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1.「それっぽい名付け」総論

既存作のネーミングがもし「それっぽく」なくても、広く認知されちゃえばまったく問題なくなる

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これまで世に出た、架空世界を舞台とする作品で、もう広く知れ渡っているもの。
メジャータイトルの、よく知られた名称。
であれば、実は「ネーミングセンス」なんざ、問題ないのです。

「もう受け入れられている」という事実は、めちゃくちゃ大きい。
独立した、この創作だけのための存在として、わけです。

以下、そんな例を挙げていきます。


「シド」(ゲームの「ファイナルファンタジー」シリーズに登場)

当時の私の中で、シドといえば、セックス・ピストルズのベーシストだった「シド・ヴィシャス」。
FF2で出てきたシドは、いかついおっちゃん飛空艇の操縦士でした。
(のちのシリーズでは、同名で役割や外見が変わるわけですが)
でも、FFが巨大な存在になることで、私の中でもシドが立ち上がった。



「セックス・ピストルズ」(『ジョジョの奇妙な冒険』のスタンド名より)

シド・ヴィシャスからので。
最初聞いた時は
「ややや、飛呂彦先生!さすがにそれはないでしょう……」
と思ったものです。
これについては、個人的には今でも、慣れません。



「エド」(エドワード、荒川弘『鋼の錬金術師』より)

シドときたら、エドでしょう(?)
「英語名まんまかぁ」と最初、思ったわけです。
弟はアルフォンスでそれっぽいのになぁ……とか。
だが、そんなん思っている場合じゃなかった。
この設定、世界観、そしてうますぎる作画やコマ運び。
創作として圧倒的レベル。名前なんざ問題じゃなかったですし、
結局、エドではまってきた。
受け手のこっち(私)がいい意味で作品の素晴らしさに屈服して、チューニングを合わせたわけです。



「勇者コナン」(小説/映画の「コナンシリーズ」)

若き日のシュワちゃん主演の映画を観た時、「この風貌でコナン」?!
響きが可愛すぎる。
もっと、「ギルモア」とか「バーナンド」とか、あったろうに……
と、うっかり思ったものでした。
しかし、すぐに、これはアメリカの人気小説が原作としてあることを知り。
「だったら、まあ『コナン』OKかぁ」
となったのでした。
ちなみに、後に青山剛昌先生の『名探偵コナン』がメジャーになったことで、
このコナンは、「後(からの創作に)かぶられ」してしまうという悲劇が、ここ日本では。



「ラジャー」(「屋根裏のラジャー」より)

最初聞いた時、「……ラジャー?!
トランシーバーとか応答の最後につける?」
って、思いましたとも、ええ、ええ。

映画のPRがガンガンに進むことで、きっとこの違和感は払拭されるはず。
「ラジャー」が、別の独立した意味を帯びるはず。です。
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