"翼を持つ少女"と"翼を持てない青年"が空を飛ぶ話

千道 一舞

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飛べないのは何故か。

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 真っ暗な細道。

 周りを見渡すと、入ったらすぐに迷子になりそうな森がある。

 目の前には1本の真っ直ぐな道が永遠と続いている。

 とある1人の女の子は、その1本の道を孤独に歩いていた。

 周りは相変わらず暗く、足も疲れてきた。

 そろそろ休息が必要だろうか。

 そんな時だった。

 目の前に大きな何かが立っている。

 それは扉だ。自分よりも何倍もの高さを持っているその扉は、まるで彼女の進路を妨げるように、でかでかと待ち構えている。

 (邪魔だなぁ)

 そう感じた彼女は、扉を開けようと、自分の全体重を掛けてこじ開けようとするが、扉が開かない。

 進めない。

 先に進めない。

 彼女は焦りを感じて、再び扉を押し込む。

 時には引いてみるがピクリとも動かない。

 彼女は泣きそうになりながらも、諦めずに扉を押し続ける。


 しかし、その扉が彼女に答えることはなかった。


 そんな時、後ろから1人の青年が声をかけてくる。

「大丈夫か?開かねーのか?」

 彼女は慌てて後ろを向く。

 そこには自分よりも背丈が大きい男の子が立っていた。

 ポケットに手を突っ込み、表情からもあまりやる気は感じられない。

 そんな雰囲気を感じた。

 しかし、彼女自身は彼女以外と会えたことに、嬉しさを感じていた。

「うん。開かないの!押しても引いてもね、動かない……」  

「……ふーん」

 青年は背中を指さす。

「あんたさ、背中に立派な翼があんのに……なんで飛んでかないの?」

「"あんた"じゃない!私はミーちゃんって言うの!」  

「……ごめんごめん。ミーちゃんね。そんで……どうして?」

 ミーちゃんは下を向いてボソッと言う。

「ミーちゃん。使い方分かんない。翼で飛ぶ方法、知らない」

「……そっか」

 青年は前の扉を見上げてながらそう返事をした。

「君は?」

 ミーちゃんは青年に尋ねる。

 青年はほんの少し頬み「俺に名前は無いよ。君みたいに翼も持ってない」と答える。

「なんで?」

 ミーちゃんは再び尋ねる。

「知らない」

 青年は短く答える。

「とりあえず、この扉開けねーとな」

 青年がそう言うと、青年は自分の胸に手を突っ込む。その手は胸の中へと貫通し、その胸から、"1本の鍵"を取り出した。

「わぁ!すごい。なにそれ!!」

 ミーちゃんは目を輝かせて、青年に近づいた。

 青年は顔を顰める。

「何って、これぐらい誰でもできるだろ」

「出来ないよぉ!私、やったことないもん!!」

 青年は呆れたような表情をした後、扉にゆっくり近づいてその鍵を鍵穴に差し込む。

 しかし、その鍵で扉が開くことはなかった。

「……まじかよ」

「開かないぃ?」

 青年は頭を搔く。そして、ミーちゃんの方を見つめる。

「鍵……差し込んでみてくれない?」

 青年はそう言ったが、ミーちゃんには鍵を取り出す方法を知らない。

「で、出来ないよぉ」

「大丈夫だって。ほら」

 青年はミーちゃんの手を優しく握りしめる。

 その手は暖かく、何故か安心する。

「自分を信じて。ほら、大丈夫。俺もそばにいるしさ」

 青年は優しく言うと、ミーちゃんの手を離して自分の胸に指を指す。

 ミーちゃんは少しの緊張感を感じながらも、唾を飲み込んで、勇気を振り絞った、

 自分の胸に手を当てると、青年の時とは違って、ミーちゃんの胸は大きく光り輝いた。

「うわぁ!」

 ミーちゃんは慌てて、その場にへたり込む。

 しかし、そんなミーちゃんの反応と違って、青年は目を大きく開いてその場に立ち尽くしている。

「す、すげぇ……」

 青年は後ろを指さす。

 ミーちゃんが後ろを振り向くと、視界に入ったのは自身の翼が大きく広がっているものでした。

「わ、わぁ!なにこれ!初めて!」

 ミーちゃんは目を輝かせて、自分の翼を見つめる。

 その翼は光を放ち、雪のように真っ白で美しかった。

 試しに、羽ばたいてみる。

 ものすごい、風の強さを体が感じる。

「お、おい。待ってくれ、俺も連れてってくれ」

 青年は手を伸ばす。

 ミーちゃんも青年の手を取る。

 そして、2人は扉を開けずに、空へと旅立ち先へ向かったのだった。

 もう周りは暗くなんて無かった。

 もう2人には、道なんて無かった。



 ---

 ねぇねぇ。

 ん?何?

 君は何で翼が無いの?

 知らないよ。生まれた時から無いさ。

 でも、君が持つべきだったよね。

 なんで?

 だってさぁ……うふふ。だってぇ。

 な、なんだよ。気味悪いな。


「君がいなかったら、多分飛べなかったもん」

「……そうかもな」

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