73 / 133
第4章
第71話
しおりを挟む
ルーク達は、ドワーフの街をぶらぶらしながら数日を過ごした。
カインによると数は徐々に減ってきているものの、未だに魔物の移動が続いているらしい。
それが終わるまでは、グリフォンの討伐も行わないため、号令が出たら直ぐに動ける準備はしているもの、みなそれぞれ自由に時間を過ごしていた。
ルークはドワーフの作った武具を見て回っては、楽しそうな顔を見せていた。
ミューはドワーフご自慢の酒を、ドワーフ達と飲み比べしながら、楽しそうにしていた。
クランのメンバー達も普段訪れることの無い、異国の文化を楽しんでいた。
その中で四六時中不貞腐れた顔付きをしている者が一名。
ララだ。エルフとドワーフは種族的に仲が悪いらしい。
ララとしても個人的にドワーフに何かされた訳では無いが、ドワーフの好む物がいちいち気に食わないらしい。
今や第一の教え子となったソフィ相手に毎日のように愚痴を零していた。
「だいたいねー。ドワーフ達は物質主義過ぎるのよね。鍛えられた肉体に鍛えた武具。それだけでなんでもできちゃうって思っているのよ。魔法の魔の字もないわけ。これってもったいないことだと思わない?」
「え、ええ・・・。ララさん。そうですね・・・」
連日同じような内容の愚痴を聞かされたソフィは、初めこそ真面目に受け答えしていたものの、最近は肯定マシーンと化していた。
カインはと言うと、予想以上に長引いたために、効果が薄まりかけてきている飾りへ付与魔法を掛け直したり、それにより生じた魔力枯渇を治すために昼間から寝ていたりと忙しそうである。
それ以外はグリフォン達の周りをお得意の魔力探索により観察を続け、討伐時期を見定めようとしていた。
サラは、以外にもニィニィに飾りの作り方を教わり、筋がいいと褒められながら、何やら作っているようだった。
それぞれがそれぞれの時間を過ごしている昼時、街の空に打ち上げの合図が上げられた。
カインが討伐開始の合図として事前にメンバー達に伝えていたものだった。
すぐさま全員が拠点となっている、長の家に集まる。
全員が集まったのを確認すると、カインはやや切羽詰まった表情で口を開いた。
「今すぐにグリフォンの討伐に出発する。みんな準備を急いでくれ」
「どうしたんだ。カイン。慌てているようだが、何かあったか?」
「ああ。ルークが以前言っていた、例の冒険者達が動き出した。このままではもうすぐグリフォン達に遭遇するだろう。実力差に気付いてすぐ逃げてくれればいいが、最悪の事態も考えられる。間に合うかどうか分からんが、急ぐぞ」
「なるほどな。身の程知らずの馬鹿共は勝手にしてくれと思うが、そこがお前らしいといえばお前らしい。お前ら聞いたか? 準備は出来てるな? すぐ出るぞ」
おう! と返事が上がり、クランのメンバー達は一斉に右手を掲げた。
握られた拳の中にはカインが配った花の形をした飾りが入っている。
カインにとって出発まで時間かかったことは悪いことばかりではなかった。
クランのメンバー達は付与魔法の効果になれる事が出来たし、カインは元々一律に効果を付与していた飾りを、メンバーの特性に合わせたカスタマイズが出来た。
ルーク達のミスリル製のアクセサリーも一個一個に魔力枯渇まで付与魔法をかけることが出来た。
恐らく戦力は初日に比べて何倍にもなっただろう。
ルークを先頭に、みなすごい勢いで山をかけ登って行った。
カインの付与魔法のおかげで、速度だけでなく、体力も底上げされているため、疲れを知らぬ強行軍が可能なのだ。
ところで、カインの付与魔法がかけられた飾りを手にしたクランのメンバー達は、改めてルーク達の強さに驚いた。
強化された身体での戦闘に慣れるためと言われ、飾りの効果を受けながら、ルーク達と模擬戦をしたのだ。
カインの話では、ルーク達が普段身に付けているピアスなどの効果などより、クランのメンバー達が持っている飾りの効果の方が遥かに高いという事だった。
確かに単純な身体能力だけでいえば、彼らはルーク達よりも格段に上になっていた。
にも関わらず、結果はルーク達の圧勝で、彼らは惨敗したのである。
強化された身体の使い方に慣れていない、という事も確かにあるが、戦闘勘や技術、戦闘に関するセンスが明らかに違うのだ。
また、三人の連携にも目を見張るものがあった。
まるでお手本のように、ミューが前衛の攻撃を受け、ルークが切りかかって来るのを受けたり避けようとしているところを、ララが魔法で狙い撃って来るのだ。
一方でララの方にばかり気を向けていると、ルークが目にも止まらぬ剣技で襲ってくる。
よしんばそれを逃れたとしても、手が空いたミューに気付けば吹き飛ばされているのだ。
今回参加したメンバーにはパーティも含まれていたのだが、決して拙いとは思っていなかった自分達の連携も、ルーク達の前では改善点がまだまだある事を思い知らされることとなった。
自分達の所属するクランのマスターへの改めて感じた畏怖と尊敬の念と、カインを含めたこのパーティと一緒にクランレイドが出来る喜びを胸に、ルーク達置いて行かれぬよう、彼らは黙々とその足を動かしていた。
カインによると数は徐々に減ってきているものの、未だに魔物の移動が続いているらしい。
それが終わるまでは、グリフォンの討伐も行わないため、号令が出たら直ぐに動ける準備はしているもの、みなそれぞれ自由に時間を過ごしていた。
ルークはドワーフの作った武具を見て回っては、楽しそうな顔を見せていた。
ミューはドワーフご自慢の酒を、ドワーフ達と飲み比べしながら、楽しそうにしていた。
クランのメンバー達も普段訪れることの無い、異国の文化を楽しんでいた。
その中で四六時中不貞腐れた顔付きをしている者が一名。
ララだ。エルフとドワーフは種族的に仲が悪いらしい。
ララとしても個人的にドワーフに何かされた訳では無いが、ドワーフの好む物がいちいち気に食わないらしい。
今や第一の教え子となったソフィ相手に毎日のように愚痴を零していた。
「だいたいねー。ドワーフ達は物質主義過ぎるのよね。鍛えられた肉体に鍛えた武具。それだけでなんでもできちゃうって思っているのよ。魔法の魔の字もないわけ。これってもったいないことだと思わない?」
「え、ええ・・・。ララさん。そうですね・・・」
連日同じような内容の愚痴を聞かされたソフィは、初めこそ真面目に受け答えしていたものの、最近は肯定マシーンと化していた。
カインはと言うと、予想以上に長引いたために、効果が薄まりかけてきている飾りへ付与魔法を掛け直したり、それにより生じた魔力枯渇を治すために昼間から寝ていたりと忙しそうである。
それ以外はグリフォン達の周りをお得意の魔力探索により観察を続け、討伐時期を見定めようとしていた。
サラは、以外にもニィニィに飾りの作り方を教わり、筋がいいと褒められながら、何やら作っているようだった。
それぞれがそれぞれの時間を過ごしている昼時、街の空に打ち上げの合図が上げられた。
カインが討伐開始の合図として事前にメンバー達に伝えていたものだった。
すぐさま全員が拠点となっている、長の家に集まる。
全員が集まったのを確認すると、カインはやや切羽詰まった表情で口を開いた。
「今すぐにグリフォンの討伐に出発する。みんな準備を急いでくれ」
「どうしたんだ。カイン。慌てているようだが、何かあったか?」
「ああ。ルークが以前言っていた、例の冒険者達が動き出した。このままではもうすぐグリフォン達に遭遇するだろう。実力差に気付いてすぐ逃げてくれればいいが、最悪の事態も考えられる。間に合うかどうか分からんが、急ぐぞ」
「なるほどな。身の程知らずの馬鹿共は勝手にしてくれと思うが、そこがお前らしいといえばお前らしい。お前ら聞いたか? 準備は出来てるな? すぐ出るぞ」
おう! と返事が上がり、クランのメンバー達は一斉に右手を掲げた。
握られた拳の中にはカインが配った花の形をした飾りが入っている。
カインにとって出発まで時間かかったことは悪いことばかりではなかった。
クランのメンバー達は付与魔法の効果になれる事が出来たし、カインは元々一律に効果を付与していた飾りを、メンバーの特性に合わせたカスタマイズが出来た。
ルーク達のミスリル製のアクセサリーも一個一個に魔力枯渇まで付与魔法をかけることが出来た。
恐らく戦力は初日に比べて何倍にもなっただろう。
ルークを先頭に、みなすごい勢いで山をかけ登って行った。
カインの付与魔法のおかげで、速度だけでなく、体力も底上げされているため、疲れを知らぬ強行軍が可能なのだ。
ところで、カインの付与魔法がかけられた飾りを手にしたクランのメンバー達は、改めてルーク達の強さに驚いた。
強化された身体での戦闘に慣れるためと言われ、飾りの効果を受けながら、ルーク達と模擬戦をしたのだ。
カインの話では、ルーク達が普段身に付けているピアスなどの効果などより、クランのメンバー達が持っている飾りの効果の方が遥かに高いという事だった。
確かに単純な身体能力だけでいえば、彼らはルーク達よりも格段に上になっていた。
にも関わらず、結果はルーク達の圧勝で、彼らは惨敗したのである。
強化された身体の使い方に慣れていない、という事も確かにあるが、戦闘勘や技術、戦闘に関するセンスが明らかに違うのだ。
また、三人の連携にも目を見張るものがあった。
まるでお手本のように、ミューが前衛の攻撃を受け、ルークが切りかかって来るのを受けたり避けようとしているところを、ララが魔法で狙い撃って来るのだ。
一方でララの方にばかり気を向けていると、ルークが目にも止まらぬ剣技で襲ってくる。
よしんばそれを逃れたとしても、手が空いたミューに気付けば吹き飛ばされているのだ。
今回参加したメンバーにはパーティも含まれていたのだが、決して拙いとは思っていなかった自分達の連携も、ルーク達の前では改善点がまだまだある事を思い知らされることとなった。
自分達の所属するクランのマスターへの改めて感じた畏怖と尊敬の念と、カインを含めたこのパーティと一緒にクランレイドが出来る喜びを胸に、ルーク達置いて行かれぬよう、彼らは黙々とその足を動かしていた。
0
あなたにおすすめの小説
追放されたS級清掃員、配信切り忘れで伝説になる 「ただのゴミ掃除」と言って神話級ドラゴンを消し飛ばしていたら世界中がパニックになってますが?
あとりえむ
ファンタジー
【5話ごとのサクッと読める構成です!】
世界を救ったのは、聖剣ではなく「洗剤」でした。
「君のやり方は古いんだよ」 不当な理由でS級クランを追放された、ベテラン清掃員・灰坂ソウジ(38歳)。 職を失った彼だったが、実は彼にはとんでもない秘密があった。 呪いのゴーグルのせいで、あらゆる怪物が「汚れ」にしか見えないのだ。
・神話級ドラゴン
⇒ 換気扇の頑固な油汚れ(洗剤で瞬殺)
・深淵の邪神
⇒ トイレの配管詰まり(スッポンで解決)
・次元の裂け目
⇒ 天井の雨漏りシミ(洗濯機で丸洗い)
「あー、ここ汚れてるな。チャチャッと落としておくか」
本人はただ業務として掃除をしているだけなのに、その姿は世界中で配信され、人類最強の英雄として崇められていく! 可愛い元ダンジョン・コアや、潔癖症の聖女も入社し、会社は今日も大忙し。 一方、彼を追放した元クランは、汚れ(モンスター)に埋もれて破滅寸前で……?
「地球が汚れてる? じゃあ、一回丸洗いしますか」 最強の清掃員が、モップ片手に世界をピカピカにする、痛快・勘違い無双ファンタジー!
【免責事項】
この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは関係ありません。
※こちらの作品は、カクヨムと小説家になろうでも公開しています。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
無能だと追放された「雑用係」のハル、現代の知恵(ライフハック)を駆使したら、呪われた魔王城が聖域化して伝説の賢者と呼ばれ始めた
ユネ
ファンタジー
「君のような無能な掃除係は必要ない!」
勇者パーティーからゴミのように捨てられた雑用係のハル。だが彼女には、前世で培った【家事のプロとしてのライフハック】があった。
移り住んだのは、誰もが恐れる『呪われた魔王城』。しかしハルにとっては、ただの「掃除のしがいがある大型物件」に過ぎなかった!
重曹とクエン酸で呪いを浄化し、アルミホイルで魔物を除け、ジャガイモの皮で伝説の鏡を蘇らせる。
魔法より便利な知恵で、お城はいつの間にか世界一快適な聖域に。
一方、ハルを失った勇者たちは、汚部屋と化した拠点と自らの無知に絶望することになり――。
これは、一人の「掃除好き」が知恵と工夫だけで異世界に革命を起こし、最高のスローライフを手に入れるまでの物語。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
主人公は高みの見物していたい
ポリ 外丸
ファンタジー
高等魔術学園に入学した主人公の新田伸。彼は大人しく高校生活を送りたいのに、友人たちが問題を持ち込んでくる。嫌々ながら巻き込まれつつ、彼は徹底的に目立たないようにやり過ごそうとする。例え相手が高校最強と呼ばれる人間だろうと、やり過ごす自信が彼にはあった。何故なら、彼こそが世界最強の魔術使いなのだから……。最強の魔術使いの高校生が、平穏な学園生活のために実力を隠しながら、迫り来る問題を解決していく物語。
※主人公はできる限り本気を出さず、ずっと実力を誤魔化し続けます
※小説家になろう、ノベルアップ+、ノベルバ、カクヨムにも投稿しています。
掃除婦に追いやられた私、城のゴミ山から古代兵器を次々と発掘して国中、世界中?がざわつく
タマ マコト
ファンタジー
王立工房の魔導測量師見習いリーナは、誰にも測れない“失われた魔力波長”を感じ取れるせいで奇人扱いされ、派閥争いのスケープゴートにされて掃除婦として城のゴミ置き場に追いやられる。
最底辺の仕事に落ちた彼女は、ゴミ山の中から自分にだけ見える微かな光を見つけ、それを磨き上げた結果、朽ちた金属片が古代兵器アークレールとして完全復活し、世界の均衡を揺るがす存在としての第一歩を踏み出す。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる