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第二十八踊
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凛とした張りのある声ーー。
王の間に突如として現れたのは、華やかな装いの貴婦人だ。
『突然、誰だ』と貴婦人に視線が集まる。
(ん?? んんん?!)
私は思わずガン見する。現れた貴婦人は、シュッとした顔立ちでスラリとした立ち姿、佇まいからは匂い立つようなツバキを連想させ……お、お母様?!
「この度は『立太子の儀』おめでとうございます。その儀に推参、まことに申し訳ございません。ロワール伯爵家の前当主として、お慶び申し上げます。また、我が娘、デリシアの不手際についてお詫び申し上げます」
優雅に礼をする、お母様……?
マツコ・デラックスのようだったお母様が、やつれて凛とした貴婦人になってしまった。確かに身体もスッキリしたが、華やかに装い、キリリとした表情をすれば周りを威圧してしまう。
しかし『わーい』とか言ってるお母様は、いずこへ!?
第二王子も面食らっていたが、ハッと威儀を正す。
「……うむ。祝いの言葉、受け取っておこう。ロワール伯爵家に対する処分は言い渡した。あとはデリシア共々、静かに暮らすが良い」
第二王子はお母様に言い、胸を反らした。
威厳を出したかったのか、逆に滑稽だ。居並ぶ貴族たちは成り行きを見守っている。シンデレラは険しい表情だ。
「ありがとうございます。ーーしかし殿下、ひとつだけ申し上げます」
「ふむ? なんであろうか」
「はい。領地についてですが、我が伯爵家の領地は王家との取り決めにより、永代独立不羈を認められております。管理については、遠慮いたします」
「な? なに?」
「このことについては国王ともお話がついており、いかに殿下の発案と言えども、お受けできません」
ーーそう言えばそうだった? 今の領地は、我が家の先祖が切り取り自由と言われ、本当に切り取った領地だったか……。それまでの領地については、王家に返上したのだとか。
第二王子に近侍していた執事が『なんだと!? そんなことが認められるか』などと口走る第二王子に耳打ちしている。説明しているようだ。
(とりあえず領地は安泰?)
私が成り行きを傍観していると、目を白黒させていた第二王子が眦を吊り上げた。
「駄目だ! 許さん! そのような取り決めは廃棄する」
指を差して喚き出す第二王子。
お母様は平然としているーーというか、笑みを浮かべている。
「そう仰るならば、我が伯爵家は独立いたします」
「は?」
「今の領地は我が祖が切り取ったもの。王家の介入はお断りいたします。これ以上無理を通されるようならば、独立いたします」
「…………」
お母様の発言に、第二王子は口をパクパクさせている。
私もついていけない。そんなん大丈夫なの?
王家にケンカ吹っかけてる!?
「何を言うか! 許されるわけがなかろう! 独立などしたら、伯爵家ともども討ち滅ぼしてくれる!」
第二王子が地団駄を踏む。
(領地に兵を向けられるのは不味い)
内戦なんて、犠牲がどれだけ出るか。私が間に割って入ろうとしたとき、王の間に更なる乱入者が。
「受けて立ちましょう。我が伯爵家は屈しません」
王の間に現れた乱入者が透き通った声を放つ。
王の間に突如として現れたのは、華やかな装いの貴婦人だ。
『突然、誰だ』と貴婦人に視線が集まる。
(ん?? んんん?!)
私は思わずガン見する。現れた貴婦人は、シュッとした顔立ちでスラリとした立ち姿、佇まいからは匂い立つようなツバキを連想させ……お、お母様?!
「この度は『立太子の儀』おめでとうございます。その儀に推参、まことに申し訳ございません。ロワール伯爵家の前当主として、お慶び申し上げます。また、我が娘、デリシアの不手際についてお詫び申し上げます」
優雅に礼をする、お母様……?
マツコ・デラックスのようだったお母様が、やつれて凛とした貴婦人になってしまった。確かに身体もスッキリしたが、華やかに装い、キリリとした表情をすれば周りを威圧してしまう。
しかし『わーい』とか言ってるお母様は、いずこへ!?
第二王子も面食らっていたが、ハッと威儀を正す。
「……うむ。祝いの言葉、受け取っておこう。ロワール伯爵家に対する処分は言い渡した。あとはデリシア共々、静かに暮らすが良い」
第二王子はお母様に言い、胸を反らした。
威厳を出したかったのか、逆に滑稽だ。居並ぶ貴族たちは成り行きを見守っている。シンデレラは険しい表情だ。
「ありがとうございます。ーーしかし殿下、ひとつだけ申し上げます」
「ふむ? なんであろうか」
「はい。領地についてですが、我が伯爵家の領地は王家との取り決めにより、永代独立不羈を認められております。管理については、遠慮いたします」
「な? なに?」
「このことについては国王ともお話がついており、いかに殿下の発案と言えども、お受けできません」
ーーそう言えばそうだった? 今の領地は、我が家の先祖が切り取り自由と言われ、本当に切り取った領地だったか……。それまでの領地については、王家に返上したのだとか。
第二王子に近侍していた執事が『なんだと!? そんなことが認められるか』などと口走る第二王子に耳打ちしている。説明しているようだ。
(とりあえず領地は安泰?)
私が成り行きを傍観していると、目を白黒させていた第二王子が眦を吊り上げた。
「駄目だ! 許さん! そのような取り決めは廃棄する」
指を差して喚き出す第二王子。
お母様は平然としているーーというか、笑みを浮かべている。
「そう仰るならば、我が伯爵家は独立いたします」
「は?」
「今の領地は我が祖が切り取ったもの。王家の介入はお断りいたします。これ以上無理を通されるようならば、独立いたします」
「…………」
お母様の発言に、第二王子は口をパクパクさせている。
私もついていけない。そんなん大丈夫なの?
王家にケンカ吹っかけてる!?
「何を言うか! 許されるわけがなかろう! 独立などしたら、伯爵家ともども討ち滅ぼしてくれる!」
第二王子が地団駄を踏む。
(領地に兵を向けられるのは不味い)
内戦なんて、犠牲がどれだけ出るか。私が間に割って入ろうとしたとき、王の間に更なる乱入者が。
「受けて立ちましょう。我が伯爵家は屈しません」
王の間に現れた乱入者が透き通った声を放つ。
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