辺境暮らしの付与術士

黄舞

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第4章

第71話

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 ルーク達は、ドワーフの街をぶらぶらしながら数日を過ごした。
 カインによると数は徐々に減ってきているものの、未だに魔物の移動が続いているらしい。

 それが終わるまでは、グリフォンの討伐も行わないため、号令が出たら直ぐに動ける準備はしているもの、みなそれぞれ自由に時間を過ごしていた。
 ルークはドワーフの作った武具を見て回っては、楽しそうな顔を見せていた。

 ミューはドワーフご自慢の酒を、ドワーフ達と飲み比べしながら、楽しそうにしていた。
 クランのメンバー達も普段訪れることの無い、異国の文化を楽しんでいた。

 その中で四六時中不貞腐れた顔付きをしている者が一名。
 ララだ。エルフとドワーフは種族的に仲が悪いらしい。

 ララとしても個人的にドワーフに何かされた訳では無いが、ドワーフの好む物がいちいち気に食わないらしい。
 今や第一の教え子となったソフィ相手に毎日のように愚痴を零していた。

「だいたいねー。ドワーフ達は物質主義過ぎるのよね。鍛えられた肉体に鍛えた武具。それだけでなんでもできちゃうって思っているのよ。魔法の魔の字もないわけ。これってもったいないことだと思わない?」
「え、ええ・・・。ララさん。そうですね・・・」

 連日同じような内容の愚痴を聞かされたソフィは、初めこそ真面目に受け答えしていたものの、最近は肯定マシーンと化していた。
 カインはと言うと、予想以上に長引いたために、効果が薄まりかけてきている飾りへ付与魔法を掛け直したり、それにより生じた魔力枯渇を治すために昼間から寝ていたりと忙しそうである。

 それ以外はグリフォン達の周りをお得意の魔力探索により観察を続け、討伐時期を見定めようとしていた。
 サラは、以外にもニィニィに飾りの作り方を教わり、筋がいいと褒められながら、何やら作っているようだった。

 それぞれがそれぞれの時間を過ごしている昼時、街の空に打ち上げの合図が上げられた。
 カインが討伐開始の合図として事前にメンバー達に伝えていたものだった。

 すぐさま全員が拠点となっている、長の家に集まる。
 全員が集まったのを確認すると、カインはやや切羽詰まった表情で口を開いた。

「今すぐにグリフォンの討伐に出発する。みんな準備を急いでくれ」
「どうしたんだ。カイン。慌てているようだが、何かあったか?」

「ああ。ルークが以前言っていた、例の冒険者達が動き出した。このままではもうすぐグリフォン達に遭遇するだろう。実力差に気付いてすぐ逃げてくれればいいが、最悪の事態も考えられる。間に合うかどうか分からんが、急ぐぞ」
「なるほどな。身の程知らずの馬鹿共は勝手にしてくれと思うが、そこがお前らしいといえばお前らしい。お前ら聞いたか? 準備は出来てるな? すぐ出るぞ」

 おう! と返事が上がり、クランのメンバー達は一斉に右手を掲げた。
 握られた拳の中にはカインが配った花の形をした飾りが入っている。

 カインにとって出発まで時間かかったことは悪いことばかりではなかった。
 クランのメンバー達は付与魔法の効果になれる事が出来たし、カインは元々一律に効果を付与していた飾りを、メンバーの特性に合わせたカスタマイズが出来た。

 ルーク達のミスリル製のアクセサリーも一個一個に魔力枯渇まで付与魔法をかけることが出来た。
 恐らく戦力は初日に比べて何倍にもなっただろう。

 ルークを先頭に、みなすごい勢いで山をかけ登って行った。
 カインの付与魔法のおかげで、速度だけでなく、体力も底上げされているため、疲れを知らぬ強行軍が可能なのだ。

 ところで、カインの付与魔法がかけられた飾りを手にしたクランのメンバー達は、改めてルーク達の強さに驚いた。
 強化された身体での戦闘に慣れるためと言われ、飾りの効果を受けながら、ルーク達と模擬戦をしたのだ。

 カインの話では、ルーク達が普段身に付けているピアスなどの効果などより、クランのメンバー達が持っている飾りの効果の方が遥かに高いという事だった。
 確かに単純な身体能力だけでいえば、彼らはルーク達よりも格段に上になっていた。

 にも関わらず、結果はルーク達の圧勝で、彼らは惨敗したのである。
 強化された身体の使い方に慣れていない、という事も確かにあるが、戦闘勘や技術、戦闘に関するセンスが明らかに違うのだ。

 また、三人の連携にも目を見張るものがあった。
 まるでお手本のように、ミューが前衛の攻撃を受け、ルークが切りかかって来るのを受けたり避けようとしているところを、ララが魔法で狙い撃って来るのだ。

 一方でララの方にばかり気を向けていると、ルークが目にも止まらぬ剣技で襲ってくる。
 よしんばそれを逃れたとしても、手が空いたミューに気付けば吹き飛ばされているのだ。

 今回参加したメンバーにはパーティも含まれていたのだが、決して拙いとは思っていなかった自分達の連携も、ルーク達の前では改善点がまだまだある事を思い知らされることとなった。
 自分達の所属するクランのマスターへの改めて感じた畏怖と尊敬の念と、カインを含めたこのパーティと一緒にクランレイドが出来る喜びを胸に、ルーク達置いて行かれぬよう、彼らは黙々とその足を動かしていた。
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