地下鉄【マカシリーズ・3話】

hosimure

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翌朝

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「ふあ~あ」
「おっきな欠伸だねぇ。ルカちゃん」
 朝、地下鉄にはすでに多くの人が来ていた。
 会社や学校に行く為、あるいはあたしみたいに帰る為に。
「はひ…。さすがに徹夜はこたえます」
 職場から上がってきて、給湯室から出たら、中年の駅員がすでに来ていた。
 コーヒーをもらい、地下鉄の駅が開く準備を、部屋の隅で見ていた。
 この光景は結構好き。
 若い駅員の人は、外の方の準備に出ていた。
「ははっ。…どうだった?」
「まあとりあえずは…。もうしばらくは続くそうですけど」
「そうだね。ここらは特に、霧が濃いから」
「…慣れてますね」
「だてに二十年以上もここにいないよ」
 にっこり微笑み、あたしにサンドイッチとおにぎりを渡してくれた。
 どちらもコンビニのものだ。
「あっ、どうも」
「これを食べて、今日はゆっくり休むといい。まだバイトは続くんだからね」
 あたしは笑みで返し、部屋から出て行った。
 そして電車に乗り、目的地で降りた。
 ここから歩いて十分もしないところに、あたしの借りているマンションがある。
「けど、霧がスゴイなぁ…」
 早朝だからかもしれないけど、3メートル先が見えにくいぐらい濃い。
 それに少し肌寒い気もする。
 あたしは歩き出した。
 早くもらったサンドイッチとおにぎりを食べて、眠りたかった。
 けれどあったかい飲み物も欲しくなって、コンビニに入った。
 そしてコーンポタージュとココアの缶を持って、レジに並ぶ。
 そこでふと、朝刊の見出しが目に映った。
 けれどすぐに順番が来て、あたしは会計を済ませ、コンビニを出た。

 ―朝刊の見出しはこうだった。

 このところ、変質者の出現で世間は騒いでいた。
 霧の深い夜、突然カミソリで切りつけてくるという。
 そして2・3回切りつけた後、笑いながらその場を後にする。
 警察は捜索していたが、それでも犯人は見つからず、人々はおびえていた。
 新聞では新たな被害者が出たと書かれていた。
 けれどもう―次は出ない。

「やれやれ…。早く霧がはれないかなぁ」
 霧に息を吐きかけながら、あたしはマンションに向かって歩いた。



【終わり】
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感想 1

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みんなの感想(1件)

堅他不願@お江戸あやかし賞受賞

 ホラーと地下鉄は相性がいいですね。なかなかにおどろおどろしいお話でした。夜勤明けのコーヒーとサンドイッチが美味しそうです。

解除

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