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1.「それっぽい名付け」総論
英語名 〜その排除と採用、あるいは「愛憎」〜
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考察より先に、以下2つの例をご覧ください。
例1
おお、勇者「ジョージ」よ!
悪の大魔王「ディック」に囚われたわが姫「スーザン」を救うのじゃ!
いかがでしょう?
行けそうです?入り込めそうです?
勇者「ジョージ」で、あなたの心に雑念がよぎってしまうかもしれませんよね。
「・ハリスン」とか。
「おさるの」とか。
個人的には、「丈二」と脳内変換して、昭和の任侠モノ映画(実在するかは不明)に出てくる鉄砲玉的若造を連想……。
大魔王「ディック」もなかなか。ディック・ミネ?
あるいは、そっち系隠語……(どっち系なんだか)
姫君「スーザン」……なんでだろ、大柄で筋肉質、健康的に日焼けした女性をイメージしてしまう(※個人の感想です)。「ターザン」から引っ張られているのだろうか……?
アメリカ人作者による、少し古いSFものとして、いけそうですけどね。
「おお、宇宙飛行士「ジョージ」よ。
異星の王「ディック」に囚われたわが姫「スーザン」を救うのじゃ!」
これなら、アリな気がする。
しかし、設定が「中世ヨーロッパ風ファンタジー世界」だと、私的にはナシになる。
例2
①「グランド帝国軍」の射手は、揃って「チェイン・アーマー」を着込み、
頭には「アイアン・ヘルム」をかぶり目だけが見えていて、
「クロス・ボウ」を携え、「レザー・ブーツ」で地面を踏みならしながら、
敵襲に警戒しつつ「レイン・フォレスト」の影深い木々の中、行軍中だった。
これ、どうでしょう?
「なんか、アリでよくね?」と思えませんか?
詳細に見ていきましょう。
「グランド帝国軍」=地名=英語の「グランド」(grand):(形)壮大な」
「レイン・フォレスト」=エリア(森)名=英語の「rain forest(雨の森」)
これについては、「響き」ありきで、アリなように思います。
「ラージ(large)帝国軍」とか「ビッグ(big)帝国軍」だったら、ナシだった。
後者だと、往年の「ルー大柴」っぽい、というか、
あっちですね、牛若丸の英語替え歌。
「♪今日の五条のオンザブリッジ ビッグ・マンの弁慶は
ロングなぎなた振り上げて 牛若目がけてカッティング♪」
「チェイン・アーマー」「アイアン・ヘルム」「クロス・ボウ」「レザー・ブーツ」
これら武器防具の類が、一番、英語そのままで違和感がなく思えるのは、
先行するゲームRPGでその呼称が採用され、すっかり定着されているからだと思います。
……揃って「鎖帷子」を着込み、頭には「鉄兜」をかぶり……、
「弩」を携え、「革製の長靴」で地面を踏みならしながら、……
だと、浮かぶビジュアルが、少し違いませんか?
瀬田貞二先生の『指輪物語』の訳文調というか。
これだといかがでしょう?
……揃って「ダルサモス」を着込み、頭には「ディト・ハディ」をかぶり目だけが見えていて、「ベルーサ」を携え、「ルフェイル・ア=モティ」で地面を踏みならしながら……
それぞれ、異世界語(物語の舞台として描かれるエリア)での、武器防具名ですが……、
わけがわからないですよね。率直に言って。
ここでわかるのは、
「機能」を明確に伝える「アイテム系」は、
「必要悪として、英単語が採用される」
という現象が、「中世ヨーロッパ風ファンタジー」設定の物語では起こりがち、ということです(例外は「ドラゴンクエストシリーズ」。「どうのつるぎ」「はがねのよろい」など)。
面白いな、と感じるのは、
いわゆる「中世ヨーロッパ風ファンタジー世界」の日本での受容の歴史は、明白に、アメリカで制作された『ダンジョンズ・アンド・ドラゴンズ』のルールや世界観の影響下にありました。
なのですが、「中世ヨーロッパ風ファンタジー世界」を想起するとき、
固有名(特に人名)の名付けは、「英語・直」を避けようとする。
「アメリカ的なものを思い出すと、現実とつながってしまうから」なのか……?
でも、「機能」というか、
「何かをそれっぽく、かつわかりやすく伝える必要がある!」
となれば、英語採用を厭わない。
バンド名は「フランス由来」のビジュアル系バンドが、基本は日本語で歌いつつ、サビで急に英語詞になるみたいなもの。
冷静に、一歩退いてみるとなんだかおかしいのだけれど、
「一歩ひかず、おかしみを感じないで、それっぽいものとして没入できる」。
これ、大袈裟にいうと、日本人の特質というか才能なのかもだよな……と思ったりします。
例1
おお、勇者「ジョージ」よ!
悪の大魔王「ディック」に囚われたわが姫「スーザン」を救うのじゃ!
いかがでしょう?
行けそうです?入り込めそうです?
勇者「ジョージ」で、あなたの心に雑念がよぎってしまうかもしれませんよね。
「・ハリスン」とか。
「おさるの」とか。
個人的には、「丈二」と脳内変換して、昭和の任侠モノ映画(実在するかは不明)に出てくる鉄砲玉的若造を連想……。
大魔王「ディック」もなかなか。ディック・ミネ?
あるいは、そっち系隠語……(どっち系なんだか)
姫君「スーザン」……なんでだろ、大柄で筋肉質、健康的に日焼けした女性をイメージしてしまう(※個人の感想です)。「ターザン」から引っ張られているのだろうか……?
アメリカ人作者による、少し古いSFものとして、いけそうですけどね。
「おお、宇宙飛行士「ジョージ」よ。
異星の王「ディック」に囚われたわが姫「スーザン」を救うのじゃ!」
これなら、アリな気がする。
しかし、設定が「中世ヨーロッパ風ファンタジー世界」だと、私的にはナシになる。
例2
①「グランド帝国軍」の射手は、揃って「チェイン・アーマー」を着込み、
頭には「アイアン・ヘルム」をかぶり目だけが見えていて、
「クロス・ボウ」を携え、「レザー・ブーツ」で地面を踏みならしながら、
敵襲に警戒しつつ「レイン・フォレスト」の影深い木々の中、行軍中だった。
これ、どうでしょう?
「なんか、アリでよくね?」と思えませんか?
詳細に見ていきましょう。
「グランド帝国軍」=地名=英語の「グランド」(grand):(形)壮大な」
「レイン・フォレスト」=エリア(森)名=英語の「rain forest(雨の森」)
これについては、「響き」ありきで、アリなように思います。
「ラージ(large)帝国軍」とか「ビッグ(big)帝国軍」だったら、ナシだった。
後者だと、往年の「ルー大柴」っぽい、というか、
あっちですね、牛若丸の英語替え歌。
「♪今日の五条のオンザブリッジ ビッグ・マンの弁慶は
ロングなぎなた振り上げて 牛若目がけてカッティング♪」
「チェイン・アーマー」「アイアン・ヘルム」「クロス・ボウ」「レザー・ブーツ」
これら武器防具の類が、一番、英語そのままで違和感がなく思えるのは、
先行するゲームRPGでその呼称が採用され、すっかり定着されているからだと思います。
……揃って「鎖帷子」を着込み、頭には「鉄兜」をかぶり……、
「弩」を携え、「革製の長靴」で地面を踏みならしながら、……
だと、浮かぶビジュアルが、少し違いませんか?
瀬田貞二先生の『指輪物語』の訳文調というか。
これだといかがでしょう?
……揃って「ダルサモス」を着込み、頭には「ディト・ハディ」をかぶり目だけが見えていて、「ベルーサ」を携え、「ルフェイル・ア=モティ」で地面を踏みならしながら……
それぞれ、異世界語(物語の舞台として描かれるエリア)での、武器防具名ですが……、
わけがわからないですよね。率直に言って。
ここでわかるのは、
「機能」を明確に伝える「アイテム系」は、
「必要悪として、英単語が採用される」
という現象が、「中世ヨーロッパ風ファンタジー」設定の物語では起こりがち、ということです(例外は「ドラゴンクエストシリーズ」。「どうのつるぎ」「はがねのよろい」など)。
面白いな、と感じるのは、
いわゆる「中世ヨーロッパ風ファンタジー世界」の日本での受容の歴史は、明白に、アメリカで制作された『ダンジョンズ・アンド・ドラゴンズ』のルールや世界観の影響下にありました。
なのですが、「中世ヨーロッパ風ファンタジー世界」を想起するとき、
固有名(特に人名)の名付けは、「英語・直」を避けようとする。
「アメリカ的なものを思い出すと、現実とつながってしまうから」なのか……?
でも、「機能」というか、
「何かをそれっぽく、かつわかりやすく伝える必要がある!」
となれば、英語採用を厭わない。
バンド名は「フランス由来」のビジュアル系バンドが、基本は日本語で歌いつつ、サビで急に英語詞になるみたいなもの。
冷静に、一歩退いてみるとなんだかおかしいのだけれど、
「一歩ひかず、おかしみを感じないで、それっぽいものとして没入できる」。
これ、大袈裟にいうと、日本人の特質というか才能なのかもだよな……と思ったりします。
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