き。女友達が多いが男友達ともうまくやってる。 ・おしゃれが大好き。ネイルもカラフル。 ・王子とセットで「建築学科の姫」と呼ばれている ・かわいい見た目でペニスが大きい 王子 光希(おうじ みつき) ・ポジション…受け ・5月5日生まれ 20歳 ・大学で建築を学ぶ2回生 ・身長178cm ・髪型:センターパートのラフショート。ダークトーンのアッシュグレー ・目元:切れ長 ・空気が読める。一軍男子。学業もスポーツも割とよくできる。 ・上に姉と兄がいる。末っ子。 ・姫川とセットで「建築学科の王子」と呼ばれている ・「かっこいい・頼れる王子」像を求められるので、自然と演じて生きてきた。本当は甘えたいし愛されたい。家族には甘えられる。

かわいい王子の残像

芽吹鹿
BL
 王子の家庭教師を務めるアリア・マキュベリー男爵の思い出語り。天使のようにかわいい幼い王子が成長するにつれて立派な男になっていく。その育成に10年間を尽くして貢献した家庭教師が、最終的に主に押し倒されちゃう話。

エリート上司に完全に落とされるまで

琴音
BL
大手食品会社営業の楠木 智也(26)はある日会社の上司一ノ瀬 和樹(34)に告白されて付き合うことになった。 彼は会社ではよくわかんない、掴みどころのない不思議な人だった。スペックは申し分なく有能。いつもニコニコしててチームの空気はいい。俺はそんな彼が分からなくて距離を置いていたんだ。まあ、俺は問題児と会社では思われてるから、変にみんなと仲良くなりたいとも思ってはいなかった。その事情は一ノ瀬は知っている。なのに告白してくるとはいい度胸だと思う。 そんな彼と俺は上手くやれるのか不安の中スタート。俺は彼との付き合いの中で苦悩し、愛されて溺れていったんだ。 社会人同士の年の差カップルのお話です。智也は優柔不断で行き当たりばったり。自分の心すらよくわかってない。そんな智也を和樹は溺愛する。自分の男の本能をくすぐる智也が愛しくて堪らなくて、自分を知って欲しいが先行し過ぎていた。結果智也が不安に思っていることを見落とし、智也去ってしまう結果に。この後和樹は智也を取り戻せるのか。

処理中です...